
ジルシリーズやコルドシリーズなどのキャブコンで人気を博す「バンテック」は、品質&ブランド力の向上、納期短縮、モデルバリエーションの拡充など、ここ数年で目覚ましい進歩を遂げている。9月1日には、元ホワイトハウスのキャンパー事業部で手腕を振るった酒井裕二郎氏が、新社長に電撃就任! 新体制になって、バンテックはどう変わるのか? ユーザーの直接的なメリットは何なのか? 酒井新社長のインタビューを交えて、バンテックの今後について語る。
目次
幅広いニーズに対応する3つのブランドを展開
バンテックはキャブコンのイメージが強いビルダーだが、近年は多様化するユーザーのライフスタイルに応える、様々なバリエーションのキャンピングカーをラインナップしている。同社はこれまでも、「アストラーレ」のキャラバンモデルやハイラックスモデルで、既存のバンテックブランドとは異なる魅力を発信してきたが、より手軽にキャンピングカーライフを楽しめる軽キャンパーブランド「ちょいキャン」も展開!「バンテック」「アストラーレ」「ちょいキャン」の3ブランドで、より幅広いニーズに対応できる体制を整える。
バンテック
ジルシリーズ、コルドシリーズからなる、主力ブランド。30年近く国産キャブコンの王道として君臨してきたジルシリーズは、優雅な旅を演出する高級感と快適性を追求した“ジャパニーズモーターホーム”。コルドシリーズは、クルマ旅やキャンプ以外に、アウトドアレジャーやホビー、ペット旅などを快適に楽しめる、アクティブ派に最適なキャブコンだ。
アストラーレ
キャラバンをベースにした都市型キャブコンCC1 ビーナス、ハイラックスをベースにしたクロスカントリーキャンパーGX4など、走行性能と趣味性に特化したキャブコン&バンコン5車種をラインナップ。製造は、バンテックとファーストカスタム社が担当する。
ちょいキャン
軽キャンパーに特化したブランド。多彩なラインナップから乗り手のライフスタイルに最適なモデルを選ぶことができ、リーズナブルな価格でキャンピングカーライフを楽しめる。手軽に乗れる軽キャンパーブランドの展開で、バンテックの既存イメージを払拭し、ライフスタイルブランドの確立を目指す。
酒井新社長が語るバンテックのこれから
2025年9月1日、酒井裕二郎氏がバンテックの代表取締役に就任した。バンテック神奈川店で行われた社長就任会見では、「企業情報」「業界と市場のトレンド」「課題と戦略」「今後の展望」をテーマに、キャンピングカー業界の現状やバンテックの展望が語られた。
バンテックユーザーやバンテック製キャンピングカーの購入を検討している人がもっとも気になるのは、新体制で「バンテックの何が変わるのか?」「ユーザーにとってメリットは?」という点だろう。バンテック新社長の酒井氏に個別インタビューを実施して、バンテックのこれからについて話をうかがった。
【Profile】
VANTECH 代表取締役社長 酒井 裕二郎
1995年3月 名古屋造形芸術大学(現名古屋造形大学)プロダクトデザイン専攻卒業
1995年10月 株式会社アムクラフト入社(製造・開発部門にて3年勤務)
1999年2月 株式会社ホワイトハウス入社 (キャンパー事業部にて23年勤務)
→ 開発担当から事業部長へ。4人だった事業部を45人までの組織に拡張 売上20億円規模
2023年3月 株式会社マスターピース設立
2025年9月 VANTECH株式会社 代表取締役社長就任
バンテック酒井裕二郎新社長インタビュー
社長就任後にスタッフ全員と面談を実施
スタッフ全員と面談を行って、営業部から「お客様からこんなクルマを作ってほしいと言われる」という意見を多く聞きました。今までのバンテックは高級ブランドで、それを求める層にハイクラスのキャブコンをお届けするイメージ。その一方で、バンテッククォリティかつロープライスのモデルを出してくれないか、もう少し小型のモデルを出してくれないかなど、様々な現場の意見が出てきた。バンテックというブランドは強いけども、まだまだ多様なニーズには応えられていない部分がある。1人よがりではなく、もっとお客様の声をひろい上げなければいけない。営業スタッフの声を聞いて、あらためてその点に気づかされました。
一方で、製造部門のスタッフからも、「こんなクルマを作ってみたい」といった積極的な意見が多く聞かれました。営業部はお客様目線、製造部は技術屋目線ですが、話を聞くと両者がマッチングする点もある。開発担当と営業担当には距離が生まれがちですが、両者の意見をすり合わせたら今よりもっと良いクルマ、お客様の求めているクルマができるかもしれない。それを実現するのが、私の役割だと思っています。
新しいジャンル創設の可能性
キャンピングカーの枠にとらわれない、新しいジャンルの可能性も模索していきます。例えば車中泊カー、アウトドアカーと言われるような、普通車とキャンピングカーの谷間を埋めるリーズナブルなライトモデル。バンテックにはキャブコン製造で培った技術とノウハウがありますから、その技術を活かして、より手に取りやすく気軽に乗れる新しいブランドを我々が作る。それが実現すれば、ユーザーにとっても「選択肢が増える」という点で大きなメリットになるはずです。軽キャンパーに特化したちょいキャン事業で、バンテックが取り扱うモデルのバリエーションは大きく広がっていますが、さらに幅広いユーザーのニーズに応えられるブランド展開を探っていきたいですね。
ユーザー向けサービスの向上
先日、バンテック車の大型ディーラー・RVランドのプライベートイベントで九州にお邪魔して、香川県のメガディーラー・岡モータスにも訪問してきました。今まではメーカーと販売店のコミュニケーションが十分とは言えませんでしたが、今回どちらのお店でも「販売店の意見を聞いてくれる環境が整った」と非常に喜んでいただけて、あらためて販売店側はそういうコミュニケーションを求めていたと感じました。
ビルダーと販売店がコミュニケーションを密に取れるということは、イコール「お客様の声を聞く」ということです。私はバンテックの社長就任前から、販売店の社長やスタッフと顔なじみですから、そうした点でも今まで以上に現場の声が届きやすくなると思います。すぐには変わらないかもしれませんが、現場の声を吸い上げて車両開発・パーツ供給・アフターサービスなどにフィードバックすれば、必ずユーザーのメリットにつながるはずです。
納期短縮の取り組みについて
バンテックは「速納宣言」というキャッチフレーズを掲げて、納期短縮の様々な取り組みを行ってきましたが、正直に言うと製造キャパはまだあります。既存モデルについては現状維持だとしても、例えば、余力の部分を活かしてシンプルなライトモデルを製造すれば、「この車種は早く納車できる」という新しい仕組みが作れるかもしれない。まだ詰められる余地はあるので、あらゆる可能性を模索して今後も納期短縮に取り組んでいきます。
バンテックユーザー&キャンピングカーユーザーに一言
今までなかった新しいカテゴリーを見出していきたい、そして今まで以上にユーザーの声を車両開発やサービスに活かしていきたいと思っています。ユーザーからも、販売店からも、社内からも、「バンテック変わったね」と言われるようにならないと、私が社長になった意味がありません。どのくらいの期間でできるかはわかりませんが、ラインナップの拡充、サービスの向上、納期の短縮、パーツ供給のスピード化など、あらゆる面で着実に前進していきます。バンテックは、来年40周年を迎えます。ぜひこれからのバンテックに期待してください。



