キャンピングカーユーザーなら絶対に知っておきたいタイヤの知識

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キャンピングカーユーザーなら絶対に知っておきたいタイヤの知識

前回の記事でキャンピングカーにおけるタイヤ管理の重要性とその理由について説明したが、今回は実際にユーザーがどんな点に気を付ければいいのか、キャンピングカーのタイヤ管理についてより具体的に解説していきたい。

タイヤ管理でもっとも重要なのは、常に適正な空気圧をキープすること。まずは、正しいタイヤ管理に必須となる基礎知識を理解するところから始めよう。

タイヤのロードインデックス(負荷能力)を理解しよう

タイヤ

キャンピングカーのタイヤでもっとも重要な要素のひとつが、タイヤ1輪あたり何kgの負荷(荷重)に耐えられるかという「最大負荷能力」を示す「ロードインデックス」だ。

タイヤのサイズ表記の見方

タイヤのサイズ表記の見方

①断面幅(mm)
②扁平率(%)
③構造記号(ラジアル)
④リム径(インチ)
⑤ロードインデックス(単輪/複輪)
⑥速度記号(L→120km/h)
⑦用途記号(LT→小型トラック用)

タイヤのサイドウォールには上記のような表記が刻印されており、数字とアルファベットでタイヤに関するさまざまな情報が示されている。ここで注目するのは、タイヤの幅・扁平率・リム径の後ろに表記されている数字(上記の例では107/105の部分)。これはタイヤのロードインデックスを示した数値で、タイヤ1本が耐えられる負荷能力を表している。2つの数字が表記されている場合は「単輪/複輪」となり、シングルタイヤで使用する場合の負荷能力、トラックやバスのリアタイヤなどダブルタイヤで使用する場合の負荷能力を表す。重量級のキャンピングカーでは、この数値が非常に重要なのだ。

ロードインデックス表(一部抜粋)
LI 負荷能力(Kg) LI 負荷能力(Kg)
100 800 110 1060
101 825 111 1090
102 850 112 1120
103 875 113 1150
104 900 114 1180
105 925 115 1215
106 950 116 1250
107 975 117 1285
108 1000 118 1320
109 1030 119 1360

自分のクルマのタイヤがどのくらいの負荷能力があるかは、上記のロードインデックス表を見れば一目りょう然。例えば、ロードインデックスが100のタイヤなら1輪あたりの負荷能力は800kg、ロードインデックスが110のタイヤなら1輪あたりの負荷能力は1060kgとなる。負荷(荷重)がこの数値をオーバーすると、タイヤの寿命が短くなったり、バーストなどのトラブルの原因になるので、荷物の積み過ぎにはくれぐれも注意が必要だ。

タイヤの負荷能力と空気圧の密接な関係

タイヤ

キャンピングカーユーザーにぜひ知っておいていただきたいのは、タイヤのロードインデックス(負荷能力)は一定ではなく、空気圧によって変動するということ。例えば、カムロードの純正タイヤのロードインデックスは106/104で、シングルタイヤで使用する際の負荷能力は950kgだが、あくまでもこの数値はタイヤの負荷能力の最大値。どの空気圧でも一定して、950kgの負荷能力を発揮できるということではない。

同じタイヤでも、空気圧が低ければ負荷能力も低くなり、空気圧が高ければ負荷能力も高くなる。つまり、どんなに性能のいい(負荷能力の高い)タイヤを装着していても、適正な空気圧でタイヤを管理しなければ本来の性能を発揮できないということだ。

カムロード(~2021)純正タイヤ

195/70R15 106/104L LT
空気圧(kPa) 400 425 450 475 500 525 550 575 600
負荷能力(kg) 770 800 825 850 870 890 910 930 950

ハイエース純正タイヤ

195/80R15 107/105L LT
空気圧(kPa) 280 300 325 350 375 400 425 450
負荷能力(kg) 770 800 840 875 900 925 950 975

上記の表は、バンコンのベース車両としてポピュラーなハイエースと、キャブコンのベース車両としてポピュラーなカムロード(~2021)の、純正タイヤの空気圧と負荷能力を示したものだ。

