独創的なキャンパーを生み出す「M.Y.Sミスティック」のこだわりとは!?

メーカー・販売店インタビュー
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独創的なキャンパーを生み出す「M.Y.Sミスティック」のこだわりとは!?

山梨県のM.Y.Sミスティックは、創業30年の歴史を持つキャンピングカービルダー。

もともとトラキャン(トラックキャンパー)専門店としてスタートした同社だが、現在はトラキャン以外に、キャブコン、キャンピングトレーラー、バンコンなど、さまざまなカテゴリーの個性的なキャンピングカーをラインナップして注目を集めている。

ユーザーの安全を守るボディバス工法

M.Y.Sミスティックのトラキャンシェル

M.Y.Sミスティック製キャンピングカーの最大のウリとなっているのが、トラキャンで培った独自のセンスや技術をフィードバックした、他車とは一線を画すオリジナリティ。なかでも、同社の象徴と言えるのが、高い安全性と軽量化を両立したボディバス工法だ。

ボディをそのまま活かすバンコンを除き、同車オリジナルキャンピングカーのキャンパーシェルには、すべてボディバス工法が採用されている。

M.Y.Sミスティックのアルミフレーム

この工法は、サイズの異なるアルミの角パイプを溶接して強固なアルミ製の箱(フレーム)を作り、内部に断熱材を封入して木材の内壁とアルミサイディングの外壁でサンドイッチする構造。アルミフレームだけでも十分な強度を確保しているのに加え、木材の内壁と金属の外壁を組み合わせることで、さらなる強度アップを実現しているのが特徴だ。

生産効率や見栄えの面で考えれば、パネル工法やFRP一体成型にアドバンテージがあるのは明白だが、あえて手間のかかるボディバス工法を採用するのは、万が一の際の安全性を考えてのこと。しなやかさと軽さ、高剛性を兼ね備えたボディバス工法が、快適性のみならず走行性能や安全性にもこだわる、M.Y.Sミスティック製キャンピングカーの根幹をなしている。

基本設計も装備品も常にベストを追求

M.Y.Sミスティックの工場内

M.Y.Sミスティック代表の佐藤氏は、トラキャンをはじめとするキャンパーを製作・販売する「プロ」であると同時に、長年トラキャンでキャンピングカーライフを楽しんできた「ユーザー」でもある。だからこそ、同社のキャンピングカーには、「乗り手が安全、快適に使えること」を前提とした“ユーザーファースト”の思想が徹底されている。

基本設計はもちろん、使用するパーツ1つとっても、コスト・性能・使い勝手・耐久性など、あらゆる要素を吟味した上で、常にその時点でベストなものをセレクトする。

例えば、同社で取り扱いを開始したリチウムイオンバッテリー。昨今の真夏の猛暑を考えると、これからのキャンピングカーには駐車中に使えるエアコンの装備がマストと言える。それを実現するには、鉛バッテリーと比べて性能や寿命に圧倒的なアドバンテージを持つリチウムイオン電池の採用が近道だが、その特性上、安全面に不安が残るのも事実……。それをクリアして市販化に至ったのが、M.Y.Sミスティックのリチウムイオンバッテリーシステムだ。

M.Y.Sミスティック佐藤社長
M.Y.Sミスティック代表 佐藤 正氏

「リチウムイオンバッテリーをどう制御して、かつ安全に運用していくかが、現在の私たちの命題と考えています。危険だからと避けるのではなく、どのように制御、保守するか。それを探るために、リチウムイオンバッテリーをわざと壊し、分解もしました。そうした経験や調査、検討を基に、制御する場所、保護について当社なりの答えを出し、販売に至りました」

ミニポップビー

構造面でのこだわりも、数え上げればきりがない。

例えば、軽トラックをベースにしたスモールサイズのキャブコンミニポップビーは、あえて荷台側面のアオリを残した構造を採用している。デザイン性を考えれば、一体型シェルの方が断然スマートだが、側面の純正アオリを残すことで、万が一の事故に対する安全性(強度)を確保。特徴的なアルミサイディング外壁のキャンパーシェルと組み合わせることで、純正のアオリをデザインの1つとして昇華させているのも特徴だ。

