キャンピングカーの湯治旅で復活を果たしたミヤマ仮面の“深イイ話”

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キャンピングカーの湯治旅で復活を果たしたミヤマ仮面の“深イイ話”

キャンピングカーイベントの昆虫ショーでもおなじみの、ミヤマ仮面こと垣原賢人(かきはら・まさひと)さん。

人気プロレスラーとして第一線で活躍後、昆虫ヒーロー「ミヤマ仮面」としてキャンピングカーで全国を回りながら、子供たちに昆虫の魅力を伝えるイベントを展開してきた。その活動とキャンピングカーライフについては、昆虫ヒーロー「ミヤマ仮面」の超充実キャンピングカーライフでお伝えした通りだが、実はミヤマ仮面として常に笑顔を絶やさない垣原さんには、病魔との壮絶な戦いの過去があった。

プロレスラー垣原賢人さん

2014年12月に、悪性リンパ腫に罹患していることが発覚したものの、数年後にはプロレスラーとして、ミヤマ仮面として、奇跡的に復活。今回は、そんな垣原さんにキャンピングカーを活用した療養生活について、詳しくお話をうかがった。

思いもよらなかった悪性リンパ腫の宣告

昆虫ヒーロー「ミヤマ仮面」

キャンピングカーショーのステージ出演をきっかけに、キャンピングカーの魅力に目覚めた垣原さんは、2013年からナッツRVでクレアを借りて、ミヤマ仮面のイベントで使用するようになった。どこでもプライベート空間を確保できるキャンピングカーの利点を活かし、イベント中は車内を控室として使用。道中で寄り道して自然の中で遊ぶことも多く、とても充実したキャンピングカーライフを送っていた。

イベントの合間

そんな垣原さんに突然の病が宣告されたのは、2014年12月のことだった。

「悪性リンパ腫(血液のがん)が見つかったんです。症状はステージ4まで進行していて、非常に厳しい状態でした。思いもよらないことだったので、さすがにショックでしたね」

「ミヤマ仮面号」という希望の光

闘病当時の話しをする垣原賢人さん

そんな時、手を差し伸べてくれたのが、キャンピングカーショーのステージ出演やキャブコンのレンタルでお世話になっていた、ナッツRVの荒木賢治氏だった。

「荒木社長が『これを療養に使って元気になってほしい』と、キャンピングカーのクレソンを提供してくださったんです。突然悪性リンパ腫の宣告を受けて、その時は生きるか死ぬかの状態だったので、心遣いがとても胸にしみました」

ミヤマ仮面号のキャンピングカー

提供されたクレソンのボディには、大きく“ミヤマ仮面”のロゴが入れられていた。世界に1台だけのキャンピングカー“ミヤマ仮面号”だ。

「ボディに大きく入ったミヤマ仮面の文字を見て、『必ず復帰しなくてはいけない』という強い気持ちを持つことができました。ミヤマ仮面として活動を再開することができたのは、すべてキャンピングカーのおかげです。ミヤマ仮面号がなかったら、今頃どうなっていたかわかりません」

キャンピングカーを活用した療養生活

キャンピングカーで湯治

クレソン“ミヤマ仮面号”で、2015年から本格的な療養を開始した垣原さん。キャンピングカーを活用した療養生活とは、一体どのようなものだったのか。

「全国各地に点在する湯治場を訪れて、温泉療法に専念しました。悪性リンパ腫は抗がん剤治療がメインなので、体に大きな負担がかかってしまうんです。東洋医学で温泉療法がいいと聞いたので、抗がん剤治療と並行してキャンピングカーで湯治の旅をしていました。
湯治の場所は、図書館や本屋に通って調べたり、同じ病気を克服した方にアドバイスをもらったりして探しました。いろいろな温泉に行きましたが、中でもラジウム温泉が自分の体に合っていると感じたので、ラジウム温泉の湯治場を選ぶことが多かったですね」

ミヤマ仮面号で湯治

キャンピングカーは、クルマ旅やキャンプ、アウトドアアクティビティ、趣味などに活用されることが多いが、どんな場所でも自分だけのプライベート空間を確保できるというキャンピングカーの優位性は、湯治場でも大いに役立ったという。

