いまや日本中どこでもレンタルキャンピングカーの店舗があり、誰でも手軽にキャンピングカーの旅を楽しめるようになった。春から秋の観光シーズンともなればレンタルキャンピングカーの利用者が激増し、トップシーズンには予約を取るのが難しいほどの人気となる。しかし、一般的に観光やレジャーのオフシーズンと言われる冬季は、レンタルキャンピングカーの利用者も激減するのが常だ。
15年以上にわたり「冬こそキャンピングカーのオンシーズン」と言い続けてきた筆者にしてみれば、こんなにもったいない話はない。外は氷点下の真冬でも、FFヒーターさえあれば車内はTシャツで過ごせるほどポカポカ。予約の取れない人気キャンプ場も貸し切り状態になり、オンシーズンは人でごった返していた観光地ものんびりと回ることができる。キャンピングカーがあれば、スキーやスノーボードなどのウインタースポーツも快適そのもの! やっぱり「冬こそキャンピングカーのオンシーズン」なのだ。
今回は、「冬」と「キャンピングカー」の親和性を証明するべく、単身で北海道レンタルキャンピングカーの旅を敢行! 東京から飛行機で新千歳空港まで移動し、レンタルキャンピングカーで冬の北海道旅を満喫してきた。
旅のテーマは、
- 氷点下10度以下の極寒で雪中キャンピングカー泊をする!
- 北海道でウインタースポーツを満喫する!
- 北海道のご当地グルメを食べ尽くす!
2泊3日の短期間で、どれだけ中身の濃い旅ができるのか!?「冬のレンタルキャンピングカーの楽しみ方」を、ドキュメンタリーでお届けする。
1日目
7:40 成田空港出発
成田空港から早朝の飛行機に乗り、新千歳空港までひとっ飛び。東京からわずか1時間45分のフライトで、北の大地に到着した。
新千歳空港はLCC(格安航空会社)の発着便が多く、チケットは成田から新千歳まで片道1万円未満で購入可能。タイミングがよければ、片道6000円未満の格安料金で北海道に行ける。
北海道の旅は「高い」「長期じゃないと無理」というイメージが強いが、東京から片道1万円以内なら、新幹線で本州を旅するよりも安価。北海道までの移動も2時間未満なので、極端な話、往路に早朝便、復路に夜間便を使えば、日帰り旅行を楽しむことも不可能ではない。
10:30 北海道ノマドレンタカー千歳店 出発
今回お世話になったのは、千歳エリア最大規模を誇るキャンピングカーレンタル専門店北海道ノマドレンタカー千歳店。空港までの無料送迎もあり、キャンピングカーのレンタル手続きもスムーズ。10時半過ぎにすべての手続きを済ませ、いよいよ2泊3日の北海道キャンピングカー旅がスタートした。
レンタル車両は、バンテックのジル520。北海道ノマドレンタカーで取り扱う国産キャブコンは、全車ディーゼルターボエンジンの4WD車。もちろん冬季はスタッドレスタイヤが装着されているので、雪の中でも安心・快適にドライブできる。
12:00 支笏湖
千歳から下道で市街地を抜け、まずは北海道屈指の大自然が残る支笏湖へ。湖の南側を東西に走る国道453号線は夏場に何度も通ったルートだが、真っ白な雪景色の中を走るのは初めての経験。サマーシーズンとは別世界の幻想的な光景を眺めながら、雪中ドライブを満喫した。
12:30 きのこ王国 大滝本店
雪が降りしきる中、美笛峠を抜けて国道276号沿いにあるきのこ王国 大滝本店に到着。ここは、名物のきのこ汁や野菜、スイーツまで、北海道ならではの味覚を思う存分味わえる人気の観光スポットだ。
この日のランチは、フードコートできのこそばをいただいた。きのこがたっぷり入った温かいソバは、まさに絶品!きのこ汁をはじめ、そば、うどん、カレー、天丼、ラーメンなど豊富なメニューが味わえるほか、農家直送の新鮮野菜や果物が並ぶきのこ王国青果棟、北海道の特産物が2000種類以上そろったおみやげ館などもあり、この日も大勢の外国人観光客が食事や買い物を楽しんでいた。
ランチの後も、雪の中をひたすらドライブ。4WD&スタッドレスタイヤの安心感はあるものの、車体が大きく重量のあるキャブコンなので油断は禁物だ。大切なのは、とにかくスピードを出しすぎないこと!とくに下りのカーブではエンジンブレーキを併用してしっかり速度を落とし、急ハンドル・急加速・急ブレーキなど「急」のつく操作は絶対に行わないこと。
15:00 真狩SAUNA&VILLA焚火
雪中ドライブを満喫し、1日目の宿泊地真狩SAUNA&VILLA焚火に到着した。羊蹄山を望む広大なグランピング施設内には、プライベートサウナ付きコテージや1日1組限定のキャンピングカー専用RVベース(車中泊サイト)も完備されている。北海道では貴重な通年営業のフィールドで“極寒の雪中キャンピングカー泊”を楽しむのが、この日の目的だ。
