VANTECHの国内最大級キャンピングカー工場に潜入

メーカー・販売店インタビュー
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キャンピングカーのショーに行くと、たくさんのクルマが並んでいます。初めてキャンピングカーを見た時、その1つ1つの大きさに圧倒されませんでしたか。

ショーに行くといつも思うのですが、これだけ大きい、そしてたくさんのキャンピングカーをどうやって作っているんだろうかと。

一般的なクルマ工場であれば、社会の授業などで習ったので、ある程度イメージできます。でも、キャンピングカーの工場ってイメージできませんでした。

同じような疑問を持っている人も多いと思います。そこで、今回は国内最大級の規模を誇るVANTECH(バンテック)の山形工場へ行ってきました。

月産60を目指すキャンピングカー製造工場

VANTEC(バンテック)の山形工場の外観

山形空港近くの県道沿いに大きな建物があります。ここがVANTECHの山形工場です。広い駐車場にはたくさんのクルマがストックされていました。

カムロードのシャシー

ずらりと並んでいるのは、キャンピングカーのベースとなる車両です。運転席がある、クルマの頭部分が付いていて、後ろ側はシャシーと足回りだけです。

このクルマが建物の中に入って、約6時間ごとにキャンピングカーとなって出て来るそうです。ちょっと信じられませんよね。

工場の中では約60名のスタッフがいて作業をしています。居住スペースとなるキャビンは海外で製造されて、山形工場で組み立てをしているということでした。

だから、これだけのスピードでクルマができるんですね。でも、まだまだ生産能力を上げたいというお話でした。

なぜそこまでするのか?

VANTECH(バンテック)の山形工場内

目標は月産60台以上! スタッフの数も増やしていくそうです。そこにはVANTECHの思いが込められていました。VANTECH広報部露木氏に聞くと、

「VANTECHはキャンピングカーメーカーなので、メーカーとしての役割をしっかりと果たしたいと考えています。例えばバックオーダーを抱えることは恥ずかしいと考えています。これは弊社の代表佐藤がいつも言っていることなのですがお客様が楽しく過ごす時間が、バックオーダーによって減ってしまうのは、お客様に対して失礼という考え方です」と説明してくれました。

工場で検査中のキャンピングカー

現在は大量のオーダーを抱えているので、実際にはバックオーダーが発生しているとのこと。なので、早急にこの問題に取り組んでいきたいといいます。最終的には3ヶ月で納車できる体制を作るのが目標だそうです。

VANTECH(バンテック)の山形工場で働く女性

目標が厳しいので、工場のなかはギシギシとした雰囲気なのかと心配したのですが、そんなことはありませんでした。工場には女性の姿も多く、活気にあふれています。露木氏がスタッフに声をかけると、笑顔で会話する光景が印象的でした。

キャンピングカー工場の枠を超えて

キャンピングカー工場に並ぶパーツ

山形工場にはVANTECHサービススポットも併設されています。お客様サービスセンターの役割で、不具合などがあった時に、いつでもユーザーが相談できる体制が取られているのです。

クルマを作るだけでも大変なのに、サービスも行っているとは。さすが、メーカーとしての役割を追求している姿が素晴らしい。

しかし、ここまでの体制を作るのにも道のりは長かったようで、この山形工場が稼働してから、やったことのないことばかりでだったそうです。特に工場のラインとして体制を整えるのに苦労したようで、工場長を筆頭に各製造部門を作り、出てきた問題を1つ1つクリアする毎日。現在でも、週に1度はミーティングを開き、問題点をピックアップしているとの事です。

キャンピングカーのストックパーツ

注意していることは、突発的な事故で作業が止まることだそうです。例えば、パーツが欠品するなど。なので、大量のパーツがストックされていました。また、誰でも分かるように、クルマ1台ずつにコードが振られ、仕様違いなどがすぐに分かるようになっています。

以前、トヨタの工場見学に行ったことがあるのですが、まったく同じでした。パーツの補給体制を整え、すべてがコード管理されているのです。まさか、キャンピングカーの工場がここまで進化しているとは思っていませんでした。

さらなる上を目指せる環境

バンテック山形工場の正面玄関

海外にも進出し、順調に環境が整ってきたVANTECH工場。拡大してきたからこそ、新たな問題も生まれているそうです。

例えば、海外工場では、クオリティの違いを統一するのが難しいそうです。国民性の違い、工場の性能、輸送方法の確立など、解決しなければいけないことばかりのようです。

でも、現地に技術スタッフが通い、徹底的にVANTECHクオリティを指導して、少しずつ結果が出ているという話もありました。

「海外でパーツを作ったとき、よくあるのが、組み立て時に修正することです。修正作業で時間を取られてしまうと、生産台数に響きます。効率が上がると、余裕ができるので、問題意識にも変化が現れます。なので、今ではみんなが可能性をすごく感じていると思います。さらなる上を目指して作業できる環境が見えてきました」

キャンピングカーの可能性

キャンピングカー工場内での作業

人で不足と言われていますが、VANTECH山形工場にはたくさんの就職希望者が集まってくるそうです。クルマ好きも多いようですが、働きやすい環境が人気というお話でした。

スタッフも揃い、工場も整備され、いろいろな可能性が生まれているようです。VANTECHは災害対策医薬品供給車両=モバイルファーマシーというクルマも作り、話題を呼んでいます。その活躍の場はキャンピングカーの枠を超えていますね。

今回、VANTECH山形工場を訪れて感じたことは、まず、その巨大さです。やはり、キャンピングカーは広い場所で作られていました。そして、スタッフの活気です。みんなが同じ目標に向かっているので、なんか楽しそう。

VANTECHはこれからも進化を続け、革新的なものづくりをしてくれそうです。また、数年後、この工場を訪ねるのが楽しみになってきました。

VANTECH山形工場

VSS山形村山(バンテックサービススポット)として、バンテック製キャンピングカーのメンテナンスを行うことができます。(販売は行っておりません)
〒995-0041 山形県村山市大字河島字碇178-2
TEL:0237-53-9966
WRITER PROFILE
渡辺圭史
渡辺圭史(わたなべ・けいし)

1971年東京生まれ。アウトドア好きな編集者、そして、算数が好きだったライター。アウトドア用品メーカー、出版社を経て、キャンピングカー専門誌編集長に。現在はフリーとして、いろいろなメディアにて執筆中。アウトドアをキーワードに、より楽しいライフスタイルを求めてゆるりと奮闘中。最近気になっているワードは、旅、ミニマリスト、車中泊。趣味はコンパクトな旅とモノづくり。

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