子供の成長と共に変化する“理想のキャンピングカー”のカタチ

キャンピングカーの選び方
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子供の成長と共に変化する“理想のキャンピングカー”のカタチ

ひと口に「キャンピングカー」と言っても、ボディの大きさや形状は多種多様。大型バスに匹敵するビッグモデルから軽自動車規格のスモールモデルまで様々なバリエーションが存在しており、価格も200万円台で購入できるものから2000万円を超えるものまで幅広い。

それらの多種多様なモデルの中から「自分の使い方に合った1台」を選ぶことが、キャンピングカー購入の最大のキモだが、結婚、出産、子育て、子供の独立、定年退職などのライフステージによって、最適なキャンピングカーのカタチも変化していく。

筆者も、タイプの異なる3台の新車キャンピングカーを乗り替えてきたユーザーの1人。今回は、実際に乗り継いできた愛車を振り返りながら、ライフステージ(子供の成長)によって変化するキャンピングカー選びの実例を紹介する。

30代半ばで選んだのはマルチなバンコン

岩田ファミリー

筆者が初めてキャンピングカーを購入したのは、30代半ばのとき。ミニバンにテントを積んで北海道で長期のキャンプ旅を楽しむなど、ファミリーキャンプ一色のライフスタイルを送っていた。当時、長女は5歳、長男は0歳。「子供たちと過ごす“人生のゴールデンタイム”を、より充実させたい」という思いで、キャンピングカーの購入を決意した。

初めてのキャンピングカーポップアップルーフバンコン「コンパス」

キャンピングカーに求めた条件は、「ファーストカーとして使える」こと。東京23区在住の月極駐車場ユーザーで2台持ちが厳しいため、買い物や送迎などの普段使いから仕事、遊びまで1台でこなせるクルマが大前提だった。自宅周辺に全高制限付きの自走式立体駐車場が多いため、全高は2.1m以下に限定。もちろん、家族4人で快適に生活できる室内空間にもこだわった。

キャンピングカーに求めた条件

・ファーストカーとして使えること
・全高が2.1m以下であること
・家族4人が快適に生活できること
雪の中のハイエース「コンパス」

結果的に選んだのは、アムクラフト社(現在廃業)が販売していたコンパスというハイエースのポップアップルーフバンコン。大型ミニバンと同等のボディサイズで普段使いもストレスなくこなせ、全高2.1mなので自走式立体駐車場にも問題なく入れる。キャンプやクルマ旅でポップアップルーフをオープンすれば、車内が開放感抜群の“部屋”に早変わり。機動性と居住性のバランスに優れた、当時の我が家にピッタリの1台だった。

コンパスの車内

納車1週間後に幼い子供たちと一緒に3週間の北海道キャンプ旅を楽しんだのを皮切りに、普段使いから長期旅まで愛車をフル活用。家族にキャンピングカーの素晴らしさを教えてくれた、思い出に残る1台となった。

子供の成長でキャブコンへの乗り替えを決意

「ファンルーチェ・セレンゲティ」と一緒に

ポップアップルーフバンコン「コンパス」は我が家にとって最高の相棒だったが、実は乗っていた期間は3年弱と短い。乗り替えた理由は、「子供の成長と共に車内が狭く感じられるようになってきた」こと。子供が小学生のうちはまだまだ快適なキャンピングカーライフを送れそうだったが、我が家は年間2万km近く走行するヘビーユーザーのため、乗り替えを先延ばししたらアッという間に走行距離が10万kmを超えてしまう……。「いずれ乗り替えるなら、高く買い取ってもらえるうちに」と、早めのタイミングで乗り替えを決意した。

ハイエースベースのキャブコン「ファンルーチェ・セレンゲティ」

30代後半で購入した2台目のキャンピングカーは、ハイエースベースのキャブコンファンルーチェ・セレンゲティ。1台目のキャンピングカーは普段使いの快適性を重視したが、2台目では子供たちと快適なキャンプ旅・クルマ旅を長く楽しめるように、よりキャンピングカーとしての要素(居住性)を重視した。ボディサイズは、ある程度不便を覚悟すればファーストカーとしてもギリギリ使用できる全長5m×全幅2mクラスに限定。走行性能やスタイリッシュなデザインなど、クルマとしての性能にもこだわった。

