RVパーク開設秘話

車中泊地
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RVパークとは? キャンピングカーオーナーや車中泊ファンに『快適に安心して車中泊が出来る場所』を提供するために日本RV協会が推進しているシステムです。

キャンピングカーはよく「走る家」と言われますが、超未来的な自動運転が実現しない限り、目が醒めたら現地に到着!なんてことは無理で、夜はどこかに停まらなければ(泊まらなければ)なりません。まだ昔の大らかな頃、道の駅も一般的でなかった時は、ちょっとした公共駐車場や空き地に泊まったりしましたが、夜になったら暴走族のレース会場になってしまって身の危険を感じたり、さて寝ようかと思ったら、ガードマンさんに移動するように言われたりと、結構、一か八かの車中泊なんて事もありました。

自由気ままなクルマ旅の為にも、安全・安心・快適に車中泊ができる場所が必要になります。そこで、日本RV協会が、その普及に努めているのがRVパークです。

その定義は、

1. ゆったりとした駐車スペースで、一週間くらいの滞在が可能
2. 24時間利用が可能なトイレ
3. 100V電源が使用可能
4. 入浴施設が近隣にあることが望ましい
5. ゴミ処理が可能
6. 入退場制限が緩やかで予約が必須ではないこと

・・・となっていますが、実際はその施設ごとにいろいろと特色があり、中には「行くだけでも楽しい」RVパークもあります。 RVパークも現在(2021年6月時点)で、全国に約190箇所弱ありますが、スタートしたばかりの2012年頃は、まだ全国に3箇所しかなく、当然、認知度も低く、その普及には関係各位の並々ならぬ努力がありました。そこで、今回はその知られざるRVパーク秘話をご紹介しましょう。

RVパークロゴ

RVパークのスタート

RVパーク第一号のRVパークたまがわ

キャンピングカーがニッチな存在だったころ、キャンピングカーに乗っているのは、キャンピングカーというハードに惹かれている人、海外経験がありキャンピングカーの利便性を理解している人など、何れにしても、ごく限られた一部の方が乗っていたという状況でした。

ハードだけでは、その普及に限界が来るのは目に見えていて、ハードだけでなくソフト面、つまり、「クルマ旅と車中泊文化の創出と根付き」が必要!これ無くしては、キャンピングカーの未来はないと考えるは当然の事でした。当時、クルマ旅とは相性の良い入浴施設での車中泊が可能な「湯YOUパーク」などが既にありましたが、これはくるま旅クラブ会員施設だった為、その有用性は認められていたものの、もっと一般的なものにするためには、車中泊する誰もが利用できる施設でなければいけません。

キャンピングカーの最大メリットでもある「自由気ままなクルマ旅」の為にも、「安全・安心・快適」な車中泊施設が求められていました。そこで、前述の様な条件をクリアした車中泊施設として「RVパーク」がスタートしたのでした。

黎明期の苦労

RVパーク

しかし、スタートしたものの、当時、全く知られていない新しい施設である「RVパーク」だったので、その普及は前途多難で、「是非、RVパークの開設をご検討頂きたい」「RVパークってなに?」「日本RV協会が推進する車中泊施設で・・」「日本RV協会ってなに?」そんな状況だったそうです。

RVパークのお話を持って行く先と言えば、当時、数が増えていた道の駅や、入浴施設など、前述のRVパークの条件を初めからある程度、クリアできそうな所に、半ば「飛び込み営業的」に行っていました。まだまだ、数も少なく、従って実績も出ていなかった事もあり、「前例がない」「問題が起こったらどうする?」「今期の予算がないので、来期以降検討」など、どこも判を押したような対応が多く、それは難航したそうです。中には「開設頂ければ、このエリアでは第一号となります」「第一号は困るんだよね、第二号ならいいけど」と言った、笑い話みたいな事もありました。

RVパークがスタートしたばかりの頃の先達のご苦労は並大抵のものではないと思います。私が、RVパーク普及のお手伝いをさせて頂いたのは、丁度、この時期でした。私が、一担当者としてRVパークの有用性を痛感したのは、二回の中国・九州出張でした。一回目は、RVパークの第一号「たまがわ」と第二号「やまが」の視察でしたが、そこへの行き帰り、大概は道の駅に車中泊するしかありませんでしたが、暑い時期でしたので、もう小型扇風機を抱えて寝るサウナ状態。睡眠不足になり命の危険すら感じる程でした。

