専門家に聞く「キャンピングカーの安全運転テクニック」

キャンピングカー活用法
,

safe-drive_01

キャンピングカーレンタルサービスの充実に伴い、誰でも手軽にキャンピングカーを体験できるようになりましたが、キャンピングカーの運転に不慣れなことが原因で、事故も増加しているようです。大きくニュースに取り上げられたのでご存知の方も多いと思いますが、最近でもレンタカーのキャブコンが高速道路で横転する事故が起こっています。

キャンピングカーは様々な魅力にあふれた素晴らしい乗り物ですが、その特徴を理解して安全運転を心がけないと、思わぬ事故につながってしまう可能性があります。

そこで今回、キャンピングカーを運転する際、どのような点に注意すればいいのか、キャンピングカーライターの岩田一成氏に話をうかがいました。岩田氏は、軽キャンパー、バンコン、キャブコン、バスコン、輸入モーターホームまで、あらゆるキャンピングカーのドライブ経験を持つプロフェッショナル。自動車雑誌に長年携わってきた経験と、現役キャンピングカーユーザーとしての実体験から、「キャンピングカーを安全に走らせるテクニック」について豊富なノウハウを持っています。

「実際に乗っている人」だからこそわかる的確なアドバイスは、キャンピングカー初心者やレンタカーで初めてキャンピングカーを運転する人にとって、必ず役立つはずです。

大切なのは、キャンピングカーの特徴を理解すること!

様々な種類のキャンピングカー

【岩田】快適な居住空間を確保するためにキャンパー架装を施したキャンピングカーは、ベース車両から大幅に重量が増加していますので、普通乗用車に比べると動力性能やブレーキ性能が低い傾向にあります。

また、トラックベースのキャブコンは重心が高いため、普通乗用車よりも走行安定性が低いですし、どのキャンピングカーにも言えることですが、装備品や積載物が偏っていると重量バランスが悪くなり、これも走行安定性の悪化を引き起こす原因になります。

居住空間を重視したキャンピングカーの性格上、ボディが面積の大きな箱型デザインになりますので、横風による影響を受けやすいというデメリットもあります。

スポーツカーと貨物用トラックでは、同じ自動車でも性格がまったく異なります。それと同様に、普通乗用車とキャンピングカーでは目的も性格も大きく異なります。まずは、キャンピングカーの特徴を理解し、それに見合った運転をすることが重要です。

キャンピングカーを安全に走らせるポイントは?

キャンピングカーの運転

スピードを控えめにする!

【岩田】何よりも大切なのは、スピードを出し過ぎないことです。

平地でアクセルを踏めば、重量級のキャンピングカーでもそれなりにスピードは出ます。しかし、スピードが出せることと、「その速度で安全に走れるかどうか」は別の話です。

高速道路でアクセルを踏み込めば、キャンピングカーで追い越し車線を走ることは可能かもしれませんが、走行中は何が起こるかわかりません。突然横風が吹いてボディが大きく振られたら、大きな轍にタイヤをとられてふらついたら、前のクルマが急ブレーキを踏んだら、横のクルマが急な車線変更をしてきたら、走行中にタイヤが突然バーストしたら……。そうした状況に直面した際、その速度で対応できるのか!?

キャンピングカーを運転する際にもっとも大切なのは、「不測の事態に見舞われても安全に回避できる速度」で走行することです。控えめのスピードでのんびりと走れば、気持ちにも余裕が生まれ、急ハンドルや急ブレーキなどの危険な操作につながる状況も激減します。

急ハンドル、急ブレーキをしない!

【岩田】重心が高いキャンピングカーでは、「急の付く操作」は厳禁です。とくに、急ハンドルは横転などの大事故につながる危険があります。車線変更では、イッキにハンドルを切るのではなく、ゆっくりとしたハンドル操作でスムーズに車線を移動するように心がけましょう。

急ブレーキもご法度です。重量が重いキャンピングカーは、普通乗用車と比べて制動距離が長いので、急ブレーキを踏むようなシチュエーションに見舞われないように、安全な速度で車間距離を十分に開けて運転するのが基本です。急ブレーキを踏むと車体が大きく前につんのめるような状態になり、上部の収納ラックや棚に置いた生活用品が落下して、思わぬケガにつながることもあります。

急ハンドルや急ブレーキなど「急の付く動作」をしないことは、すべての自動車の運転に共通の基本テクニックですが、キャンピングカーではそれがより重要になります。

カーブではしっかり速度を落とす!