表を見ると一目りょう然だが、カムロードの純正タイヤで最大負荷能力950kgを発揮するには600kPaの空気圧が必要となり、ハイエースの純正タイヤで最大負荷能力975kgを発揮するには450kPaの空気圧が必要となる。空気圧が下がるとそれに比例して負荷能力も下がり、例えばカムロードの純正タイヤの場合、空気圧500kPaだと負荷能力が870kgとなり、最大値から80kgも下がる。ハイエースで350kPaの空気圧だと負荷能力が875kgとなり、こちらは最大負荷能力の975kgから100kgのダウンだ。

このように、タイヤの空気圧と負荷能力は、切っても切り離せない密接な関係にある。いくら負荷能力に余裕があるタイヤを装着していても、適正な空気圧で管理しなければまったく意味がないのだ。

空気圧管理の基本は「指定空気圧をキープする」こと

キャンピングカー

これまでの説明で、なぜタイヤの空気圧管理が重要なのかご理解いただけたと思う。大切なのは、常に「指定空気圧」をキープすること。自動車の「指定空気圧」は、タイヤにかかる荷重やバランス、車両特性などのさまざまな要素を考慮して、自動車メーカー(架装メーカー)が決定する。「自分のキャンピングカーが装着しているタイヤの指定空気圧」がわからない場合は、必ずキャンピングカーの購入店や製作ビルダーに確認しておくこと。

また、重量のあるパーツを後付けしたり、荷物が多くてタイヤの負荷能力に不安を感じる場合は、その旨を販売店やビルダーに伝えて空気圧についてのアドバイスを受けるのがベター。自己流の知識で誤った空気圧管理をすることは、絶対に避けよう。

タイヤの空気圧は季節や気温で大きく変化する

空気圧チェック

タイヤの空気圧管理で頭に入れておきたいのは、「どんなタイヤでも自然漏洩によって空気圧が徐々に低下する」ということ。長期間駐車した状態から空気圧チェックもせずにクルマを走らせると、空気圧不足でタイヤのトラブルを引き起こす可能性がある。出発前に必ずタイヤの空気圧をチェックして、空気が不足している場合は適正値まで補充する。それを心がけるだけで、キャンピングカーのタイヤトラブルは激減する。

また、「タイヤの空気圧は季節や気温によって変動する」ということも覚えておきたい。気温が高い夏はタイヤ内部の空気が膨張して空気圧が上がり、気温が低い冬になると空気圧が下がる。筆者の経験談だが、真夏にキャブコンで北海道に出かけた時、気温30℃を超える東京で空気圧を450kPaに調整して出発したところ、北海道で気温10℃前後まで冷え込んだ早朝に、タイヤの空気圧が400kPa以下まで下がった。このように、タイヤの空気圧は気温によって大きく変動するため、季節や気温に応じた空気圧管理が必要なのだ。

TPMSは空気圧管理の必需品

TPMS(タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム)

1年を通して変動するタイヤの空気圧を常に適正な数値で管理するには、運転席から4輪の空気圧をひと目でチェックできるTPMS(タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム)の導入が非常に有効だ。これがあれば、エアゲージで1本ずつタイヤの空気圧をチェックする手間が省け、季節や気温による空気圧の低下、自然漏洩による空気圧の低下にもすぐ気づくことができるので、タイヤの空気圧管理が容易になる。

TPMSを導入する際の注意点は、空気圧の高いキャンピングカーのタイヤに対応する製品を選ぶことと、信頼性のあるメーカーの製品を選ぶこと。格安の海外製品は日本の電波法に適合していないケースも多く、知らずに使用すると電波法違反に問われる可能性があるので注意が必要だ。

WRITER PROFILE
岩田一成
岩田一成(いわた・かずなり)

1971年東京生まれ。キャンピングカーライフ研究家/キャンピングカーフォトライター。日本大学芸術学部卒業後、8年の出版社勤務を経て、2003年に独立。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に累計1000誌以上の雑誌・ムック製作に携わる。家族と行くキャンピングカーの旅をライフワークとしており、これまでに約1000泊以上のキャンプ・車中泊を経験。著書に『人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門』がある。

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