ホワイトハウスがデュカトベースの新型キャンピングカーをフィールドスタイルで発表

キャンピングカー紹介
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フィアットデュカトが正規輸入販売されるようになり、各社から国内仕様のキャンピングカーが発表され始めています。

2023年2月に開催されたジャパンキャンピングカーショーでも、たくさんのモデルが展示されていました。

正規輸入販売が認められたのは国内で5社。そのなかの1つであるホワイトハウスから、フィアットデュカトベースの新しいキャンピングカーがデビューしました。

ホワイトハウスではオランダのSnoeks社と販売契約を結び、同社のパーツをつかったフィアットデュカトベースの5人乗り車両クルーキャブを展開。

このクルーキャブにキャンピング装備を架装したモデルとして、5月に開催されたフィールドスタイルの会場でお披露目されたのがクルーキャブテラス(仮称)です。

床下収納スライド式テラスで新しいキャンピングカーのレイアウトが完成

クルーキャブのテラス

クルーキャブテラスの特徴は、リアにあるテラスです。クルマをリアから眺めると、固定式モーターホームのような光景が広がっています。

リアゲートを開けた状態で車内の床下からテラスのフロアがスライド式でせり出してきて、アウトドアリビングとして利用できるのです。

折りたたまれていたフロアプレートを展開することで、車幅よりも広いスペースを確保。最後にテラスの脚と手スリ用のポールをセットすれば完成です。

展示車両には、小さなステップ用に脚立が置いてあり、ガーデンリビングへアプローチするような感覚がありました。何もない自然の中であっても、このテラスを広げることで、最上級のリラクゼーションスペースが展開できることでしょう。

クルーキャブのスライド式フロアボード

テラスに使われているスライド式フロアボードは、まず最初に、手前へ1枚を引き出し、もう一枚を右、左どちらかへ接続できるようになっています。フィールドのレイアウトに合わせて、フロアレイアウトを変えることもできるのです。

フロアボードは車内の床下に収納されるので、少し床が高く設計されているのが分かります。この約17㎝のスペースに、ボード2枚分を収納しています。

少し床が高くなったことで、車内高が制限されますが、ベース車両の室内高が高いので、大人が立っても十分なヘッドクリアランスを確保しています。

クルーキャブのテラスの作り

スライド式ではありますが、テラスの作りはしっかりとしています。対荷重は約300㎏あるというので、テーブルやイス、キャンプ道具など、たくさんのアイテムを載せても安定感があり、安心して利用できます。

フィアットデュカトベースでしっかりと5名乗車できるキャンピングカー

ベース車両はフィアットデュカトのL2H2

ベース車両はフィアットデュカトのL2H2というサイズです。横幅2050㎜、長さ5410㎜、高さ2522㎜。国内で発売されるモデルで、最もコンパクトなタイプです。

今回はコンセプトモデルが完成した段階。発売は秋頃を予定しているようです。このまま製品になるかも未定ですが、今後は他のサイズにも展開する可能性があるかもしれません。

フロント側にクルマとしてのシートがあり、リアにキャンピングカーのキャビンが接続されている状態です。全体をみると、既存バンコンと同じレイアウトともいえますが、フロントとリアの空間を完全に独立させているのが分かります。

クルーキャブの乗車スペース

そして、このクルーキャブ最大の特徴といえるのが、しっかりと5名が乗車できるスペースが確保されていることです。

セカンドシートには3名が座れる大きなシートが設置されていて、ヨーロッパの大型SUV風インテリアの雰囲気です。

このセカンドシートにはSnoeks社のパーツが使われていて、その完成度の高さから、まるで、フィアット純正のような質感を感じます。

クルーキャブのシート生地

シート生地は運転席、助手席と同じデザイン。統一感のあるインテリアが完成しています。

本来、このように純正と同じ生地を架装メーカーが入手することは困難なのですが、数々のOEMなども行っているSnoeks社だからこそ、純正と同じシート生地を使って、インテリアの雰囲気を合わせることができたそうです。