プライベート感あふれるRVベースでキャンピングカー泊する予定だったが、前日からの豪雪で使用できなかったため、特別にプライベートサウナ付きコテージの駐車スペースを利用させてもらった。
16:00 まっかり温泉
冷え切った体を温めに、真狩SAUNA&VILLA焚火からクルマで5分ほどの場所にあるまっかり温泉(入浴料:大人600円)へ。大浴場のほか露天風呂やサウナも完備されており、源泉かけ流しの温泉をゆっくり堪能できる。
19:30 夕食
温泉の後は、真狩SAUNA&VILLA焚火に戻って夕食タイム。外は豪雪なので、施設内のBBQハウスを利用させてもらった(※通常は、食材セットを注文した場合のみ無料で利用可能)。北海道の旅らしく、この日のメニューはジンギスカン。温かい北海道メシに舌鼓を打ちながら、北海道1日目の夜は更けていった。
22:00 温かい車内でのんびりタイム
絶品のジンギスカンをお腹いっぱい味わってから、キャンピングカーの車内に戻って就寝前のくつろぎタイム。外は雪が降りしきる氷点下10度以下の極寒でも、FFヒーターをつけっぱなしにしておいた車内は、外とは別世界の温かさだ。
ダイネットで2日目のスケジュールを確認したり、持参したタブレットで映画を観たりしてから、バンクベッドで就寝。ジル520の車内は、1人ではもったいないほどの広さ。装備も充実していて、極寒の車中泊も快適そのものだ。
2日目
8:30 真狩SAUNA&VILLA焚火 出発
7:00に目を覚まして外に出ると、バンクの先端に大きなツララが!雪国の人にとっては当たり前の光景かもしれないが、東京生まれの筆者は思わず感動。真冬の北海道でキャンピングカー旅をしていると、改めて実感した瞬間だ。
出発前、お世話になったフィールドをバックに記念写真。真狩SAUNA&VILLA焚火は、大自然と快適設備が融合した素晴らしいフィールドだった。今回は場内から羊蹄山を望むことができなかったので、それはまた次の機会に!
10:00 ニセコ東急 グラン・ヒラフ到着
冬の北海道の最大の楽しみは、ウインタースポーツ! 毎年冬になると極上のパウダースノーを求めて、世界中から多くのスキーヤー&スノーボーダーが北海道に集まってくる。なかでも羊蹄山にまたがる4つのスキー場で構成されたニセコエリアは、フワフワのパウダースノーを楽しめる日本でもっとも人気が高い一大スノーリゾートだ。
今回訪問したニセコ東急 グラン・ヒラフは、ゲレンデ面積・リフト数ともにニセコエリア最大規模を誇り、初心者から中上級者まで楽しめる30本以上のコースが完備されている。世界中のスキーヤー・スノーボーダーからも人気が高く、この日もゲレンデにいるほとんどの人が外国人。海外のスキー場で滑っているような “非日常感”を味わえるのも、北海道のスキー場ならではの特徴と言えるだろう。
キャンピングカーは、スキー&スノボのベース基地としても最適だ。室内で立って手を伸ばせるほど天井が高いので、ウエアの着替えもラクラク。スキー場の駐車場に止めたキャブコンの温かい車内で、スノーボードの準備を整えた。
リフトに乗り込み、いよいよ今シーズン初のスノーボード。15年以上キャンピングカーで北海道に通い続けてきた筆者だが、真冬の北海道は今回が初めての経験となる。もちろん、北海道のスキー場も初体験。雪質が最高!と名高い北海道のスキー場で一度は滑ってみたいと思っていたので、リフトに乗り込んだ瞬間からワクワク感がMAXに!
初めて訪問したニセコのスキー場は、控えめに言って「最高」だった! ゲレンデの規模も大きく、コースもバラエティに富んでいて、滑走距離も長い。何より雪質が素晴らしく、自分の滑りが実力よりもワンランク上に感じられるほど滑りやすい。多くのスキーヤーやスノーボーダーが「いつかは北海道で滑ってみたい」と憧れを抱くのも無理はないと、ニセコのゲレンデを滑りながら実感した。
スキー場の駐車場に止めたキャンピングカーに戻って、車内で温かいコーヒーを飲みながら休憩をとる。スキー場のそばにキャンピングカーという「プライベート空間」があるのは、スキーヤー&スノーボーダーにとって最高の贅沢。FFヒーターで温まった車内で休憩や食事ができるほか、疲れたらベッドで仮眠も可能だ。
午前中から4時間ほど滑って、北海道のスキー場の魅力を堪能した。この経験だけでも、冬の北海道に来たかいがあるというもの!
