キャンピングカーのトラブル&面白エピソード集

キャンピングカー活用法

キャンピングカーは、移動手段としての「クルマ」の機能だけではなく、車内で生活できる「家」の要素も兼ね備えた“特殊なクルマ”。だからこそ、普通のクルマでは味わえないような素晴らしい体験ができる。

ただし、特殊なクルマだからこそ、時には普通車では考えられないようなトラブルに遭遇したり、笑える体験をすることも……。楽しさもトラブルもひっくるめて、かけがえのない体験を共有できるのが、キャンピングカーの魅力!

今回は、バンコン、キャブコンを乗り継いだ筆者が実際に経験した、キャンピングカーならではの「あるあるエピソード」のごく一部を紹介しよう。

キャブコンの納車日にルーフをぶつける!

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愛車のキャブコンが納車された日のこと。

無事車両の受け渡し手続きを終え、自宅の前に満面の笑みでキャブコンを乗りつけたところ、屋根の方から「ガリガリ」というイヤ~な音が……。クルマを降りて確認すると、路上に張り出した街路樹が、全高約3mを誇るキャブコンの高い屋根に見事にヒットしていた。しかも、葉っぱではなくそこそこ太い枝の部分が当たっていたので、ルーフ側面のフロントからリアにかけて、ひと目見てわかるほどのひっかき傷がクッキリ……。

「納車直後に、念願のキャブコンが傷物になる」という、あまりの悲劇にボーゼンとするも、すぐさまコンパウンドと脚立を用意して、「これがキャブコンの洗礼か……」とある意味感心しながらせっせと傷磨き。まさか、納車日にコンパウンドでボディの傷を磨くはめになるとは……。

絶対に忘れられない、キャブコン納車記念日の思い出だ。

走行中に冷蔵庫がオープン!

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キャンピングカーに乗っている人なら、「ある、ある」と頷く人も多いはず!? キャンピングカーの冷蔵庫には、走行中に扉が開かないようにロックが付いているものの、ロックをかけ忘れたり、経年劣化したロックが走行中の振動でゆるんでしまうのが原因で、走行中に扉がパカッと開いてしまうことがある。

何気なくカーブを曲がった瞬間、後方からドサーッと「大量の何か」がぶちまけられる音。そして、「ワー!」という子供たちの悲鳴……。これが、走行中に冷蔵庫が開いて、中に入っていた飲み物や食材が車内に散乱してしまった時の状況だ。しかし、長年のキャンピングカー旅で、我が家の誰もがこんなことには慣れっこ。「全部冷蔵庫に戻しておいて~。閉めたらちゃんとロックかけてね」と何事もなかったように指示するフロントシートの両親と、散らばった食材をせっせと冷蔵庫に戻す子供たち。

「トラブルも笑顔で乗り切る」、それがキャンピングカーの旅で我が家が学んだことだ。

超狭い道で冷や汗体験!

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遊びから仕事までキャブコン1台でまかなっている筆者が遭遇した、過去最大級のピンチがコレ。仕事で訪れた現場は、千葉の山中にある古民家。そこまで続く道は、まるで歩道のように狭く、しかも急坂と急カーブが連続する難所……。普通車でも進入するのをためらうほど過酷な道だったが、仕事なので現場にたどり着けなければどうしようもない。

覚悟を決めて、キャブコンで狭小路に突入するも、全幅が2.1mもあるキャブコンと両側のトタン塀との距離はわずか数センチ。しかも、登りの急カーブで、リアの片輪の荷重が抜け、スリップして立ち往生してしまった。慎重に前進・後退を繰り返して難所を切り抜け、何とか現場までたどり着くことはできたが、本当に冷や汗ものの経験だった。

「よく登ってきましたね!」と目を丸くしていた古民家のオーナー曰く、「宅配便のトラックは、下に駐車して台車で上がってきますよ」とのこと。「それを早く言ってよ~!」と思う半面、この経験が「キャブコンでも何とかなるもんだ」という自信にもなった。

これでもう、どんな道でも怖くない!?

