キャンピングカーメーカー「バンテック」のこだわりと取り組みとは!?

メーカー・販売店インタビュー
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キャンピングカーメーカー「バンテック」のこだわりと取り組みとは!?

ロングセラーモデルジルを筆頭に、バラエティに富んだキャブコンを多数ラインナップするバンテックは、キャンピングカーの製造・販売&キャンピングカーパーツの販売を行うキャンピングカーメーカー。

ユーザーのニーズを見据えたキャンピングカーの開発にとどまらず、新たな生産方式による納期短縮、テーマに沿ったイベントブース設営、公式YouTubeチャンネルでの情報発信、RVパークのプロデュースなど、様々な側面から積極的な取り組みを行っている。

バンテック広報部部長の露木伸也さん

今回は、バンテック広報部部長の露木伸也さんにお話をうかがい、同社の取り組みとキャンピングカーづくりのこだわりに迫る。

キャンピングカーを楽しめる世界に

バンテックのキャンピングカーの車内

バンテックのキャンピングカーに対する思いと取り組みについてお聞かせください。

まず、「バンテックキャンピングカーの世界感を作りたい」という考えが根底にあります。そのためには、キャンピングカーに関わる要素を総合的に考えなくてはいけない。

そこで、JRVA(日本RV協会)がキャンピングカー業界発展のために掲げている、「生産力」「災害」「インフラ」という3点についても、メーカーとして真摯に取り組んでいます。

露木伸也さんにインタビュー

まず1つ目の「生産力」については、ライン化の推進などで効率化を図り、業界トップクラスの生産力を実現しています。2つ目の「災害」については、だいぶ前からモバイルファーマシー(災害対策医薬品供給車両)開発をスタートしていて、県の薬剤師会、薬科大学などに10台以上の車両を供給しています。3つ目の「インフラ」については、RVパークはこうあるべきというモデルケースとして、ワンランク上の都市型車中泊スポット京都南鴨川RVサイト(RVパーク認定施設)をプロデュースしています。

新・生産方式導入による「速納宣言」

バンテックのキャンピングカー工場

バンテックが“キャンピングカーメーカー”として重視している点は?

お客様の要望を迅速に叶えるため、納期短縮にこだわっています。

キャンピングカー業界では、納期が長いことがステイタスになっている一面もありますが、バンテックでは「お待たせするのは、お客様に対して失礼」という考え方が徹底しています。「速納宣言」というキャッチフレーズを掲げて、タイミングが合えば最短納期(即納)も可能。新規受注でも、納車までは6か月程度です。オーダーから納車まで3か月を目標に、今後も生産効率のさらなる向上や発注方法の工夫などで、納期短縮に取り組んでいきます。

バンテックのキャンピングカー工場2

納期短縮の実現に向けて、具体的にどのような取り組みを行っていますか?

まずは、製造工程の見直しによる新しい生産方式の導入。製造工程を50コマ近くのラインに細分化することで、品質と工期短縮を両立しています。もちろん今後も、より効率に優れた生産方式を求めて変化を続け、年間目標台数720台の実現を目指します。

生産体制の効率化のほかにも、納期短縮に向けて様々な取り組みが行われています。特注の要望が多い部分を事前にオプションとして設定したり、装備の配置などの基本的な要素を精査したり……。例えば、コンセントの位置ひとつとっても、「実際の使い方から導き出した位置」をメーカー側がしっかり提案すれば、お客様が特注で位置を変更しなくても満足していただけます。こうした小さな努力の積み重ねが、結果として納期短縮につながるわけです。

バンテックのキャンピングカー工場3

また、ユーザーの希望と製造現場をつなげる役割として、営業と製造現場の間に販売促進課という部署を設けています。お客様の要望を基にベース車両や製造中の車両をマッチングしたり、オーダーした車両がどの製造ラインにあるかを把握して、より正確な納車時期をお伝えするなど、受注~製造~納車の過程を円滑にする役割を担っています。

イベントブースでブランドの「世界観」を表現

JCCS2022のバンテックブース

ここ数年イベントでのブースづくりが非常に印象的ですが、こうした取り組みはいつ頃から始まったのですか?

テーマに沿ったブースづくりは、8年前にスタートしています。最初は2014年のジャパンキャンピングカーショー(JCCS)で、テーマは「バンテックリゾート」でした。「リゾート=時間を楽しむ」を表現するため、クルマをゆったりレイアウトしてグリーンでリゾート感を演出し、トラス(金属の骨組み)を廃止して木工にするなど、テーマに沿ってディスプレーしました。ただクルマを並べるのではなく、テーマを決めてブースづくりをすることが慣例になったのは、その年からですね。

なかでも、今年2月に開催されたJCCS2022のバンテックブースは圧巻でした。

もともと「リゾート」からスタートしたテーマが、「日本の四季を楽しむ」~「日本の旅」へと変化していきました。JCCS2022のブースは、「日本」「和」がテーマ。日本にはまだまだ素晴らしい場所がたくさんあります。キャンピングカーでしかできない旅を通して、日本の良さを再発見していただきたい。今回のテーマには、そんな思いが込められています。

星空のパネル

木材を三角形に組んだオブジェがとても印象的でしたが、そこにはどんな意味が込められていますか?

