実は日本って、国土面積当たりの道路の長さでは先進国の中で堂々の一位!これは、狭い国土に毛細血管の様に道路が隅々まで行き渡っているとも言えます。但し、その狭い国土ゆえに、広々とした道よりも、すれ違いにも苦労するような狭い道が多いというのは想像に難しくないでしょう。
昔は脇道裏道酷道が大好きで、「おやっ?この道は面白そう!」と入り込んでは裏道開拓?していた私でしたが、キャンピングカーに乗るようになってからは、その車体の幅や高さ方向で難がある道が多く、脇道裏道酷道好奇心マックスの状況でも、悔し涙を飲んで諦める事が多々ありました。
それが、軽キャンのMini POP Bee「愛車の愛称:オードリー」に乗るようになってからは、これまで溜まった欲求不満を一気に解消するかのように、普通のキャンピングカーなら入り込まないような所まで「進撃のオヤジ」と化してブイブイくるま旅するようになりました。
今回は、山梨県南巨摩郡南部町の新しいRVパークに行く機会があったので、折角だからと、南部のトンでもない「奥の細道」を走ってきました。そこには、とても「普通だったら絶対に行かない」刺激的な場所もあったのです。
目次
人知れずたたずむ謎の湖“天子湖”
山奥の人造湖で観光地でもなんでもなく、決して観光ガイドなどでも、おススメされない湖です。が、近くに興味深いスポットがあったので、行ってみることにしました。
新東名の新清水ICを降りて国道52号から国道469号/県道10号を行き、身延線井出駅の先の踏切を渡って山道へ。そこは入った瞬間、通常のキャンピングカーだったら「だめだ、こりゃ!」と帰りたくなるような道でした。
交通量は少なく対向車も殆ど無かったので、すれ違いでドッキリということもなかったのですが、まさに気分はアドベンチャーでした。
湖に近くなると道路に石がゴロゴロの“落石注意”!やっとたどり着いた湖ですが、観光地化されていないので“見晴らし駐車場”の類は全くなく、湖畔の森の中のちょっとしたスペースでお茶してきました。まあ、手つかずの場所と言えば聞こえは良いですが・・・。
こんなところに!?“巨石アート”
山奥の湖が目的地というだけでは入り込まない?エリアでしたが、地図上では「まむし養殖場」とか興味深いスポットが幾つかありました。
この“ケン平塚氏のワンライン作品”もその一つで、天子湖から少し北上した川沿いにあります。観光標識もなにもないので、うっかりすると通り過ぎてしまいそうです。なんの予備知識なく、偶然、発見すると、「こ、これは古代人か宇宙人が残した遺跡か!?」と思ってしまいますが、日本人芸術家のケン平塚氏が約20年前に彫り込んだアート作品です。
大自然の中のアート作品、小川のせせらぎを聴きながら、しばし、寡黙な巨石との時間を過ごします。ワンラインの溝に、良い感じに苔生して、それなりに映えるスポットでした。くるま旅のネタとしても面白いですね。
無念!行けずの滝“古芋の滝”
こちらも、ついでに行ってみよう!スポットの一つ。 ますます道は狭く、舗装もなくなって、軽キャンの1インチアップした四駆の本領発揮か!とブイブイ奥地に進んだのですが、なんと通行止めの標識が!まあよく“あるある”の状況です。
昔は整備されていた遊歩道も荒れ果てて、予算もない、人手もない、やる気もないという昨今の行政方針で、廃止され法定外公共物となってしまう道路は日本のあちこちにありそうです。
事前情報ではここに車を停めて、徒歩15分のところに滝があるとのことだったので頑張って行こうと思いましたが、「熊出没注意」のサインにビビッて(今年は熊の当たり年?)、まだクマちゃんのランチにはなりたくないと、結局、Uターンできるところまでバックで戻り、悔し涙で引き返してきました。
手抜きヒュッテ“981上佐野ヒュッテ”
滝に辿り着けず、敗北感と己のチキン野郎ぶりにガックリ!して戻ってきた途中にあったのが、このヒュッテでした。本格的な営業はまだまだとの事でしたが、古民家?改造のヒュッテは、なかなか居心地の良いスペースでした。
生憎、オーナーさんは不在でしたが、お母さんにご対応頂き、しばし、よもやま話に花が咲きました。手抜きコーヒーってなに?と思いましたが、それはインスタントコーヒーだったので思わず笑みが。勿論、本格的な“こだわりコーヒー”や、懐かしい味の“お母さんカレー”などもあります。
近くの川沿いには、これまた”手抜きキャンプ場“もありました。都会の喧騒に疲れた時は、こんな山奥で、川のせせらぎを聴きながら、まったりと過ごすのも悪くないなと思いました。
蕎麦も亭主も味のある店“雲平”
自他ともに認める蕎麦好きなので、行った先では必ずと言って良いほど美味しい蕎麦屋を探してしまいます。こちらは蕎麦は美味しいが、味のある亭主がいると有名?なお蕎麦屋さん。駐車場が狭くて駐車台数も少ないので、開店前に訪問。
この点、軽キャンだと駐車で悩む事は少なく、ストレスもありません。表には、「大人数おことわり」という謎の貼り紙があり、既に味のある雰囲気が・・。お蕎麦は3種類あり、迷った末に2種類をうす盛りで頂きました。蕎麦も、もの凄い拘りをもった?ご亭主も味のあるお店でした。