レジストロ・アウル

ライトエースをベースにした人気モデルレジストロアウルは、走行性能を考慮して全高を2.58mに抑えているのがポイントだ。

キャブコンの平均的な全高は2.9~3m、ライトキャブコンでも2.8m前後。全高が高ければ当然居住性はアップするが、空気抵抗が増加して安定性や燃費が悪化し、横風の影響を受けやすくなる。あえて高さを抑えたスタイリッシュなシェル形状は、クルマとしての基本性能を重視するM.Y.Sミスティックの「クルマづくりの思想」の表れだ。

熟練の職人が手がける日本製キャンピングカー

M.Y.Sミスティックの工場

M.Y.Sミスティックのオリジナルキャンピングカーは、一部の例外を除き、ほぼすべて国内の自社工場で生産されている。アルミフレームの溶接~配線~断熱処理~内張り~家具製作~アルミサイディングなど、手間のかかる工程を熟練の職人がひとつひとつ形にしていく、“メイド・イン・ジャパン”のハンドメイド品だ。

M.Y.Sミスティック工場の作業風景

家具の変更、カラーや装備の変更など、ユーザーの希望に合わせて柔軟なオーダーが可能なのも、既製品ではない完全な“手作り”だからこそ。

シェルの製作工程

アルミフレーム、家具、縫製については、それぞれ専門の職人が手がけるものの、基本的に同社のキャンピングカー製作は担当制を採用しており、1人の担当者が1台のキャンパーを最初から最後まで責任をもって作業・管理するシステムとなっている。

キャンピングカーの製作風景

一級建築士、大工、建築板金屋、家具職人、自動車整備士など、スタッフの経歴も多種多様。さまざまな分野のスペシャリストの技術を結集することで、M.Y.Sミスティックのオリジナルキャンピングカーが生み出されているのだ。

唯一無二のアメリカンなデザイン

国内唯一の専門店として、長年トラキャンの製作・販売を手がけてきたM.Y.Sミスティック。
同社のオリジナルキャンパーの大きな魅力のひとつが、「ひと目でM.Y.Sミスティックのクルマ」とわかる独創的なデザインだ。

M.Y.Sミスティックのキャブコンアンセイエ

グッドデザイン賞を受賞した、カムロードベースのキャブコンアンセイエ

アルミサイディング外壁を採用したトラキャン風のアメリカンスタイル、クラシックウィネベーゴを彷彿とさせる逆スラントのバンク形状、機能性とデザイン性を両立したバンク前部のアクリル窓……。長年トラキャンを扱ってきたM.Y.Sミスティックだからこそできた、ほかのどのキャブコンとも異なる唯一無二のエクステリアデザインが光る。

M.Y.Sミスティックのレジストロ

人気モデルのレジストロは、軽トラックをベースにしたスモールキャブコン。

上部に丸太のような曲線デザインを用いたことで、西部劇に登場する幌馬車のようなアメリカンテイストと、スモールサイズのボディに似合うポップなイメージを両立。ウッド調の壁紙で山小屋風に仕上げた、インテリアのデザインも秀逸だ。

M.Y.Sミスティックのキャンピングカー展示場

約20年前、トラキャンの自社製シェル開発によって生み出されたボディバス工法は、副産物として、M.Y.Sミスティック製キャンパーに「アメリカン」で「オシャレ」で「個性的」なスタイルをもたらした。

軽トラックベースのスモールキャブコンレジストロ、ライトエースベースのコンパクトキャブコンレジストロアウル、カムロードベースの5×2キャブコンアンセイエ、そして、同社初の小型キャンピングトレーラーレジストロクコ……。

独創的なキャンピングカーを次々とデビューさせてきたM.Y.Sミスティックは、キャンピングカーへの愛情と独自のこだわりを武器に、これからもワクワクするようなオリジナルキャンピングカーを生み出していくことだろう。

WRITER PROFILE
岩田一成
岩田一成(いわた・かずなり)

1971年東京生まれ。キャンピングカーライフ研究家/キャンピングカーフォトライター。日本大学芸術学部卒業後、8年の出版社勤務を経て、2003年に独立。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に累計1000誌以上の雑誌・ムック製作に携わる。家族と行くキャンピングカーの旅をライフワークとしており、これまでに約1000泊以上のキャンプ・車中泊を経験。著書に『人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門』がある。

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