キャンピングカーの運転

【岩田】重心が高く、車両重量が重いキャンピングカーは、カーブを曲がる際に遠心力でボディが外側に大きく傾きます。そのため、普通車のような感覚で突っ込むと、曲がり切れずにヒヤリとすることも……。

キャンピングカーでコーナーに差しかかったら、カーブの前でしっかりとスピードを落として、無理のない速度で曲がること。普通乗用車と同じ感覚で、十分にスピードを落とさないままカーブに突っ込むのは絶対にNGです。

横風によるふらつきに注意!

キャンピングカーと横風

【岩田】キャンピングカーの大敵のひとつが、横風です

面積の大きな箱型ボディが風による影響を受けやすく、横風によってボディが大きく振られることがあります。風が強い場合は、とにかくスピードを落として、両手でハンドルをしっかり握り、風によるボディの揺れに対処すること。スピードを落としても風の影響は受けますが、速度の高い時と比べれば安定性は格段に上がります。あまりにも風が強い場合は、最寄りのSAやPAで休憩しながら、天候が変わるのを待つのも手です。

横風以外にも、大型トラックや大型バスに追い抜かれた際に、風圧でボディがふらつくことがありますので、注意が必要です。対処法としては、サイドミラーで後方の交通状況を確認し、大型車に追い抜かれるタイミングで、ボディが振られても大丈夫なように気持ちの準備をしておくこと。何も考えずにいきなりボディが横に振られるのと比べて、気持ちの準備をしておくだけでも対処が容易になります。また、追い抜かれる際に、車線内の左寄りを走ることでも風圧によるふらつきは多少緩和されます。

ルーフの高さに注意!

ルーフの高さに注意

【岩田】キャンピングカーを運転する際には、ルーフの高さにも注意が必要です。走行中、ボディの幅や長さは自然に意識ながら運転していますが、高さは意識から抜け落ちてしまいがちです。実際に、レンタカーのキャブコンで日帰り入浴施設を訪れた際、車寄せの屋根にバンクベッドをぶつけて大破したという話もありますし、キャンプ場の林間サイトで立ち木にルーフをぶつけたという話もよく聞きます。

とくに、キャブコンなど背の高いクルマは、全高が3mを超えることも珍しくありません。トンネルや高架で「全高〇m以下」などと記してある注意書きを見落とさない、道路の左に寄せて停車する際、街路樹にルーフをこすらないように注意する、キャンプ場の林間サイトでは立ち木に注意するなど、普通車にはない「高さ」の要素も意識して運転する必要があります。

ゆとりを持った運転で楽しく安全なドライブを!

スポーツカーにはスポーツカーの、トラックにはトラックの、キャンピングカーにはキャンピングカーの特徴があり、それぞれのクルマに見合った運転が必要になります。

キャンピングカーは、自動車と家の要素を併せ持つ「特殊なクルマ」。キャンピングカーを運転する際は、それをしっかり理解したうえで、常に控えめな速度で気持ちにゆとりを持って運転することが大切です。

「スピードを出し過ぎない」「急の付く操作をしない」「カーブでは十分速度を落とす」。自動車運転の基本をしっかり守るだけで、キャンピングカーの走行時のリスクは激減します。

安全運転を心がけて、楽しいキャンピングカーライフを!

WRITER PROFILE
岩田一成
岩田一成(いわた・かずなり)

1971年東京生まれ。キャンピングカーライフ研究家/キャンピングカーフォトライター。日本大学芸術学部卒業後、8年の出版社勤務を経て、2003年に独立。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に累計1000誌以上の雑誌・ムック製作に携わる。家族と行くキャンピングカーの旅をライフワークとしており、これまでに約1000泊以上のキャンプ・車中泊を経験。著書に『人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門』がある。

キャンピングカーライター一覧へ

キャンピングカー活用法
,


レンタルキャンピングカーネット