新しいコンセプトで考えられたキャンピングカー架装

クルーキャブ、リアのキャンパー部分

フロント側、セカンドシートまでの乗用車ライクなインテリアデザインとは一転して、リアのキャンパー部分は独特の雰囲気を放っています。キャンパーキャビンの床面は約183㎝×189㎝のスペースが確保されていました。

インテリアはコの字のカウンターキャビネットが設置されていて、シートなどはありません。

従来のキャンピングカーとは違って、アウトドアでのリビング利用を前提としているので、キャンプをしながら、くつろげるように設計されているのです。まるで、オーバーランダーとバンライフをミックスさせたようなスタイルが完成しています。

リアのキャンパースペースからみたテラス

リアのキャンパースペースから後方を望むと、キャブテラスが室内インテリアとスムーズにつながっているのが分かります。床のテクスチャーも同じなので、フロアが外へ伸びるように、室内空間の広がりを感じさせます。

リアに展開されるテラスの広さは約163㎝×258㎝。キャンプ用のイスやテーブルを並べても余裕。展示車両では2枚目のテラスフロアを横に接続していますが、後方に接続して、後方へ長いスペースを確保することも可能です。

クルーキャブ、間接照明

インテリアはモダンなテイストで統一されたヨーロピアンスタイル。間接照明で柔らかい光が室内を照らしています。シンプルなデザインが、さらに広さを引き出しているようにも感じられるのではないでしょうか。

クルーキャブ、リアのキャンパー部分とセカンドシートの間

リアのキャンパー部分とセカンドシートは、写真のように、壁が取り除かれて、空間がつながっています。この隔壁部分のパーツはホワイトハウスが独自に作ったそうです。

リア部分と繋げることで、キャンピングカーとしての機能性を持たせています。今回の展示車両では、この連結部分に映像を投影するスクリーンが取り付けられていて、必要な時、簡単に取り外せる仕様でした。

まだプロトタイプなので、細かい変更があるかもしれません。装備されているパーツやサイズなども若干の変更が行われることでしょう。

フィアットデュカトのクルーキャブに装備されたキャンパー設備

クルーキャブのアクリルダブルウインドー

リアのキャンバー部分をみてみると、これまでホワイトハウスが作ってきたキャンピングカーらしい、本格的な設備が整っています。

ウインドーは断熱効果の高いアクリルダブルウインドー。壁面にはしっかりと断熱処理され、快適な空間を作り出しています。

クルーキャブのキッチン

シンクは右側後方に取り付けられていて、シャワーヘッドは外側へ伸ばせる伸縮タイプ。コンパクトなシンクですが、給排水それぞれ19Lのタンクが装備されています。

アウトドアアクティビティの際、外でシャワーが利用できるのは便利。展示車両はリアゲートにシャワーヘッドハンガーが取り付けられていて、固定して利用できるようになっていました。

クルーキャブのベッドマット

ベッドが見当たりませんが、実はリアのスペース全体がベッドエリアになるのです。カウンタートップにベッドマットを敷き詰めることで、簡単にベッド展開ができます。

ベッドマットは室内奥のキャビネット内部へきれいに収納されていました。もちろん、キャンピングカーの就寝スペースとして利用できる仕様になっています。

アウトドアフィールドを感じるキャンプ体験、キャンピングカーの快適性、どちらも求める人にとって、このクルーキャブテラスは魅力的かもしれません。

クルマとしてのクオリティも高め、美しいキャンピングカーとしての上質感が追求された意欲的なキャンピングカー。

これまでになかったコンセプトによって、新しいキャンピングカースタイルがホワイトハウスから誕生したといってもいいでしょう。

WRITER PROFILE
渡辺圭史
渡辺圭史(わたなべ・けいし)

1971年東京生まれ。アウトドア好きな編集者、そして、算数が好きだったライター。アウトドア用品メーカー、出版社を経て、キャンピングカー専門誌編集長に。現在はフリーとして、いろいろなメディアにて執筆中。アウトドアをキーワードに、より楽しいライフスタイルを求めてゆるりと奮闘中。最近気になっているワードは、旅、ミニマリスト、車中泊。趣味はコンパクトな旅とモノづくり。

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