そして自家製おつまみの“合鴨燻製”も絶品!これは絶対、リピートしたい・・というか、この蕎麦を食べにまた南部に来たいと思ってしまうほどです。
街中にある森のなかの温泉“なんぶの湯”
その名前の“森のなかの温泉”から、うっそうとした森の中にあるのかと思いきや、富士川沿いの街中にある温泉でした。でも、今回訪れるRVパークから僅か6分、約2.4kmと、もっとも近い温泉です。
施設も新しく綺麗で、中に入ると、どこかのアウトドアショップかと見間違えるほどのテントやくつろぎスペースがあります。ちょっとお高いですが、お風呂も快適で、お食事処もあるので、半日くらいはここでまったり寛ぐことができますから、くるま旅の途中で、元気チャージするのも良いかもしれません。
私は、なんとここで、湯上りに“あんみつ”を食べるという暴挙にうってでます。だって運転するので、湯上りにビール!でグビっとが、できませんからね。
雨の多い日本では感涙の全天候型RVパーク“RVパーク Campingcar Trip L”
折角の車中泊なのに生憎のお天気・・・なんて、雨の多い日本ではよくある話です。しかし、ここは屋根付きの全天候型RVパーク。その屋根付き車中泊スペースは長さ5m×幅4m×高さ3.9mのサイズなので、屋根の下で焚火なんかもできます。
今回、2日目は朝から雨。通常だったら、朝食も撤収も雨の中で、気分もずぶ濡れ状態になるのですが、屋根があるので、まったく問題なし。余裕で朝食も済まして、濡れることなく撤収できて、図らずも、全天候型RVパークのメリットを体感する事になりました。
この快適さは一度、味わうと止められません。お隣の身延ほどは知られていない南部町ですが、秘境あり、裏道脇道酷道あり、快適なRVパークありで、また訪れてしまいそうです。
絶叫マシン並の道と大絶景“森林文化の森 思親山の森”
綺麗な富士山が見えると評判の場所に行ってみました。が、そこまでの道が凄い!対向車が来たら、どちらかが谷底に落ちないといけないような道です。そうやって勝ち抜いた?者だけが目にする事ができる絶景です。
それでも交通量が少ないので心配するほどは問題は無いらしく、登山口の駐車場には、既に何台か車が駐車していました。トイレもあるので、ここで車中泊とも考えましたが、当時、水道も凍る寒さと、スマホ圏外という不安もあり、綺麗な富士山を眺めて、お茶するだけで我慢しました。
帰り道も、絶叫マシンも顔負けのスリルでした。対向車が来ない事を祈り、気分はロシアンルーレットです。普通のキャンピングカーで来られない訳ではありませんが、軽キャンだと大分、そのストレスが軽減されます。あ~無事に帰って来られて良かった。
ここは車中泊パークになってほしい“佐野川温泉”
個人的には、ここは絶対、RVパークか、湯YOUパークといった車中泊パークになって欲しい温泉です。富士川支流の佐野川沿いにある隠し湯的な雰囲気のあるところで、人気漫画にも出てくる聖地温泉です。
泉質は硫黄泉のアルカリph9.68!でバツグン!ちょっとぬる湯なので、冬場の露天風呂は縮み上がりますが、夏場は丁度良く?何時間でも入っていられそうです。ここの温泉は飲用もでき、受付で売っている温泉玉子は大人気で、即、売り切れになるほど。南部町の裏道・脇道・酷道でヤンチャした後に、ゆったりまったり浸かるには最適です。
RVパーク Campingcar Trip L利用者だと、入浴料大人650円が590円と割引になるのも嬉しいですね。前述のなんぶの湯とは定休日も違うので、その日の状況で利用すると良いかもしれません。
あの作家が住んでいた古民家喫茶“油屋”
佐野川温泉からも近い村中にある古民家喫茶。行くまでの道や駐車場も狭く、つい行くのが億劫になりそうなお店ですが、軽キャンでは全く苦になりません。ここは、お子さんや孫っちがいる方ならご存知かと思いますが、童話「100万回生きたねこ」の作者、佐野洋子さんが住まわれていた古民家です。
築108年という古民家を改造した喫茶店は、まさに癒しの空間。真空管アンプが奏でる柔らかい音色に身も心も委ねます。推しは”チャイ“ですが、富士宮焼きそばの麺をつかったナポリタンや、三重県・樹和堂(きよりどう)の釜戸で炊いたあんこを使った料理など、一度ならずと数回、通いたくなるメニューばかりです。ここも南部に来たら、必ず立ち寄りたいスポットです。
「シン・奥の細道」は如何だったでしょうか?
「自由気ままなくるま旅」が信条のキャンピングカーも、そのサイズゆえに、日本全国の毛細血管の様な道のすみずみまでを楽しむ事は難しかったのですが、軽キャンによって、その呪縛から解き放たれて、シン(真)の奥の細道が楽しめるのではないかと思います。
これもまた、キャンピングカーのまた違った楽しみ方かもしれません。
ここで、ご注意ですが、酷道には危険な場所もあるので、あくまでも「自己責任」でお楽しみ下さい。