キャンピングカーに求めた条件

・長期旅でも家族4人が快適に過ごせること
・走行性能にストレスを感じないこと
・デザインがスタイリッシュなこと
キャンプ場とキャブコン「ファンルーチェ・セレンゲティ」

キャブコンに乗り替えて普段使いや仕事での利用は不便になったが、長期旅でもストレスを感じない居住空間、広いキッチン、6人分のベッド、トイレルームなど、キャンピングカーとしての快適性は大きく向上した。

ハイエースベースのキャブコン「ファンルーチェ・セレンゲティ」の車内

観光メインのクルマ旅や近場のキャンプ、北海道の長期キャンプ旅、スキー&スノーボードなど、1年を通してキャブコンで日本中を駆け回り、走行距離は10年間で約15万km!キャブコンに乗り替えたとき8歳だった長女は18歳になり、3歳だった長男は13歳になった。“人生のゴールデンタイム”を共に過ごしたキャブコンは、我が家にとってかけがえのない相棒だった。

クルマとしての利便性を求めてトラキャンに乗り替え

トラキャンに乗り換え

キャンピングカーの旅を通して子供たちはまっすぐに育ち、気づけば筆者も50歳に手が届く年齢になった。子供の成長と共に、家族全員そろって出かける機会は減り、夫婦と愛犬のミニマムなクルマ旅がデフォルトになってきた。そんなタイミングで乗り替えた3台目のキャンピングカーは、現行ハイラックスにMYSミスティック製の脱着式キャンパーシェルJキャビンHNを搭載したトラックキャンパー。ピックアップトラックとキャンピングカーの2WAYで使える、 日本ではごく少数派のカテゴリーだ。

現行ハイラックスにMYSミスティック製の脱着式キャンパーシェル「JキャビンHN」を搭載したトラックキャンパー

子供たちと出かける機会が減り、今後は「キャンピングカー」としてよりも「クルマ」としての使い方が増えていくことが想定されたため、3台目のキャンピングカーでは、居住性が多少スポイルされても、走行性能、燃費性能、安全性、利便性といったクルマ本来の性能を重視。ほかのカテゴリーとは一線を画す、アメリカンスタイルにもこだわった。

キャンピングカーに求めた条件

・普段使いが快適にこなせること
・クルマとしての性能が優れていること
・スタイルがカッコいいこと
トラックキャンパーのリア

ハイラックスのトラキャンに乗り替えて3年以上経過したが、乗り替え時に想定していた通り、使い方はほぼ夫婦+愛犬でのキャンプやクルマ旅。普段はシェルを降ろしてピックアップトラック単体で乗り回し、出かける前にシェルを積んでキャンピングカーとして活用している。キャブコン時代より居住空間は狭くなったが、普段使いの利便性は劇的に向上した。ハイラックス単体でデイキャンプやスノボ、日帰りドライブに出かけることも多く、トラキャンでバイクトレーラーを牽引する新しい遊びのスタイルにも挑戦。トラキャンに乗り替えたことで、さらにアクティブなキャンピングカーライフを送ることができている。

ライフステージで変わる“理想のキャンピングカーのカタチ”

トラキャンと岩田ファミリー

子供が幼いときはマルチに使えるバンコン、子供の成長期は居住性に優れたキャブコン、子供と遊ぶ機会が減った現在はトラキャン。ライフステージによって“最適なキャンピングカーのカタチ”は変わる

幅広いニーズに応えられる豊富なバリエーションがそろっているのが、キャンピングカーの大きな魅力。その時々の環境に合ったモデルをチョイスして、最高のキャンピングカーライフを満喫しよう。

WRITER PROFILE
岩田一成
岩田一成(いわた・かずなり)

1971年東京生まれ。キャンピングカーライフ研究家/キャンピングカーフォトライター。日本大学芸術学部卒業後、8年の出版社勤務を経て、2003年に独立。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に累計1000誌以上の雑誌・ムック製作に携わる。家族と行くキャンピングカーの旅をライフワークとしており、これまでに約1000泊以上のキャンプ・車中泊を経験。著書に『人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門』がある。

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