キャンピングカーライター対談「ジャパンキャンピングカーショー2019」

キャンピングカー紹介
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2月1日(金)~3日(日)、幕張メッセにて日本最大級の屋内キャンピングカーショー「ジャパンキャンピングカーショー2019」が開催されました。

毎年2月に行われるこのショーには、全国からキャンピングカービルダーが一堂に集結し、数100台のキャンピングカーが会場に展示されます。ニューモデルが初お披露目されることも多く、キャンピングカー業界の1年を占うビッグイベントとして定着しています。

今回、キャンピングカースタイルで記事を執筆している2人のキャンピングカーライターに、「ジャパンキャンピングカーショー2019」についてお話をうかがいました。1人は、自身もキャンピングカーオーナーで、25年間に渡ってキャンピングカーの取材を続けてきた町田厚成氏。もう1人は、キャンピングカーを仕事やレジャー、子育てに活用し、雑誌やWEBの記事執筆、イベントアドバイザー、テレビ・ラジオ出演など、多方面で活躍する岩田一成氏

2人の専門家の目に「ジャパンキャンピングカーショー2019」はどう映ったのでしょうか?

キャンピングカーの世界にも“バンライフ”の潮流が

アネックス「RIW350」
アネックス「RIW350」

――まず始めに、今回のショーの感想を聞かせてください。

【岩田】昨年、一昨年と比べて、車中泊やアウトドアをテーマにしたライトな仕様が目につきましたね。アネックスのRIW、専用ポップアップルーフキットを装着したRVランドのジープ・ラングラー、オリジナルベッドキットを搭載したトイファクトリーのジムニーなど、いわゆるキャンピングカーとは違ったテイストを持つオシャレな車両。割り切ったライトな仕様と、普通に「カッコイイ」と思えるビジュアルを両立したクルマたちが、とくに印象に残りました。

トイファクトリー「ジムニー」
トイファクトリー「ジムニー」
RVランド「JEEPラングラー」
RVランド「JEEPラングラー」

【町田】それはすごく感じましたね。岩田さんが挙げたクルマのほかに、ノニデルさんのハイエースも、ウッドを使った内装が良い雰囲気でしたよ。僕は、作っている人たちがキャンピングカーと接点を持とうという考え方から吹っ切れたことが、良かったと思うんですよね。今までは、車中泊車をキャンピングカービルダーが作ると、どうしても「ビルダーだから」という思いが強くて、8ナンバーまでは取らないにしても、シンクとか家具とかで空間を埋めることに注力してしまう。今回は「ベッドマットだけです」みたいな良い意味での割り切りが、ビルダーさんにも出てきたと思うんですよね。

ノニデル「SEDONA」
ノニデル「SEDONA」

【岩田】仕事で、バンライフ系の雑誌や、それ系のイベントにも携わっていますが、ここ数年「バンライフ」というカルチャーが日本に定着してきたことを実感しています。その世界的ムーブメントが、いよいよキャンピングカーの世界に降りてきた。そこで大切なのは、今までみたいに「実用性が良ければいい」というものではなく、乗り手のライフスタイルが感じ取れるビジュアルやテイストだと思うんです。そういった意味で、既存のキャンピングカーとはまた違った、カッコよさを感じ取れるクルマが出てきたなと思います。

キャンピングカーライター岩田一成氏
キャンピングカーライター岩田一成氏

【町田】今話題にしている車中泊以上キャンピングカー未満のようなクルマは、カッコよさとかライフスタイルの提示なんですよね。そもそも、キャンピングカーっていうのは、「ライフ」なんです。このクルマを買うと、発電機があってサブバッテリーがあって、何泊かは生活できますよという。これは、「ライフスタイル」ではなくて「ライフ」。そこが両者の大きな違いかなという気がします。バンライフ的クルマに興味を持つ人は、装備の充実したキャンピングカーを購入しに来る人とは層が違いますよね。そういった意味ではマーケットの拡大に大きく貢献するクルマと言えるでしょうね。

キャンピングカーライター町田厚成氏
キャンピングカーライター町田厚成氏

【岩田】ライトでオシャレなバンライフ的車両が増えるのは、ユーザーの選択肢が増えるということ。もともと、キャンピングカーには、ハイエンドなモデルから軽キャンパーまで幅広いバリエーションがあるわけですけど、「もっとライトでカッコいいクルマがいいな」と思っていた人達からも支持されるクルマが増える。しかも、ビルダーが作るクルマは、ベッドマットひとつとっても当然しっかりしたものを作ってくるわけで、品質に間違いがないですから。今回のような流れは、キャンピングカーの魅力が一般的に広がる良い傾向だと思いますね。

カムロードのリアダブルタイヤ化など安全面も進化

カムロードリアダブルタイヤ
カムロードリアダブルタイヤ

――今回のショーでお2人がもっとも注目したトピックは?