二回目は、RVパークが増えてきて、その行き帰りの殆どでRVパークに車中泊ができる状態だったので、暑い晩でもエアコンで快適熟睡!一回目が地獄としたら二回目は天国、その差は月とスッポンポン!でした。また、RVパークの普及につれ、無理無理「飛び込み営業」をせずとも、今では、問い合わせにお応えするだけでも確実にRVパークが増えていくという状況になってきていて、正に「隔世の感」があります。これもRVパーク開設に携わった関係各位のご尽力のお陰と、改めて感謝しております。

現場の苦労

RVパークあらたえ

RVパークが、まだ認知度が低かった時は、正に「お百度参り」状態。中には3年がかりで、やっと開設したRVパークなどもありました。前述の通り、RVパークはもとより、それを推進している組織自体の認知度も当時はまだ低かったので、中には、キャンピングカーを売りつけに来た胡散臭い団体といった目で見られた事もありました。

キャンピングカーの普及は、交流人口を増やし、ひいては、地域活性化、黙っていては広がらない地方創生サポートにもつながる事も説明し、RVパークはその拠点になると熱く訴えました。私事ですが、被災した東北地方で、一挙に七箇所、RVパークを開設した時には、当時の協会のRV普及部長だった「かーいんてりあ高橋の社長さん」を助手席に、東北地方を2巡り以上した事もあります。

当時は、100箇所を超えるまではこの調子で頑張ろう!100箇所を超えれば認知度も上がり、施設様側からの問い合わせも増えるだろうと信じ、それを支えに普及活動を行っていました。私事ですが、200%パワーをつぎ込んだRVパークですが、これだけでは食ってはいけません。前職のS社の株を売っては切り崩し生活費に充てては日本中を、自分が企画したロボット犬AIBOと一緒に駆け回っておりました。大変でしたが、今では懐かしい思い出になっています(余談ですが、その後S社の株は10倍になり、売っていなければという気持ちもありますが、今は200箇所近くにもなるRVパークが、私にとっては“上昇株”です)

この様に、RVパークに関しては、「キャンピングカーとクルマ旅は日本を救う!」という信念で、協会の地域部長さん、キャンピングビルダーのご担当者など、RVパークの開設に関わった方の数ほどのご苦労があったと思います。

実際のRVパーク

それでは、実例として、人気のRVパークをご紹介しましょう。
美味しい酒と食事、スウィーツがあり、極上の温泉と素晴らしい眺望もある・・・、そんな極楽浄土の様なRVパークがあります。

RVパーク甲州市勝沼ぶどうの丘(山梨県甲州市)

RVパークぶどうの丘

東京から僅か100キロちょっとの山梨県甲州市勝沼にあります。その名の通り小高い丘の上にある施設で、ぶどうの丘と言われるだけあって辺りは一面、ぶどう畑!季節ごとに彩りを変えるぶどう畑の風景も魅力ですが、収穫期には宝石の様なぶどうがたわわに実り、スウィーツとして味わうだけでなく、時間をかけ姿かたちを変えて繊細で優美な味わいのワインとなって、その恵みを惜しみなく与えてくれます。

勝沼は、日本ワインづくり発祥地でもあり、日本のボルドーと言われるほどにワイナリーが周辺各所に点在していて、RVパークはそのワイン巡りの拠点としても活用できます。RVパークは「ぶどうの丘」の敷地内、BBQハウスの隣にあり、そこからの景観は素晴らしく、甲府盆地の夜景や南アルプスの山々が一望にできます。パーク内には桜の木があるので、春には、ワインでお花見ができるRVパークにもなります。更には、桜から若干、遅れて桃色の絨毯の様な桃の花や、秋には遠くの山々の紅葉なども楽しめます。丁度、お向かいの山には、フルーツ公園やほったらかし温泉なども見えますので、しばしパノラマを楽しめます。

RVパークぶどうの丘の夜景

こちらも、実は開設までには年単位の時間がかかりました。同じ山梨出身のミスティックの佐藤社長と、市役所に何度も足を運び、プレゼンをし、時には「お試しオフ会」なども開催し、ご理解を頂き、やっと開設に漕ぎつけました。開設後、支配人さんの「お蔭様で大人気!これならもう少し早く開設しておけば良かった」とのコメントには、思わず涙がこぼれそうになりました。

