載せられるトラックがあれば作る!J-cabinの系譜

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載せられるトラックがあれば作る!J-CABINの系譜

トラックキャンパー略してトラキャンをご存知だろうか。誤解を恐れずに言えば、様々なジャンルのキャンピングカーの中で、日本では一番マイナーな存在だ。主にアメリカで製造・販売されているキャンピングカーだが、正確に言えば「カー」ですらない。ピックアップトラックの荷台に載せる居室のことだ。
このトラキャンを、日本で唯一製造している会社がある。山梨県にあるキャンピングカービルダー、MYSミスティック社である。
実はとても合理的でもちろん快適なトラキャン。その魅力についてご説明しよう。

アメリカらしい合理性から生まれたトラキャン

アメリカ製トラキャンのランス
数あるアメリカ製トラキャンの中から、製品のクオリティ、日本で使いやすいサイズなど、佐藤社長が厳選して輸入しているLance865

そんなトラキャンを愛してやまないのが、MYSミスティック社の佐藤 正社長だ。今でこそ、レジストロやアンセイエなどのキャブコンが主力商品になってきた同社だが、創業当時の主力商品はトラキャンだった。当初はランスなどアメリカ製のトラキャンを輸入していたが、それでは日本製のピックアップトラックには載らない。そこで、1999年に同社が開発・登場したのが純国産トラックキャンパーJ-cabinシリーズだ

2005年のオートキャンパー
2005年のオートキャンパー誌で組まれたミスティック社の特集

煩雑な国産トラックに合わせて

J-cabin S
ピックアップがないのならキャブオーバーに載せればいいじゃないか!キャブオーバートラック向けに2003年に発売されたJ-cabin S

アメリカで販売されているピックアップトラックの荷台寸法は、年式やメーカーが違っても似たり寄ったりで、だいたい2パターンぐらいしかない。よって、それに応じたトラキャンは、トラックの荷台の長さに応じたロングベッド用かショートベッド用があれば対応できる。一方、日本で販売されていた国産ピックアップトラックは、車種によって寸法がまちまちだった。今でこそトヨタ・ハイラックスぐらいしか現行車両はないが、以前には三菱・トライトンや日産・ダットサントラックなど、各種車両があったのだ。そのためJ-cabinシリーズの歴史はまさに搭載できる車両に合わせて製作してきた歴史ということになる。現在、同社がラインナップするJ-cabinシリーズは、アメリカ製フルサイズピックアップトラックから軽トラック用まで、実に12種類にも及ぶ。「載せられるトラックがあるならば、合わせて作る!」とも言うべき、佐藤社長のトラキャン愛の賜物だ。

多様なトラックに載るJ-cabin
多様な国産トラックに載るJ-cabin

トラキャンってどんなもの?

J-cabin Lの室内
前側からバンクベッド・ダイネット・キッチンと配置された、オーソドックスなトラキャンのレイアウト。ランドクルーザー79専用J-cabin L(2014年発売)

前に述べたように、キャブコンがトラックなどをベースに居室を架装するのに対し、トラキャンはトラックに「載せる」。つまり「居室」=「荷物」なのだ。荷物なので、当然、運転席から直接室内に入ることはできない。トレーラーのようにけん引するわけではないので車輪もない。このことから言えるトラキャンの最大の特徴は「キャンピングカーでありながら車両ではない」ということ。つまり、登録も不要なら税金もかからないし、不要なときは降ろせばいいというメリットもある。

では、具体的にどんな物なのか。写真を見てもらえればわかるだろう。ピックアップトラックの形状にぴったり合わせて作られた箱型の居室そのもの。降ろすときは4本の脚を伸ばして接地する。取り付け・取り外しは至って簡単だ。

