獣医師に聞く 犬と楽しむ夏のキャンピングカーライフの注意点②【害虫予防・緊急時の対応・マナーについて】

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獣医師に聞く 犬と楽しむ夏のキャンピングカーライフの注意点②【害虫予防・緊急時の対応・マナーについて】

ペットと泊まれる宿の予約を取らずに、自由に旅行やキャンプを楽しめるのが、キャンピングカーのメリットですが、いくらキャンピングカーの旅とはいえ注意しなければいけない点はあります。とくに夏場のキャンプや旅行では同行したペットが体調を崩してしまうことも多いので、飼い主がしっかりと管理してやることが重要です。

今回は前回に引き続き、公益社団法人日本獣医師会 副会長 村中志朗先生(広尾動物病院 院長)にお話を伺い、犬を連れてキャンプや旅行をする際の注意点を紹介します。

第2回は、害虫予防や緊急時の対応、マナーについて。ペットと旅を楽しむキャンピングカーユーザーには大変役立つインタビュー内容ですので、1回目の記事と併せてじっくり読んで自身のペット旅の参考にしてください。

村中志朗先生
公益社団法人日本獣医師会 副会長 村中志朗先生(広尾動物病院 院長)

⑥ノミ・マダニ・フィラリア予防

犬の集合写真

旅行もキャンプも屋外の活動なので、ノミもダニもいるし、蚊も飛んでいます。そのため、虫が媒介する病気を予防することが大切です。

対策として、ノミ・マダニ・フィラリアのオールインワンの薬がありますので、かかりつけの動物病院で処方してもらってください。それを実践している人は問題ありませんが、そうした知識や対策がないまま犬を自然の中に連れて行くことは絶対にやめてください。とくに、マダニからうつるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)という病気には注意が必要です。もともと関東ではあまり見られない病気で、これまでは九州・四国・中国地方の病気と言われていましたが、昨年千葉で発生した事例もあるなど関東でも広がりつつあります。

SFTSは、犬が草むらや藪に入ったときマダニに血を吸われることで感染し、その犬と濃厚接触した飼い主にも感染します。SFTSに感染すると犬は100%死にますし、人も30%ほどの確率で死に至ります。とても怖い病気ですが、事前に薬で予防していればマダニは薬の効果ですぐ死にますので、自然に囲まれたキャンプ場でも問題ありません。

もし犬にダニがくっついているのを発見したら、念のためキャンプから帰って1~2週間は犬の健康状態をよく見て、具合が悪かったら動物病院でダニがくっついていたことを伝えてください。普段から薬で対策をしていれば心配することはありませんが、それをしないでキャンプに連れて行くのは動物虐待と同じことです。

⑦常備薬などの用意

微笑む犬

お腹を壊しやすいから動物病院で下痢止めを処方してもらっているなど、体が悪くて普段から薬を飲んでいる犬もいると思います。お出かけの際は、そうした常備薬を忘れずに持参してください。旅行やキャンプの日数よりも少し多めの分量を持っていくと、紛失や飲み損じがあっても安心です。

あとは、出先で怪我をした時のために、消毒薬も持参すること細菌感染を防ぐためにも、初期の消毒は非常に重要です。イソジンやオキシドールなど人が使う消毒薬でOKですので、必ず常備するようにしてください。犬が怪我をしてしまった場合は、まず傷口の砂や不純物を水で洗い流し、消毒薬をかけておく。浅い傷なら、それで十分です。

傷が深い場合や出血がひどい場合は、応急処置としてガーゼや包帯よりもサランラップが適しています。ひと昔前は傷を乾かして治すという考え方でしたが、今は湿らせて治すというのが一般的になっていて、傷口にあてる部分がフィルムになっている非固着性ガーゼが広く用いられています。応急処置にサランラップを使用する場合は、傷口を洗って消毒してからサランラップを巻いておけばOK。キャンピングカーならサランラップを積んでいる人は多いでしょうし、こうした知識は災害時にも役立つので、ぜひ覚えておいてください。

⑧目的地の近くにある動物病院をチェック

お昼寝中の犬

下痢と嘔吐の両方があって食欲がないなど、犬の体調が悪くなって症状が重い場合は、必ず病院に連れて行って適切な処置を受けてください。その時になって慌てることがないように、旅行先やキャンプ場近くの動物病院は事前にチェックしておきましょう。キャンピングカーで行き先を転々とする場合でも、何かあったときに備えて行く先々の動物病院を把握しておくのがベター。スマホを使ってその場で探すこともできますが、素早く行動するためには前もって調べておくことが大切です。

怪我をした時の応急処置方法

外傷は、傷口を見れば状態がわかると思います。傷が大きかったり深かったりして出血が止まらない場合は、すぐ動物病院に連れて行ってください。

不測の怪我において応急処置はとても大切ですので、日ごろから犬の怪我の応急処置方法をネットなどで調べて予備知識を持っておいた方がいいと思います。例えば、足先の傷口から大きな出血があった場合は、肘あたりを縛って止血する。その際、きつく縛り過ぎると血液が循環しなくなるので、5分に1回くらいは緩めてやる。また、骨折の疑いがある場合は、添え木をする。木がない場合は段ボールでもいいので、骨折が疑われる部分にあてがってサランラップでぐるぐる巻きにして固定する。現場で適切な応急処置を施したら、あとは動物病院に連れて行って治療を受けてください。