【町田】正直な話をすると、「これだ」というものはないんですよね。シャーシの変わり目にあるとか、いろいろな要因で、今年はあまり新しい提案がないじゃないですか。ハイエースも300系にモデルチェンジするので、現行車で大きな冒険はしにくいし。ナッツさんのブースにあったダブルタイヤのカムロードを使用したキャブコンが、各ビルダーからデリバリーされるようになれば、またどんどん面白いクルマが出てくると思うんですけどね。今は、そういった意味でちょうど変わり目の時期なのかもしれないですね。そうすると、ジムニーとかミニバンとか、むしろそっちの方が刺激的に見えてしまう。

【岩田】自分的に、今回のショーでもっとも注目したのは、ナッツRVのブースに展示されていたダブルタイヤのカムロードですね。家庭用エアコン、サブバッテリーの大容量化などで重架装化していくキャブコンの流れの中で、ベース車両の許容荷重アップは避けて通れない。そんな中で、ようやく新しいシャーシが現実化して、しかもどのビルダーも提供を受けられる。以前にもダブルタイヤのカムロードが話題になりましたが、リアが小径タイヤで標準トレッドでした。しかし今回は、前後同径タイヤでリアワイドトレッド、しかも価格的にもそこまで大幅なプラスにはならない。自分的には、これが今回のショーの最大のトピックでした。

【町田】展示車という一つの完成されたモデルではないけれども、あのベースシャーシが出てきたということに魅力を感じたということですね。さすが岩田さんの見方だなぁ。

【岩田】あのベースシャーシから、国産キャブコンの「未来」を感じました。キャンピングカーがクルマである限り、安全性はもっとも重要な要素ですから。そうした意味で、カムロードのダブルタイヤと並んで注目したのは、ミシュランのキャンパータイヤですね。ヨーロッパのモーターホームで純正採用の実績を持つミシュランが、日本でキャンパー専用タイヤを販売する。これも大きな意味があることだと思います。

ミシュランのキャンパータイヤ アジリスキャンピング
ミシュランのキャンパータイヤ アジリスキャンピング

2人の専門家が会場で気になったキャンピングカー

RVトラスト「TR-500 C-LH」
RVトラスト「TR-500 C-LH」
RVトラスト「TR-500 C-LH」

――個人的に面白いと感じたクルマはありますか?

【町田】レイアウト的に目新しいと思ったのは、RVトラストさんの「TR-500 C-LH」です。フロントシートの後ろがそのままツインベッドになっている、ハイエースのボディカットキャコン。普通なら、まず対面ダイネットを考えるじゃないですか。それを、スライド式のテーブルとソファ兼用のベッドでダイネットを作るという発想が面白いですよね。ホテルの部屋の作り方をキャンピングカーの車内に移植した感じで、あれは今までにないレイアウトだと思います。既存モデルのボレロ、CGから脱却して、RVトラストさん流のオリジナルデザインが出てきたなと感じました。

【岩田】僕的には、レクビィのバンコンが改めて面白いと思いますね。「シャングリラ」とか「カントリークラブ」とか、キャブコンに乗っている自分から見ても、「夫婦2人になったらこれもアリかな」と感じてしまう。バンコンは空間が限られているので要素を詰め込む、つまり空間すべてをベッドや家具で埋めていく作り方が主流ですけど、リアにFRPの防水ルームを作って、しかも通路まで確保されている。それって、一番贅沢な作り方だと思うんですよ。長いことバンコンを作り続けてきた、レクビィのノウハウが活きているんだなぁと感心しますね。

レクビィ「シャングリラ」
レクビィ「シャングリラ」
レクビィ「シャングリラ」

【町田】スーパーロングをベースにするなら、あれくらいしないとスーパーロングの意味がないよね。居住性を広げるだけじゃなく、空間の利用の仕方が重要。レクビィさんは昔から、ハイエースで3段ベッドとか、いろいろな冒険をしてきたんですよ。今のレクビィのクルマは、現代のユーザーのニーズとビルダーの主張のさじ加減が絶妙ですよね。

レクビィバンコンの防水ルーム
レクビィバンコンの防水ルーム

デザインの進化がキャンピングカーの未来を創る

トイファクトリー「バーデンKARIMOKU Ver.」
トイファクトリー「バーデンKARIMOKU Ver.」

――デザイン的に洗練されたクルマが増えた印象がありますが、その辺はいかがですか?

