
夏の暑さが年々厳しくなり、耐え難い状況になっています。ましてや、クルマの中で過ごすキャンピングカーにとっては、さらに厳しい環境になってきたといえるでしょう。
近年では、キャンピングカーにクーラーを取り付けるオーナーも増えてきました。新車で購入した時、停車時に利用できるクーラーをオプションで購入する人も多いようです。
クーラーには工事をして設置するタイプと持ち運べるタイプがあります。設置工事が必要なタイプは、配管などの処理や家具の工作が必要になりますが、使用前の煩雑なセッティング作業が必要なく、高い冷却効果を期待できます。
しかし、設備が大きくなって、セッティングする場所が限られてしまうのが難点。そんな問題を解決してくれたのが、RVランドが輸入販売している12Vコンパクトクーラースタイルシリーズです。数あるクーラーのなかから、RVランドが選んだ理由はズバリ「高い冷却効果」でした。
目次
クルマにクーラーを取り付けやすいデザインとパッケージ

RVランドの扱う12Vコンパクトクーラースタイルシリーズは、室内機のタイプが3種類あって、室外機も出力の差で2種類設定されています。それぞれの大きさ(容積)はそれほど差がありません。
違いは形状違いで、薄いタイプなどがあることです。おかげで、設置が難しかった車両にも取り付けることができるようになりました。クーラー設置を諦めていたオーナーにとっては魅力的な存在です。
上の写真にあるRVランド取り扱いのハイマーグランドキャニオンSのキャビネットへも、スマートにインストールされていました。

キャンピングカーのクーラーには天井に取り付けるルーフトップクーラーもあります。室外機部分をボディの外側に出して、スペースを効率よく利用できるのです。配管などが難しいキャンピングカーにとっては、採用しやすいクーラーといえるでしょう。
しかし、ハイマーグランドキャニオンSのような、ポップアップルーフモデルには取り付けることが難しくなります。そんな時に、この12Vコンパクトクーラースタイルシリーズが効果を発揮します。

内部の様子を詳しくみてみると、上部の吊り下げ棚のスペースにちょうど収まっていました。このクーラー室内機は高さが150mmしかないので、狭い場所でも設置可能です。空気を吸い込む場所がリア背面になっているので、クーラーの上下にスペースが必要ないのもポイントです。
コントロールパネルが本体と分離しているので、コントロールパネルだけを操作しやすい場所に設置することができます。吹き出し部分を格子状の家具に加工して、その存在感を消し去りながら、操作性の高いクーラー設備を完成させることもできるので、インテリアの雰囲気を変えたくない人にとってもおすすめです。
キャンピングカーにクーラーを設置するために必要なこと

キャンピングカーにクーラーを取り付ける時、室内家具を変更しなければなりません。上の写真はタウンエースベースのウェスタに12Vコンパクトクーラースタイルシリーズを取り付けた状態です。クーラーを取り付けるために、特別な家具が組み込まれています。
このような家具をきれいに仕上げてくれるのは、キャンピングカーを作っているビルダーならでは。素人のDIYではこのような仕上がりを目指すのは難しいのではないでしょうか。また、クーラーがしっかりと効く効率的な配置というのもノウハウがありそうです。

上の写真はハイエースベースのバンコンに取り付けた仕様。もともとはリアウィンドウーがあった場所に専用の家具を取り付けて、きれいに仕上げられています。壁裏に配管が設置されていて、クルマの下にある室外機に繋がっています。
クーラーの取り付け場所、形、そして、車内のレイアウトによって、仕上げ方法が変わります。ということは、クルマ1台毎のオーダーになり、専用の家具も1つずつハンドメイドで仕上げなければなりません。その分、工賃もかかってしまいますが、そのコストに見合った完成度の高さを感じることでしょう。

室外機はコンプレッサーと排熱ファンに分かれています。一般的な家庭用エアコンでは、この2つの機能がパッケージされ、1つの室外機になっています。上の写真で見てみると、中央よりやや左にある黒いパーツで、丸い格子状のファンが見ているのが、排熱ファンです。右側中央にあるシルバーのボックスがコンプレッサーになります。
2つのパーツが分かれていることにより、いろいろな車種に取り付けることが可能になりました。クルマ毎のスペースに合わせて、コンプレッサーと排熱ファンの位置を調整できるからです。しかも、排熱ファンの効率を考えて配置するので、冷却効果も高く、本来の機能を十分に発揮してくれるようになります。
タウンエースベースのキャンピングカーでクーラーの冷却効果をテスト