15:00 「蘭越町交流促進センター雪秩父」で温泉を堪能
スノボを満喫した後は、外国人でにぎわうニセコの街並みを抜けて、クルマで20分ほどの場所にある蘭越町交流促進センター雪秩父(入浴料:大人700円)へ。雄大な雪景色を眺めながら露天風呂にゆっくり浸かり、源泉かけ流しの温泉を堪能した。「スキー&スノボ」と「温泉」をセットで楽しめるのも、冬の北海道の大きな魅力のひとつだ。
17:30 RVパーク倶知安 到着
温泉を出てから再び雪道を30分ほど走り、夕方にこの日の宿泊地RVパーク倶知安(くっちゃん)に到着した。ここは、ニセコエリアのスキー場からクルマで約10分の好立地にあるRVパーク(有料の車中泊専用施設)。通年営業なので、スキー&スノーボードの拠点としても利用価値が高い。
ちなみに、写真の右奥に見える明かりは、昼間滑ったニセコ東急 グラン・ヒラフのナイター照明。RVパークの利用料金は1泊(1台)2750円で、AC電源は別料金(1日550円)となる。
18:30 倶知安の居酒屋で北海道グルメに舌鼓
倶知安市街までクルマで約5分という利便性の高さも、RVパーク倶知安の大きな魅力。せっかくなのでタクシーを呼んで倶知安駅周辺まで移動し、地元の居酒屋でディナーを楽しむことにした。
活気にあふれた店内で、新鮮な刺身盛りやザンギ、ホッケなどのご当地グルメに舌鼓を打つ。海鮮から肉料理まで、何を食べても美味しい!北海道グルメのレベルの高さを改めてかみしめながら、キャンピングカー旅最後の夜を締めくくった。
3日目
10:00 RVパーク倶知安 出発
広々としたバンクベッドで熟睡して、スノボで疲れた体もすっかり回復した。クルマの外に出ると、目の前には雪化粧した羊蹄山の雄姿が!
クルマの横には、一面の雪原とニセコのゲレンデ。こんな素晴らしいロケーションでキャンピングカー泊ができるだけでも、冬の北海道を訪れる価値があるというものだ。
11:00 「柿崎商店」で海鮮ランチ
お世話になったRVパーク倶知安を出発してから雪道を1時間ほど走って、余市にある柿崎商店でランチタイム。1階が新鮮な魚介類を販売する食品スーパーになっており、2階の直営店海鮮工房では旬の食材をふんだんに使った海鮮料理が味わえる。
新鮮な魚介がたっぷりのった海鮮丼は、ナント1580円!自家製いくら丼(1680円)やほたて丼(1480円)、ほっけ定食(750円)など、どのメニューもリーズナブルなのに驚いた。観光客相手の海鮮食堂だと、おそらく倍近い価格になるはず。「さすがは地元民に人気のお店」と納得しながら、ボリューム満点の海鮮丼を味わった。
14:30 北海道ノマドレンタカー千歳店で車両返却
海鮮丼をたらふく味わった後は、高速道路で千歳まで一直線。北海道ノマドレンタカー千歳店で車両を返却して、2泊3日の北海道レンタルキャンピングカー旅が無事終了した。
「雪中キャンピングカー泊」「スノーボード」「北海道グルメ」と、テーマを3つに絞った今回の旅は、たった3日間なのに長い旅をしてきたように感じられるほど、楽しく充実した内容だった。夏でも冬でも、やっぱり北海道は最高だ!
16:00 新千歳空港で豚丼を食す
北海道ノマドレンタカー千歳店から新千歳空港までクルマで送ってもらい、早めに搭乗手続きを済ませる。空港のターミナルビルには、お土産屋や飲食店のほかに映画館、温泉施設などもあり、1日いても飽きないほど。
夕食は、帯広のご当地グルメ豚丼をチョイス。何度か本店を訪れて美味しさの虜になったドライブインいとうが国内線のグルメエリアに入っていたので、迷わず入店した。濃い目のたれを絡めて香ばしく焼き上げた豚丼は、何度食べても最高の味。これで、「北海道のご当地グルメを食べ尽くす」という3つ目のテーマも完全にクリアした。
19:05 飛行機で成田空港に帰還
17:20の飛行機で新千歳空港を出発して、19:05に成田空港に到着。2泊3日とは思えないほど充実した真冬の北海道レンタルキャンピングカー旅は、これで幕を閉じた。
冬の北海道は今回が初めてだったこともあり、「雪中キャンピングカー泊」「スノーボード」という冬ならではの醍醐味を、新鮮な気持ちで楽しむことができた。夏には夏の、冬には冬の魅力がある。まだ北海道の冬を体験したことのない人は、ぜひ飛行機とレンタルキャンピングカーを利用して手軽で快適な冬の北海道旅を体験してみてほしい。そこには、今まで見たことのない景色と新しい体験が待っているはずだ。
※レンタル店によっては冬季クローズしている店舗もあるので、予約の際には直接店舗へ確認して下さい。