RVランドのバスコン ランドホームの系譜

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RVランドのバスコン ランドホームの系譜

ランドホームは、21年に30周年を迎えたキャンピングカー販売大手であるRVランドの旗艦モデルである。

ランドホームの誕生はRVランド開業2年後の93年4月で、それまで全国のメーカー車両や中古車を販売の主体としていた所に、本格的な国産モーターホームをと満を持して投入された。当初から欧米のモーターホーム並の利便性を追求するため、国産でそれを満たせるシャシーキャパシティとしてマイクロバスをチョイスした。

初期型のランドホームの外観
販売モデルとしては3代目コースターベースによる初期型、研究段階では角目の2代目コースターでもあったはずだ

生みの親は、先代社長阿部和麿。90年まではヨコハマモーターセールス工場長を努め、国産キャンピングカー黎明期の大ヒット商品であるロデオ4WD・RVの開発も担った。当時はヨコハマでもキャリスターコーブを始めとした北米産モーターホームも取り扱っており、キャンピングカーやモーターホームへの造詣も人一番強かった。

黎明期のランドホーム

初期のRVランド
フォンテームの森 場内風景、全国のメーカーのキャンピングカーが勢ぞろいし見比べられる画期的な展示場として始まった

販売店として独立を果たした阿部和麿さんが守谷インター近くのフォンテーヌの森に開業してからの2年間、店舗に利用していたゲルと居住用に置かれたアメリカントレーラー、その周辺に物置という環境下でランドホームの原型は形作られていく。

もちろんベースは日本独自に発展しているマクロバスで、その理由は道路環境やサイズが適切と考えられたからだが、サイズに余裕のある欧米モーターホームの様なユーティリティをどうやって構築するかの解決策は難題だった。

フォンテームの森当時のRVランド
フォンテームの森当時のRVランド

レイアウトなど形が出来る前に研究されていたのが電気関連設備。コレは当時のコースターがDC24Vベースだったことで、キャピングカー装備のほとんどがDC12V機器であったことと折り合いを付ける最善の方法を考える必要があったからだろう。

こういった研究の成果が現れたのが初代モデルで、Lキャビンランドホームという名称であった。Lキャビンと名乗ったのは、当時バスコンを製造していたバンテック京都の車両をベースにしたから。しかし内容は、レイアウトや素材も含めまったくの別物で、RVランド完全オリジナルとなった。

初期型のランドホームの内装
当時の国産キャンピングカーの温水設備では、先止式瞬間湯沸かし器がよく使われていた

初期モデルでは温水器は瞬間湯沸かし器を用い、LPGボンベを搭載していた。1号車完成間近な時、完成度をもっともっと高めるため、バンテック京都社長と2人で泊まり込みの作業を続けていた記憶がある。

初期型のランドホーム
窓埋め面積も増え、一体成形になる一歩手前の時期。断熱性向上の施工がより強くなっていく

ブラッシュアップを続けランドホームとして確立していく中で、熱に関してはLPガスの使用を排除し、加熱調理も含め電気化。そのために必要な強大なバッテリーと充電システムの構築を行なっている。この辺りのコンセプトは現行モデルまでも一貫しており、システム全体での完成度は高い。

さらに暖房は早くから独自の方法を追求していた。それは直接温風を作り出して暖めるのではなく、ラジエター液を温めるFFシステムを利用し、車両本来の暖房機構、ブロワーによる送風を車両全体で採用。その結果エコサーモというシステムが完成し、吹き出し口や送風システムを別系統で用意する必要は無くなった。

現行モデル各部紹介

現行のランドホームの外観

ベース車両となるコースターは、エンジンはそれまでの4リットルN04Cから2.8リットルのトヨタ製1GDへの換装がなされ、燃費と環境性能向上がはかられ23年春から発売された。それに合わせRVランドでは早速新型をベースにしたランドホームを、2月のジャパンキャンピングカーショーで発表。実に、諸問題によるベース車両の出荷停止から1年半という歳月を経ての出来事となる。

現行のランドホームのリア

Bピラー以後、一体で窓埋めが行なわれているのがランドホームの特徴。リヤ、左側も可能な限り埋められ、プライバシーの確保と断熱性の向上が計られている。

現行のランドホームのリビングルーム

レイアウトはエントランスドアを入った所へフロントダイネット、リヤはツインベッドルームとして使えるリヤダイネットという2ルーム構成。このレイアウトプランはランドホームの基本で、登場時以来続いた不変スタイル。

現行のランドホームのキッチン

冷蔵庫、電子レンジなどを標準的に組み込み、電装系も独自のコントローラーシステムを構築し組み込んである。デザインは現代の欧州キャンピングカーに近い見た目で、装備類はモーターホームとして十分なものを備える。

現行のランドホームの全面ベッド展開

リヤダイネットは、全面ベッド展開もできる。最後部は組み込みの大型キャビネットになっているが、以前のモデルでは背もたれを跳ね上げる2段ベッド仕様が採用されていた。

現行のランドホームのマルチルーム

ランドホームにはマルチルームはあるが固定トイレは設定されていない。多くはホイールハウスの位置的な問題であろうが、日本での使用においてはポータブルトイレでも十分でないかという考え方が息づいている。

現行ランドホームのエアダクト

車両天井左右には、走行時エアコンダクトが設置される。基本位置はノーマルと同様だが、キャビネットを作るにあたりこのダクト類は新設されているオリジナルのものだ。

現行ランドホームのサブバッテリーシステム 現行ランドホームのサブバッテリーシステム2

サブバッテリーは長年研究し安定的な性能を発揮する鉛タイプをセカンドシート台座内に設置。それは重量物が走行安定性に多大な影響を与えてしまうことを考慮した結果で、それらバッテリーをコントロールする関連電装機器はサードシート台座内に収まっている。

ランドホームが起こしたムーブメント

現行ランドホームの運転席

長い歴史を持つランドホームが持つ画期的な部分は他にもあって、マイクロバスが持つ巨大ウインドウスペースを一体成型のFRPボードで埋めるアイデアを持ち込んだこと。これにより、ガラスの断熱性の低さを回避しプライバシーを大幅に確保することができた。この手法は他社も含めハイエースに代表される1BOXにも使われ始め、さらにボックスとして膨らませる現代のスタイルへと導いた。

現行ランドホームのFRPボード

しかし実際には、巨大であることと鉄板とFRPという異素材での接合、そして車体の捻じれ問題などもあり、雨水の侵入や構造上の弱点などを克服するのは並々ならない苦労があったのを直接社長本人から聞き及んではいるものの、その辺りの細かい話は割愛しておく。

そんなことを頭に置いておいて展示車やユーザーの車両をのぞいてみるのも非常に興味深い、日本を代表する歴史の長いモーターホームなのである。

WRITER PROFILE
鈴木康文(TAMA@MAC)
鈴木康文(TAMA@MAC)

1991年、月間AutoCamper誌の前身であるDomaniの立ち上げに参加して以来、一貫してキャンピングカーとモーターホームの記事執筆を主に、アウトドア一般にいたるまで幅広く各種メディアでの活躍を続ける。途中DVDの制作や編集も手がけ、マルチメディアに対する興味は人一倍。現在は、’88 Hymer S660と同時所有していたトレーラーの’97 Hymer Touring Troll Puckをけん引中。

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