⑨ペット旅のマナーについて

ノーリードは絶対にNG

キャンプ場でお散歩中の犬

旅に出ると開放感からくる油断から、つい自然の中でノーリードにしてしまって、犬が行方不明になるケースも多く聞かれます。普段リードをつけて散歩をしている犬がノーリードになったら、どこに行ってしまうかわかりませんし、他の犬と喧嘩になってしまうこともあります。しつけができている犬でも、花火の大きな音に驚いて逃げてしまうこともあるので安心は禁物です。犬にとって、リードは命綱。ドッグランなど囲いがあるような場所以外では、リードをつけた状態にしておくのが基本です。

また、今年6月1日からブリーダーやペットショップ等で販売される犬や猫について、マイクロチップの装着が義務化されましたが、それ以前から飼っている犬でも、マイクロチップの装着をお勧めします。万が一逃走して行方不明になっても、マイクロチップが装着されていれば、犬が保護されたときにリーダーで番号を読み取って飼い主の情報を照会できます。自分の犬がかわいいのであれば、マイクロチップを入れてからキャンプや旅行に行ってください。とくにキャンピングカーでお出かけの機会が多い犬は、マイクロチップの装着が必須です。

周りに迷惑をかけない最低限のマナー

ドッグラン

最低限のマナーの1つ目は、排便の始末をしっかりすること。外だからいい、自然の中だからいいという気持ちは捨てて、どこに行っても普段通り排便の処理をしてください。

2つ目は、他の犬と喧嘩をさせないこと。普段はおとなしい犬でも、環境が変わったことによる興奮から他の犬と喧嘩をしてしまうこともあります。犬同士の喧嘩を防ぐには、普段からドッグランに行って他の犬とのコミュニケーションの取り方を勉強させておくことが有効です。

3つ目は、無駄吠えさせないこと。1匹鳴きだすと他の犬もつられて鳴きだすので、いくら開放的なキャンプ場でも周囲に迷惑がかかってしまいます。無駄吠えをしないように、普段からしっかりとしつけておきましょう。

4つ目は、他人に飛びつかせないこと。すぐ人に飛びつく犬もいますが、世の中は犬が好きな人ばかりではなく、中には犬が苦手な人もいます。とくに大型犬だと飛びつかれただけで恐怖を感じる人もいますし、襲われてかまれたと錯覚する人もいます。人間同士のトラブルの元になりますので、むやみに飛びかかったりしないようなしつけも重要です。

5つ目は、犬の毛に対するアレルギーを持つ人に配慮すること。犬アレルギーの人に迷惑をかけないように、常に手入れをして無駄な毛が落ちないようにブラッシング、コーミングをしておくことが大切です。犬の毛で喘息を起こすような人の近くでコーミングをして毛が飛んでいくと、その人の喘息を誘発する可能性もあります。犬を飼っている人は、周りのみんなが犬好きだと錯覚している方が多いですが、実は犬を飼っている人の方がマイノリティで、犬を飼っていない人の方が圧倒的に多い。そのことを普段から頭に入れておくと、犬を飼っていない人への配慮ができるようになります。

避妊手術の重要性

休憩中の犬

最後に、避妊去勢手術について。とくにメスの場合は、発情期だとオス犬が興奮して近寄ってきて、そこで交配して子どもができてしまうこともあります。発情期は年2回くらいですが、いつ起きるかわからないので、避妊手術をしていないメス犬は他の犬と一緒にはさせられません。

旅行やキャンプだけではなく、災害時も同じです。一緒に避難したメス犬が発情期になってしまうと、周りのオスたちが寄ってきて喧嘩を引き起こす原因を作ってしまいます。避妊していないとかなりの確率でこうしたトラブルが起こるので、メス犬の場合は避妊手術を済ませておくのがマナーです。

①では【ドライブ・熱中症・トイレ・食事について】を紹介しています。
獣医師に聞く 犬と楽しむ夏のキャンピングカーライフの注意点①【ドライブ・熱中症・トイレ・食事について】
PROFILE
村中志朗(むらなか・しろう)
村中志朗(むらなか・しろう)先生

獣医師・博士(獣医学)
広尾動物病院 院長
公益社団法人日本獣医師会 副会長
公益社団法人東京都獣医師会 前会長

広尾動物病院
東京都港区南麻布4-14-1
TEL:03-3440-5595
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WRITER PROFILE
岩田一成
岩田一成(いわた・かずなり)

1971年東京生まれ。キャンピングカーライフ研究家/キャンピングカーフォトライター。日本大学芸術学部卒業後、8年の出版社勤務を経て、2003年に独立。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に累計1000誌以上の雑誌・ムック製作に携わる。家族と行くキャンピングカーの旅をライフワークとしており、これまでに約1000泊以上のキャンプ・車中泊を経験。著書に『人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門』がある。

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