ブースの中央を貫くように設置したオブジェは、鳥居、森、合掌造りの屋根、龍など、見る人によって感じ方や捉え方は様々で、正解はありません。キャンピングカーも使い方は多種多様で、それを決めるのはオーナー自身。あのオブジェは、和のイメージを演出すると同時に、「キャンピングカーの多様性」も表しています。壁一面に星空をあしらい、月が時間によって変化する演出によって、クルマ旅でしか体験できない“瞬間の美”を表現したのもポイントですね。

相談スペースの入り口

バンテックが凝ったブースづくりにこだわる理由は?

現在バンテックのキャンピングカーは、車両価格が軒並み1000万円を超え、なかなか手の届かないクルマになっています。だからこそ、車両だけを販売するのではなく、お客様がバンテック車で過ごす時間を販売するという考えを持っています。

ブースづくりは、キャンピングカーの楽しみ方やバンテックブランドを表現する1つのカタチ。クルマのデザインやブランドのイメージを損なわないように、車両にはポップをできるだけ貼らず、お客様に伝えたいことはタブレットを置いて映像で流すように工夫しています。

相談スペースに飾られたお花

YouTubeで正しい情報と価値を発信

バンテックのYouTubeチャンネル

公式YouTubeチャンネル「バンテックTV」での情報発信にも力を入れていますね。

YouTubeには、様々な情報があふれています。だからこそ、正確な情報や価値を公式な立場で発信していく必要がありますし、動画を通してキャンピングカーの素晴らしさをメーカー目線で伝えていきたい。それが、公式YouTubeチャンネルを開設した理由です。

チャンネル自体は2014年にスタートしていますが、とくに積極的な情報発信をスタートさせたのは約2年前から。コロナ禍でイベントに出られない期間が続いたため、オンラインでできる取り組みの1つとして本格的に再始動しました。

もともと週1ペースで動画を配信していましたが、現在は週2~3本ペースまで更新頻度を上げています。そのおかげもあって、最近はイベント会場や店舗でお客様に声をかけていただいたり、動画を見てクルマを購入してくださる方が増えたりと、多くの反響をいただけるようになってきました。

YouTubeの動画を通して何を伝えていきたいですか?

バンテックTVは、まず「バンテックを知ってほしい」がコンセプト。動画を通してキャンピングカーの魅力や楽しさを知っていただきつつ、「キャンピングカー=バンテック」というブランドイメージの確立を目指しています。

動画のテーマは、大きく分けて4つ。「次の旅先、日本。」は、バンテックのキャンピングカーで日本の様々な場所を実際に旅しながら紹介することで、視聴者が自分たちの旅をイメージできるような内容を目指しています。ウイークデー・バンテック、ウイークエンド・バンテックは、キャンピングカーの機能をわかりやすく説明したり、基礎知識を解説したりするのがメイン。キャンピングカーパーツセンターは、バンテックで販売しているキャンピングカーパーツの機能や使い方を紹介しています。

バンテックが目指すキャンピングカーづくり

バンテックのキャンピングカー

クルマづくりに関する、メーカーとしてのこだわりを教えてください。

バンテックが追求しているのは、「快適で安全(コンフォートwithセーフティ)」。快適の中に安全があり、安全の中に快適がある。どちらか一方だけを求めるのではなく、その2つを融合したキャンピングカーづくりが、一番大切なことだと思っています。

例えば、CS(コンフォート・セーフティ)ボディ。継ぎ目のない一体成型のFRPボディは、断熱性もさることながら、万が一の衝撃を拡散して乗員を守る役割を果たします。快適面では、FFヒーター、エアコン、トリプルサブバッテリーの全車標準装備化。信頼性を第一に考えて、リチウムイオンバッテリーではなく、あえて数千台の搭載実績があるディープサイクルバッテリーを採用し続けているのもこだわりです。

バンテックのキャンピングカーのリア

細かいことですが、純正キーレスと連動してエントランスドアのロック・アンロックができる「セキュリティ集中ドアロック」を全車に標準装備しているのもポイントですね。

車両のコンピューターでエントランスドアの開閉も認識できるシステムを構築しているので、純正キーレスですべての乗車ドアが開閉でき、誤作動でアンロックしても30秒後に自動でロックがかかるセキュリティドアロック機能やインロック防止機能も、純正同様に作動します。一見単純なように見えて実は手間と時間がかかるこうしたシステムが、バンテック製キャンピングカーの礎となっています。

バンテックでは、これからも皆様に喜んでいただけるキャンピングカーづくりを目指していきますので、ぜひ今後の動向にもご期待ください。

WRITER PROFILE
岩田一成
岩田一成(いわた・かずなり)

1971年東京生まれ。キャンピングカーライフ研究家/キャンピングカーフォトライター。日本大学芸術学部卒業後、8年の出版社勤務を経て、2003年に独立。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に累計1000誌以上の雑誌・ムック製作に携わる。家族と行くキャンピングカーの旅をライフワークとしており、これまでに約1000泊以上のキャンプ・車中泊を経験。著書に『人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門』がある。

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バンテック:Comfort with Safety.快適で安全。
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