子どもと一緒にできるだけ長くキャンピングカーの旅を続けるポイントは?

キャンピングカー活用法
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子どもと一緒にできるだけ長くキャンピングカーの旅を続けるポイントは?

16年前、ミニバンにテントを積んで北海道に渡り、2週間ほどかけて道内のキャンプ場を巡ったのが、わが家の旅の始まりだ。その後すぐにキャンピングカーに乗り替え、毎年夏に2~3週間かけて北海道を旅するのが恒例行事となった。初めて北海道に渡ったとき3歳だった長女は現在大学2年生、0歳で北海道デビューした長男は現在中学3年生。子たちも大きく成長し、ミニバン~バンコン~キャブコン~トラキャンと乗っているクルマも変わったが、夏の北海道キャンピングカー旅だけは、年に1度の大切な家族行事として今でも変わらず続いている。

バンコンと岩田ファミリー

キャンピングカー仲間からは、「子どもが大きくなって、キャンプや旅行についてこなくなった」と嘆く声がよく聞かれる。なかには、それが理由でキャンピングカーを降りてしまう人も……。実際わが家でも、長女が中学生になって部活動を始めたころから、家族そろって出かける機会は大きく減った。それでも、その時々にできるカタチを模索しながら、現在まで家族全員でキャンピングカーライフを楽しんできた。

今回は、どのようにして家族とのキャンピングカーライフを長年続けることができたのか、わが家流の旅のスタイルについてお話しする

キャブコンと岩田ファミリー

多忙な子どもと旅を続けるアイデア

北海道のキャンプ場と岩田ファミリー

子どもと一緒に遊べる時間は、親が思っているよりもずっと短い。子どもが中学に入学したタイミングが、キャンピングカーライフのターニングポイントだ。

「家族のキャンピングカー旅」は、自分や家族が「行けない言い訳を口にし出したとき」「旅をあきらめたとき」に終わりを告げる。仕事、学校、部活動、塾、受験など、それぞれに事情があり、行けない理由は作ろうと思えばいくらでも作れる。家族全員が「長く旅を続けたい」と思っているなら、常に「どうしたら行けるのか」を話し合い、それを実現するためのアイデアを出し合うことが重要だ。

わが家でも、長女が中学生になって運動部に入ってから、家族そろって出かける機会が大幅に減少した。勉強や部活動で忙しい長女と、北海道の旅を続けるにはどうしたらいいのか? 家族で話し合ってたどり着いた結論は、最初から最後まで全員で動いていた旅を「2部制」にすること。最初に先発隊が北海道に渡って旅を楽しみ、長女は後から飛行機で合流するか、旅の途中で飛行機に乗って先に帰宅する。変則的な形にはなるが、このスタイルなら家族の北海道キャンピングカー旅をあきらめずに済む。

飛行機移動とキャンピングカー

わが家が初めて「旅の2部制」を取り入れたのは、長女が中2だった2016年のこと。どうしても部活の休みが取れない長女と妻、愛犬を自宅に残して長男と2人で北海道に渡り、1週間ほど男同士で旅をした。その後、東京から飛行機で北海道入りした長女、妻、愛犬を新千歳空港まで迎えに行き、家族全員で北海道の旅を締めくくった。

キャンピングカー車内で勉強

長女が中3の受験生だった2017年の夏は、「毎日時間を決めて、キャンピングカーで勉強する」と本人が宣言したことで、北海道行きが実現。できるだけ移動を減らしてオートキャンプ場での滞在時間を増やし、長女の受験勉強を家族でサポートしながら北海道の旅を楽しんだ。

長女が無事第一志望の高校に入学してからも、しばしば「旅の2部制」を導入して、夏の北海道キャンピングカー旅だけは16年間ほぼ欠かさずに続けてきた。それができたのも、常に家族でアイデアを出し合い、「その時その時にできるスタイル」を模索してきたからだ。

今年の夏の北海道も「旅の2部制」を導入

トラキャンと岩田ファミリー

実は、今年の北海道キャンピングカー旅も、家族会議でアイデアを出し合うことで実現している。長女は学業とバイトに励む大学2年生、長男は中学3年の受験生。2人とも多忙な日々を送っているので、自分の予定を優先すれば北海道の長期旅など夢のまた夢だ。

北海道の岩田ファミリー

「どうやったら家族全員で北海道に行けるか」をテーマにした家族会議で、導き出した結論は2つ。旅の期間中にどうしても外せない用事があるという長女は、女満別空港から飛行機に乗って一足先に帰宅する。来年に受験を控えた中3の長男は、本人の提案で「毎日時間を決めて、キャンピングカーの中で勉強をする」ということになった。その2点を踏まえて旅の行程を練り、長男が勉強しやすい環境を整えるため、できるだけキャンプ場での滞在時間が多くとれるスケジュールとした。

女満別空港

旅の前半1週間は家族そろって北海道の旅を楽しみ、長女は女満別空港から飛行機で一足先に帰宅した。中学・高校の頃から、飛行機での途中参加&途中帰宅は何度も経験しているので、変則的な旅のスタイルも慣れたものだ。

トラキャン車内で受験勉強

受験生の長男は、キャンプ場に止めたキャンピングカーの中で毎日決まった時間に勉強に取り組んだ。お手本となったのは、まったく同じスタイルで勉強に励んで翌年春に無事第一志望校に合格した長女の存在だ。

北海道旅行中の岩田ファミリー

成長する子どもたちとできるだけ長くキャンピングカーの旅を続けたいなら、「行けない言い訳」を口にせず、その時その時にできるスタイルを家族で話し合うことがもっとも重要だ。互いにアイデアを出し合って困難な旅を実現できれば、家族の絆や連帯感も今まで以上に深まることだろう。

長女が3歳、長男が0歳のときに始まったわが家の旅も、早いもので16年。子どもたちはキャンピングカーの旅を通して、まっすぐにたくましく成長した。子どもたちが旅を楽しみにしてくれているうちは家族4人+愛犬で、子どもが独立したら夫婦2人で、長男と長女が結婚して子どもが産まれたら孫連れの3世帯で……。これからも、その時々にできるスタイルで、いつまでもキャンピングカーの旅を続けていきたい。

WRITER PROFILE
岩田一成
岩田一成(いわた・かずなり)

1971年東京生まれ。キャンピングカーライフ研究家/キャンピングカーフォトライター。日本大学芸術学部卒業後、8年の出版社勤務を経て、2003年に独立。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に累計1000誌以上の雑誌・ムック製作に携わる。家族と行くキャンピングカーの旅をライフワークとしており、これまでに約1000泊以上のキャンプ・車中泊を経験。著書に『人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門』がある。

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