トラックからおりたシェル
トラキャンの着脱はあっという間。慣れれば15分もあればできてしまう。トラックがキャンピングカーに変身する瞬間だ

アメリカ製のトラキャンは木製フレームのことが多い。が、MYSミスティック社のJ-cabinシリーズは、同社がボディーバス工法と呼ぶ独自のアルミフレームを持つ。手間もコストもかかる工法だが、軽量かつ耐久性にも優れている。

気になるのは室内のレイアウトだ。ピックアップトラックの荷台に載せるという制約があるため、どうしてもレイアウトにも限りがある。リアエントリーであること。エントランスの左右にキッチンや冷蔵庫を配し、中央部にはダイネット、常設ベッドはバンクベッドというレイアウトにほぼ固定してしまうのだ。それでも、基本的な生活装備は十分。むしろコンパクトにまとまっていて、機能的なキャンプギアを望む人にはうってつけと言えるだろう。

J-cabin HNの室内
現在の主力モデル、トヨタ・ハイラックス用J-cabin HNの室内。バンクベッドの広さは、これだけでトラキャンを選ぶ価値があると言えるほどだ

現在、新車で入手できる国産ピックアップトラックはトヨタ・ハイラックスのみ。もちろんハイラックス専用のJ-cabin HNも用意されている。専用設計なので、搭載した時のフォルムが実に自然でスタイリッシュだ。もちろん、オールド・ピックアップを愛用している人にも多彩なラインナップが用意されているので安心だ。

MYSミスティック社は国内唯一のトラキャン製造・販売会社というだけではない。車の足回りの強化など、トータルでプロデュースできる技術力でも知られている。軽量に作られているとはいえ、それなりに高さのある居室を積めば、運動性にも影響が出る。ただ、キャビンを売るだけではなく、安全・安心に走れるトラックキャンパーとしての完成形を提供できるのが、長年トラックキャンパーと向き合ってきた同社のノウハウだ。
普段からピックアップトラックを愛用しているという方、ピックアップトラックに憧れるという方にとって、トラキャンは悪くない選択肢だと思う。

日本製トラキャンのパイオニア

J-cabin D
1999年に発売したJ-cabinを振り出しに、次々とラインナップを拡大。約20年前とはいえ、なかなか戦略的な価格
J-cabin F
今も続くJ-cabinF、トイレにも収納にもなるフリールームが設けられ、使い勝手の良いレイアウト

充実のラインナップ

J-cabin
J-cabin F&N 内装
基本モデルのJ-cabin F&N。フリールームの使い勝手を選ぶか、王道の対面ダイネットを選ぶか、悩ましいところ
J-cabin Mini
J-cabin Mini 内装
軽だってトラキャンの素材。普段の働き者が週末はキャンピングカーに変身する。軽量なボディーバス工法だからこそ実現したスペースと快適性
j-cabin L
J-cabin L 内装
限定生産車も見逃さない!ピックアップと聞けば専用のトラキャンを作ってしまうのだ。数少ないヘビーオフローダーとして魅力十分
j-cabin HN
J-cabin HN 内装
現行では唯一の国内正規販売車ハイラックス専用トラキャン。フロントガラスの角度と合わせた正面パネルなど、デザイン面でのマッチングも素晴らしい

MYSミスティックからの一言

トラキャンはキャンパー部が外せるという事から、約30年前の発売当初より2Wayの使用方と謳って参りました。しかし外すという行為は、便利でもありかつ面倒な作業でもあります。全ては慣れと心の持ちようによりますが、トラキャン乗りの方々は皆心身共にみなぎるパワーをお持ちの方が多いです。
キャンピングカーはあくまで道具でどう使うかで価値は決まると思います。最近は軽トラに自作でキャンパーを作り載せる方も増えて来たようで、作る楽しみと使う楽しみ両方を味わえて最高だろうなと感じております。
ニッチなカテゴリーではありますが、個性的なレアなトラキャンをこれからも普及発展させて行きたく思っております。
WRITER PROFILE
渡部竜生
渡部竜生(わたなべ・たつお)

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫7匹とヨメさんひとり

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