【岩田】ここ数年、内装はもちろん、外装デザインにもこだわったスタイリッシュなキャンピングカーが増えました。なかでも注目だったのが、トイファクトリーとカリモク家具がコラボした限定仕様の「バーデン」。落ち着いた色合いのファブリックとウォールナットの家具が絶妙に組み合わせられて、デザインとクォリティーを高次元でバランスしたインテリアに仕上がっていました。

【町田】新しい取り組みにかける姿勢は、僕も素晴らしいと思います。トイさんはヨーロッパのデザインを積極的に取り入れたり、断熱にこだわったり、バンコンでアクリル窓を取り入れたりと、機能的な部分に力を入れつつ、デザインの面もしっかり考えてますよね。

【岩田】内装のデザインが洗練されているということは、「奥さんを説得しやすい」ということですから(笑)。そこは、ヨーロッパのモーターホームと共通する部分ですよね。もともとデザインにこだわりを持っているビルダーだからこそ、今回のようにカリモク家具とのコラボとか、そういう発想が出てくるんでしょうね。

【町田】キャンピングカー全体を見ても、確実に内外装のデザインが洗練されてきているなと感じます。会場を回っていて、昔からのビルダーさんが作るキャンピングカーも、内装のデザインセンスが以前より格段に向上しているなぁと思いましたね。

【岩田】ここ数年で、カムロードベースのキャブコンのデザイン性も大幅に向上しましたよね。ドレスアップ目的のFRPパーツを装着したり、オリジナルデカールをあしらったり。塗装が前提のアルミパネルを採用したクルマが増えたことも、外装デザインが向上している一つの要因だと思います。

【町田】アルミは平滑性が高いので、仕上がりもキレイですよね。なかでも、ナッツさんは上手だと思います。ナッツさんが使うレッドとかブルーとかの鮮やかなカラーリングは、アルミの平滑性があってこそ活きるものですね。

【岩田】カムロードでいうと、アネックスの「リバティ52DB」もデザインがスタイリッシュですよね。カムロードであのデザイン性は素晴らしいと思います。ベース車とシェルが一体となったフォルムで商用車イメージが払拭されているし、細かい部分をよく見るとプレスラインの作り込みとかも非常に凝っているんですよ。

アネックス「リバティ52DB」
アネックス「リバティ52DB」

【町田】長年キャンピングカーを見続けてきましたけど、今回の「ジャパンキャンピングカーショー2019」でも、デザインやクォリティー、ベースシャーシなど、日本のキャンピングカーが様々な面で確実に進化しているということを実感しましたね。

【岩田】バンライフイメージのライトな仕様が増えたり、ライトエースやNV200、ミニバンなど、機動性に優れたスモールキャンパーの姿が目立ったりと、ユーザーの多様なニーズに応える体制がますます整ってきたと感じました。結論としては、「今年もキャンピングカーが熱い!」ということですね(笑)。

岩田氏、町田氏
WRITER PROFILE
岩田一成
岩田一成(いわた・かずなり)

1971年東京生まれ。キャンピングカーライフ研究家/キャンピングカーフォトライター。日本大学芸術学部卒業後、8年の出版社勤務を経て、2003年に独立。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に累計1000誌以上の雑誌・ムック製作に携わる。家族と行くキャンピングカーの旅をライフワークとしており、これまでに約1000泊以上のキャンプ・車中泊を経験。著書に『人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門』がある。

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WRITER PROFILE
町田厚成
町田厚成 (まちだ・あつなり)

1950年東京生まれ。 1976年よりトヨタ自動車広報誌『モーターエイジ』の編集者として活躍。自動車評論家の徳大寺有恒著 『ダンディートーク (Ⅰ・Ⅱ)』ほか各界著名人の著作の編集に携わる。 1993年『全国キャンプ場ガイド』の編集長に就任。1994年より『RV&キャンピングカーガイド(後のキャンピングカースーパーガイド)』の編集長を兼任。著書に『キャンピングカーをつくる30人の男たち』。現キャンピングカーライター。

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