これまでにも似たようなクーラーが並行輸入されていましたが、冷却効果の低いモデルもたくさんあります。そこで、12Vコンパクトクーラースタイルシリーズの実力をチェックすることになりました。
テストで使ったクルマはRVランドのオリジナルキャンピングカー、タウンエースベースのウェスタです。普段乗りに使えるコンパクトなサイズで、広々としたベッドを展開できるコンパクトキャンピングカーです。

このキャンピングカーにエコフローのポータブルバッテリーを搭載して、クーラーを稼働させてみます。クーラーは12V仕様ですが、ポータブルバッテリーからはAC100Vを取り出し、インバーターで変換しながらクーラーを動かしています。
RVパークで外部電源から電気を供給したり、持っているポータブルバッテリーを使うことを想定しました。

テストした時の天気は曇りでしたが、気温は30℃を超える暑さ。温度変化を測定する機械に日が当たらないように、リアサイド1面だけカーテンをしています。テスト開始時間は14時、車内温度は35℃からスタートしました。
窓からの日光を完全に遮断していなかったので、冷房効果が発揮されるか不安でしたが、すぐに車内の気温が下がってきました。テスト開始から30分で約マイナス10℃を達成しています。
室内に入ってみると、数値以上に涼しさを感じます。最初は設定温度を16℃にして、フル稼働させているので、気温は上のグラフのように一直線に下降しています。その後、設定温度を22℃にして運転、グラフの下降が緩やかになったものの、気温がぐんぐんと下がっていくのを確認できました。
キャンピングカーのクーラーは電気のシステムも大切

クーラーを稼働させた時は大きな電気が流れ、ポータブルバッテリーの出力表示は800W近くになっていましたが、設定温度を少し高めにして稼働させると400W近い出力に落ち着きました。安定した状態での消費電力であれば、長時間の稼働も期待できます。
電源がない場所でも、ポータブルバッテリーだけで十分にクーラー機能を利用できるのは便利です。買い物に行った時、どうしても数分だけペットを車内に残さなければいけない場合など、手持ちのポータブルバッテリーを使って、しっかりと車内を冷やすことができるのです。

テストではDC12VのクーラーをAC100Vで稼働させましたが、サブバッテリーを搭載しているキャンピングカーであれば、バッテリーのDC12Vを変圧することなく利用できます。しかし、やはり消費電力は大きく、電源システムのパワーアップも必要になります。
AC100Vの外部電源を接続して、DC12Vのクーラーを利用する時、外部の電気をサブバッテリーへ送って、そこから電気を取り出しています。その時、クーラーが使う電気が、サブバッテリーに充電される電気以上に増えてしまったら、外部電源を接続しているのに、サブバッテリーが減っていく現象が起きるのです。
そこで、電気の消費バランスを考えて、高出力のAC/DCコンバーター(外部充電器)を搭載する必要が出てきます。もちろんRVランドではトータルでの電源管理を徹底していて、クーラーを取り付ける際は、AC/DCコンバーターもより強力なタイプへと交換しているそうです。
クーラーを取り付けるといっても、家具を作って、配管作業、室外機組み込み、そして、インバーターの交換などによる電源システムの改善など、多数の作業がともなってきます。

バッテリー部分に関しては、サブバッテリーの容量を増やす方法もありますが、最近ではポータブルバッテリーの性能も高くなってきたので、高スペックのポータブルバッテリーを利用するオーナーも増えてきました。
上の写真で手前に写っているのは、エコフローデルタシリーズの最新モデルEcoFlow DELTA Pro 3。電気容量は4kWhという驚きのサイズです。変換ロスを考えないで単純計算すると、12Vコンパクトクーラースタイルシリーズをフル稼働で一晩動かすことができます。
今回のテストでその効果が実証された12Vコンパクトクーラースタイルシリーズ。コンパクトでいろいろなキャンピングカーへスマートにインストールできる機能性は、多くのユーザーが待ち望んでいたのかもしれません。また、最新の電源システムも整ってきたので、キャンピングカーのクーラー装備はより身近になったといえるのではないでしょうか。
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