キャンピングカーのタイヤ管理の重要性

キャンピングカー活用法
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キャンピングカーのタイヤ管理の重要性

クルマと路面の唯一の接触面であるタイヤは、加減速、コーナリング、ブレーキングなど、クルマの走行性能に大きく関わる重要なパーツだ。タイヤ1本の接地面積は、ハガキ1枚分。キャンピングカーの巨大なボディも、ハガキ4枚分の面積で支えられている。

架装によってベース車両から重量が増加し、重量バランスも変化しているキャンピングカーは、普通車以上にシビアなタイヤ管理が必要となる。ボディ自体に大幅な架装を施したキャブコンはもちろん、ボディに手が入っていないバンコンやバスコンでも、車両重量の増加でタイヤにかかる負担は大きくなる。

安心・安全なキャンピングカーライフを送るために、タイヤについての正しい知識を理解して、適正なタイヤ管理を心がけよう。

過酷な条件にさらされるキャンピングカーのタイヤ

キャンピングカー新型サクラ

重量が重く、重心が高い

キャンピングカーは、「クルマ」と「家」の要素が一体となった特殊な乗り物。居住部分のリアスペースに生活装備を満載しているため、重量は普通車と比べて格段に重い。家庭用エアコンや大容量サブバッテリーなど、装備が増えれば快適性は向上するが、それに比例して車両重量は増加する。クルマが重くなれば、当然タイヤへの負担も増える一方だ。

全高・全幅の拡大、リアオーバーハングの延長などでボディバランスが変化している車両の場合、タイヤにかかる負担はさらに大きくなる。全高が高くボディの揺れが発生しやすいため、コーナリング時のロール(ボディの左右の揺れ)や加減速時のピッチング(ボディの前後の揺れ)などで、タイヤには常に大きな負担がかかっている。

365日「満積載」状態

車内にさまざまな装備を詰め込んだキャンピングカーは、言うなれば「荷物を満載したトラックやバン」のようなもの。もちろん、プロのビルダーが製作したキャンピングカーであれば、タイヤの負荷能力の範囲内で架装が行われているが、商用車のトラックやバンと大きく異なるのは、「空荷」の時もある商用車に対して、キャンピングカーは1年中「満積載状態」であるということ。そのため、仕事で使われているトラックやバンと比べても、キャンピングカーのタイヤにかかる負担はさらに大きくなる。

荷物の積み過ぎ

キャンプ道具、自転車、発電機、食料品、調理器具、食器、寝具、給排水タンクやトイレの水など、キャンピングカーの積載物はどうしても多くなりがちだ。キャンパー架装によって、ただでさえ車両重量が増しているキャンピングカー。そこからさらに荷物を積み過ぎると、タイヤに過度な負荷をかけてしまう恐れがある。過積載でタイヤの負荷能力をオーバーすると、走行中にタイヤが異常変形、異常発熱して損傷を引き起こす恐れがあるので、荷物の積み過ぎにはくれぐれも注意が必要だ。

長期保管に注意

キャンピングカーのタイヤ

駐車場に長期間止めておくのも、タイヤにはよくない。長いこと乗らずにクルマを止めたままにしておくと、車重でタイヤの接地面がつぶれて変形する「フラットスポット」と呼ばれる現象が起きてしまう。それが原因で、走行時に振動が発生したり、タイヤの寿命が短くなったりするので、クルマを長期保管する際は「1か月に1~2回はクルマを動かしてタイヤの接地面を変える」「タイヤの空気圧を上げておく」「クルマをジャッキアップしてウマをかけ、タイヤにかかる荷重を抜いておく」などの対策が必要だ。

キャンピングカーのタイヤ管理

空気圧チェックを習慣にする

キャンピングカーのタイヤ管理

キャンピングカーのタイヤ管理でとくに重要なのは、空気圧チェックを習慣にして、指定空気圧を下回らないようにすることだ。タイヤの空気圧は、指定空気圧+10%を上限として少し高め(最大空気圧を超えない範囲)に設定する。注意点は、「タイヤの空気圧チェック&調整は、必ず走行前のタイヤが冷えた状態で行う」こと。空気圧は走行中のタイヤの発熱によって上昇するので、タイヤが熱を持っている状態で指定空気圧に調整すると、タイヤが冷えた時に空気圧不足を引き起こしてしまう。

また、タイヤの空気圧は自然漏えいによって徐々に低下していくので、長期間駐車したままだと、前回乗車した時に指定空気圧に調整していても、次に乗る時は空気圧不足に陥っている可能性がある。空気圧が下がるとタイヤの負荷能力が低下するため、そのまま走行するとタイヤが異常発熱を起こし、バーストなどの重大なトラブルの原因となる。

TPMS(タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム)

タイヤのトラブルを未然に防ぐには、「出発前に空気圧をチェックして、数値が低い場合は指定空気圧に調整する」ことを習慣にするのがもっとも有効。運転席からリアルタイムで空気圧をチェックできる、TPMS(タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム)の装着もお勧めだ。

3年ごとのタイヤ交換

劣化したタイヤ

キャンピングカーのタイヤは、常に大きな負荷にさらされている。見た目では問題なさそうでも、時間と共に負荷が蓄積してタイヤ内部の劣化や損傷を引き起こしている可能性もある。タイヤのトラブルを未然に防ぐために重要なのは、早めの交換を習慣にすること。キャンピングカーのタイヤは、溝の有無にかかわらず、できれば3年周期、遅くても4年以内に交換するのがベターだ。

不要な荷物はこまめに降ろす

キャンピングカーの荷物

タイヤの負担を軽くするためには、日ごろから荷物を積み過ぎないように心がけることも重要だ。大きなカーゴスペースを備えたキャンピングカーに乗っていると、ついつい不要な物も積みっぱなしにしてしまいがちだが、「しばらくキャンプに行かないから、キャンプ道具は降ろしておこう」といったように、必要のない物はできるだけこまめに降ろすことを習慣づけたい。

また、荷物を積む際は、前後左右に偏った状態で積載すると、重量バランスが崩れてタイヤにかかる負荷が不均等になるため、前後左右のバランスを考えながら均等に配置するのがポイントだ。

WRITER PROFILE
岩田一成
岩田一成(いわた・かずなり)

1971年東京生まれ。キャンピングカーライフ研究家/キャンピングカーフォトライター。日本大学芸術学部卒業後、8年の出版社勤務を経て、2003年に独立。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に累計1000誌以上の雑誌・ムック製作に携わる。家族と行くキャンピングカーの旅をライフワークとしており、これまでに約1000泊以上のキャンプ・車中泊を経験。著書に『人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門』がある。

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