それでは、RVパークの条件と照らしあわせて、その魅力にふれてみましょう。

1. ゆったりとした駐車スペースで、一週間くらいの滞在が可能

正に天空のRVパーク!眺めの良い駐車スペースに利用台数は4台で、余裕のソーシャルディスタンスが取れます。

RVパークぶどうの丘の駐車スペース

2. 24時間利用が可能なトイレ

徒歩1分の所、緊急事態の時は駆け足30秒で行ける所にあります。洋式、それもシャワートイレなのが嬉しいですね。

RVパークぶどうの丘のトイレへの階段

3. 100V電源が使用可能

最近は地球温暖化の為か?ここ数年の猛暑の夏にはエアコンを一晩中、心置きなく使えるのも魅力です。エアコン以外にも、最近はキャンピングカーも電化が進み、電子レンジや冷蔵庫などがあっても、外部電源があれば安心です。

RVパークぶどうの丘の電源

4. 入浴施設が近隣にあることが望ましい

クルマ旅の楽しみと言ったら温泉です。RVパークから徒歩数分で行けるところに「天空の湯」があります。甲府盆地の夜景が楽しめ、南アルプスの大パノラマが一望にできる露天風呂は正に「天空からの眺め」です。

天空の湯

5. ゴミ処理が可能

どうしてもある程度のクルマ旅となると、困るのがそのゴミの処理です。道の駅やSA/PAではゴミ捨てに対して厳しくなっているので、ゴミを引き取って貰えるのは本当に助かります。パーク内には分別可能なゴミ箱が設置されていて非常に便利です。(但し、家庭ゴミの持ち込みはNGです)

RVパークぶどうの丘のゴミ置き場

6. 入退場制限が緩やかで予約が必須ではないこと

チェックインは、ぶどうの丘の受付で行いますが、営業時間に合わせて夜の8時までと比較的、遅いので、渋滞等で到着が多少遅れるような場合でも安心です。(遅れる場合は、事前にご一報をお願い致します)

RVパークぶどうの丘の受付

以上、RVパークとしても、ほぼ完璧ですが、それに加えて以下の様な魅力もあります。

  1. ディナータイムには、息をのむほどの美しい甲府盆地の夜景が楽しめる「展望ワインレストラン」
  2. 眺めの良いテラスでバーベキューという極上のひとときを過ごす事ができる「BBQハウス」
  3. 甲州市推奨の約200銘柄(約2万本)のワインすべてを楽しむ事ができる「ワインカーヴ」
  4. 中央高速道路勝沼インターチェンジから僅か10分という「ロケーション」
  5. 人数課金もシーズン価格もない電源込みの一台での値段で、ゴミの引き取りも無料の「ハイコストパフォーマンス」
ぶどうの丘の看板

ほぼ完璧とも思えるこのRVパークですが、実は少し気になる点もあります。
丘という地形から、入口付近は勾配がキツく道路幅員が狭いため、フルコンなどの大型車や、キャンピングトレーラーは乗り入れが厳しい恐れがあるので事前に確認した方が良いかもしれません。また、トイレは近いものの、枕木の階段を昇る事になりますので、足腰に自信がないという方には多少辛いかもしれません。昇りという意味では、各種施設までも勾配があるところがあるので、元気満々!という方でも多少は息が切れるかも。まあ、運動不足の方には適度な運動になり、ダイエットにもなると考えると良いですね。

如何でしたか?安全・安心・快適な車中泊施設RVパーク、来年で丁度10年となります。日本RV協会も、何れは1000箇所!を目標に掲げています。数量だけでなく、クルマ旅人の為、地方創生の為にもなるRVパークの拡充に、今後も期待したいものです。

WRITER PROFILE
さいば☆しん
さいば☆しん(彩羽森)

くるま旅作家。キャンピングカーで日本全国くるま旅。主にキャンピングカーで漫画&コラムを創作、キャンピングカー雑誌や関連サイトに連載したり、ショーイベントではトークショーで、キャンピングカー&くるま旅の素晴らしさをお伝えしています。体内に凶暴な腹の虫を飼っている事でも有名。

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