手を振ったらトラックだった!?

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キャンピングカーの世界では、道ですれ違う際に手を振りあって挨拶する素敵な習慣がある。しかし、キャンピングカーに乗り始めて間もない頃は、慣れない習慣に楽しさよりも緊張の方が大きかった。はるか前方にキャンピングカーらしきクルマが見えると、「来たよ、来たよ!」「どのタイミングで手を振ろうか」と助手席の妻と毎回ドキドキ。で、近づいてきたら結局そのクルマは白いトラックで、「なんだよ~!」と大笑いしたり……。

手を振ったのに挨拶が返ってこなくて、上げた手の行き場がなくなり苦笑いすることもある。そんな状況が何度か続いて心が折れ、次にキャンピングカーとすれ違ったときに手を上げなかったら、そんな時に限って妻から「さっきのクルマの人、手を振ってたよ」と言われ、「それを早く言ってくれよ~!」と喧嘩になったり……。

すれ違いざまの挨拶ひとつとっても、そこにはさまざまなドラマがあるのだ!(笑)

サブバッテリーの電圧低下でFFヒーターが点火せず!

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仕事で秋に富士山周辺を訪れ、キャンピングカーの車内で就寝していた時のこと。早朝4時ごろ、車内のあまりの寒さに目を覚ました。寝る前は、FFヒーターでポカポカだったはず……。いぶかしみながらバンクベッドからダイネットに降りると、車内の温度は9℃! 調べてみたところ、温度調整のために自動でON/OFFを繰り返すFFヒーターが、サブバッテリーの電圧低下により再点火できなくなっていたことが判明した。

バッテリー自体の経年劣化と、ソーラー充電がほぼ機能しない雨天での連泊だったことが、電圧低下の原因。幸い1人だったため、車内にあった冬用のダウンシュラフを使って切り抜けたが、さらにバッテリーの電圧が下がれば冷蔵庫のコンプレッサーも稼働しなくなり、冷蔵庫内の食材が腐ってしまう可能性も……。

快適なキャンピングカー生活を送るには、日ごろのサブバッテリー管理が重要だ。

キャンピングカー旅での素敵な出会い

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トラブルネタばかりだったので、最後は素敵なエピソードで締めくくり。キャンピングカーで旅をしていると、道中でさまざまな出会いがある。道の駅などで同じキャンピングカーユーザーと知り合ったり、自転車やバイクで旅をしている若者と交流したり……。

中でも印象に残っているのは、2008年に北海道を旅した時の思い出。写真の自転車青年とは、知床野営場で出会った。勤めていた会社を辞めて日本1周の旅をしている最中の彼と、キャンプ場で知り合って何日か一緒に過ごし、帰った後も彼のブログで日本1周達成の記事を読んで、コメントでやりとりをするなどの交流が続いた。

グループで写っている写真は、同じく2008年、北海道・丸瀬布いこいの森オートキャンプ場での一コマ。当時0歳だった長男を連れてキャンプをしていた時、近くのサイトにいたバスコン乗りのオーナーから声をかけられたのがキッカケで、夕食後に合流して楽しく語り合った。その時に出会ったバスコンオーナー夫妻とは、毎年の北海道キャンプ旅で自宅にお邪魔したり、北海道の海の幸を送ってもらったりと、出会いから10年経った今でも親戚同士のような付き合いが続いている。

こうした素敵な出会いこそが、キャンピングカー旅の最大の魅力なのだ!

WRITER PROFILE
岩田一成
岩田一成(いわた・かずなり)

1971年東京生まれ。キャンピングカーライフ研究家/キャンピングカーフォトライター。日本大学芸術学部卒業後、8年の出版社勤務を経て、2003年に独立。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に累計1000誌以上の雑誌・ムック製作に携わる。家族と行くキャンピングカーの旅をライフワークとしており、これまでに約1000泊以上のキャンプ・車中泊を経験。著書に『人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門』がある。

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