「山梨、福島、長野など、がんに効くと言われている各地の湯治場に行きました。そういう場所はがんをはじめ様々な疾病を抱えた方がたくさん集まってくるし、一般的に温泉療法は長逗留になるので、人気のある湯治場だと宿泊の予約が取れないことも多い。でも、キャンピングカーなら、湯治場の駐車場にクルマを止めれば、宿をとらなくても入浴や宿泊ができるし、自由なタイミングで湯治場を変えることもできる。それが、何よりも助かりましたね」

療養に役立ったキャンピングカーの装備

キャンピングカーのバンクベッドで横になる垣原さん

キャンピングカーの車内には、快適に生活するために必要な装備が満載されている。湯治場での療養生活で、とくに役立ったのはどんな装備だったのだろうか?

「入浴後すぐ横になると温泉療法の効果が高まると言われているので、キャンピングカーの車内にベッドがあるのは非常にありがたかったです。お風呂を出て車内に戻ったら、ベッドで横になって読書をしながらゆっくりと体を休める。それができたのは、キャンピングカーがあったからこそです」

食事療法で作った食事

ベッドのほかに、家と同じように自炊できるキッチンが完備されていることも、湯治場での療養生活において非常に重要なポイントだったという。

「温泉療法と並行して、ゲルソン療法という食事療法も行っていましたが、それがすごく厳しくて。まず塩がダメで、しょうゆも当然ダメ、油もダメ、レスラー時代からたくさん摂ってきたたんぱく質もダメ……。それって外食ではありえないですよね。
湯治の旅には、家族が同伴することも多いわけです。家族は宿の食事を食べられるけど、僕は厳しい食事療法のために外食ができない。そんな時でも、キャンピングカーの車内にあるキッチンで家内が自炊をして、食事療法を続けることができました。温泉療法も食事療法も、キャンピングカーがあったおかげで本当に助かりましたね」

自身のキャンピングカーライフを振り返って

垣原賢人さんとクレソン車内

キャンピングカーを活用した療養生活を経て、垣原さんはミヤマ仮面としての活動を再開。今年に入って、クレソンボヤージュ・エボライトに車両をチェンジして、より快適で充実したキャンピングカーライフを送っている。

「僕のキャンピングカーライフは、3つの段階がありました。最初に借りていたクレアは、ミヤマ仮面のイベント用。クレソン“ミヤマ仮面号”は、悪性リンパ腫の療養用。そして今年から乗り始めたクレソンボヤージュは、復活したミヤマ仮面の活動をサポートしてくれる、かけがえのない相棒です」

ミヤマ仮面とクワガタ忍者

悪性リンパ腫の深刻な状態から、見事な復活を遂げた垣原さん。現在は、クレソンボヤージュで相棒のクワガタ忍者と共にクワガタ採集に出かけ、その様子をYouTubeクワガタ採集ちゃんねるにアップすることで、子供たちに昆虫の魅力や自然の大切さを伝えている。

垣原賢人さんとクレソンボヤージュ

悪性リンパ腫から劇的に復活できたのも、すべてキャンピングカーのおかげ。これは声を大にして言いたいです。“ミヤマ仮面号”で療養に専念した期間があったからこそ、今がある。キャンピングカーがなかったらどうなっていたんだろうと、本当に思います。あの時、荒木社長がミヤマ仮面号で応援してくれたこと、キャンピングカーを使ってくれと言ってくれたこと。そのおかげで治療に専念できて、命を救ってもらったと思っています。

キャンピングカーのおかげで元気になったので、今度はミヤマ仮面として日本中の子供たちを元気にしたい! それが、荒木社長とキャンピングカーへの僕なりの恩返しです!」

WRITER PROFILE
岩田一成
岩田一成(いわた・かずなり)

1971年東京生まれ。キャンピングカーライフ研究家/キャンピングカーフォトライター。日本大学芸術学部卒業後、8年の出版社勤務を経て、2003年に独立。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に累計1000誌以上の雑誌・ムック製作に携わる。家族と行くキャンピングカーの旅をライフワークとしており、これまでに約1000泊以上のキャンプ・車中泊を経験。著書に『人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門』がある。

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