新型ビーカム採用のNTBアカツキ!380kmの実走テストでハイレベルな走りを体験してみた!

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新型ビーカム採用のNTBアカツキ!380kmの実走テストでハイレベルな走りを体験してみた!

2023年、キャンピングカー専用シャーシ「いすゞ・ビーカム」がフルモデルチェンジされた。これは、キャンピングカーフリークにとって大きなトピック!キャンピングカーのクルマとしての完成度は、ベース車両に依存する。ベース車両が良ければ、より完成度の高いキャンピングカーが作れるということだ。

国内のキャブコン市場では、長年トヨタ・カムロードがベース車両のメインストリームとなってきた。そんな中、より良いキャブコンを追求して早くからいすゞ・ビーカムを採用してきたのが、日本特種ボディー(NTB)だ。以前から走行性能や安全性能に定評があったビーカムだが、今回のフルモデルチェンジでその魅力が大幅にアップグレードされた。

日本特種ボディーのアカツキ

NTBでは、新型ビーカムをベース車両に採用したニューモデル「AKATSUKI(アカツキ)」の販売をすでに開始している。今回は、アカツキを実際に運転して走行性能をチェック!チョイ乗り程度の試乗ではなく、1日380kmを走行して気になる走りをじっくり体験してきた。新型ビーカムをベースにしたアカツキの、忖度なしの走行インプレッションをお届けする。

様々なシチュエーションでアカツキの走行性能を検証!

1.一般道

AKATSUKI(アカツキ)の運転席 AKATSUKI(アカツキ)の運転席2

運転席に乗り込んでまず感じるのは、高いアイポイントと大きなフロントガラスで、前方視界がひらけていること。シートは少し硬めでしっかりしており、座り心地もサポート性も悪くない。腰が極端に沈み込むこともなく、長距離運転も快適にこなせそうだ。大型サイドミラーの後方視認性も文句なしで、自車と白線の位置関係も一目りょう然。車幅感覚がつかみやすいので、一般道でもボディサイズを気にせずラクに運転できる。トラックベースなので、路面状況に応じてコツコツと振動は感じるが、慣れてしまえば気にならないレベル。乗り心地と運転のしやすさは、トラックベースのキャブコンとしてはかなり優れていると言えるだろう。

AKATSUKI(アカツキ)のギア

新型ビーカムのパワートレインは、最高出力150馬力・最大トルク375N・mの3ℓディーゼルターボエンジンと9速AMTアイシムの組み合わせ。先代ビーカムは2~3速のシフトチェンジでトルク抜けによる変速ショックが感じられたが、新型になって不満点は完全に払拭されている。いつ変速したのかわからないほどシフトショックが少なく、ゴー&ストップが連続する一般道でも走りは常にスムーズ。トルクフルなディーゼルエンジンと9速AMTとの相性も良く、ストレスフリーでドライブを楽しむことができた。

AKATSUKI(アカツキ)のリア

2.高速道路

AKATSUKI(アカツキ)を運転中の岩田さん

一般道で十分満足のいく走行性能を体験できたので、次は高速道路で片道150km程度のロングドライブを敢行。様々なシチュエーションで、アカツキの走りを検証した。

一般道と同様、高速道路でも動力性能に不満を感じることはない。トルクフルなディーゼルターボエンジンと9速AMTの恩恵で、合流時の加速もスムーズ。アクセルを少し踏み込むだけで周囲のクルマの流れに乗ることができ、重量級キャブコン特有のモッサリ感は皆無だ。高速走行時の安定感は非常に高く、速度100キロで巡行しても怖さを感じることはないが、一番気持ちよく走れる巡行速度は80~90キロ程度。動力性能に余裕はあるが、ゆとりを持った速度で走るのがもっとも快適だ。

コーナリングの際は当然車体が左右に傾くが、極端なロールではなく自然な挙動なので、不安を感じることなく安定して曲がれる。走行安定性とコーナリング性能は十分なレベルだが、全高の高いキャブコンの宿命で横風の影響は受けやすい。100キロ程度まで速度が上がると風の影響で安定感は減少するが、速度を80~90キロまで落とせば極端な横風の影響を感じることはなくなった。

走行中のAKATSUKI(アカツキ)

3.運転支援システム

AKATSUKI(アカツキ)の運転支援システム

新型ビーカムの特筆すべき点は、運転支援機能が充実していることだ。プリクラッシュブレーキやブラインドスポットモニターをはじめ、前車との車間距離を保持しながら加減速や発進・停止を行う「全車速車間クルーズ」、電動ステアリング制御式の「レーンキープアシスト」、ドライバーの異常を自動検知して車両を緊急停止させる「ドライバー異常時対応システム」など、安全装備の充実度はキャブコンのベース車両の中では群を抜いている。とくに、全車速車間クルーズと電動レーンキープアシストは、高速道路の長距離移動が多いキャブコンユーザーにはありがたい装備だ。

AKATSUKI(アカツキ)の運転支援システムのスイッチ

今回のテストでは高速道路の走行が長時間に及んだので、全車速車間クルーズを積極的に使用した。速度を90キロ前後に設定して走行したが、混雑していても前車との距離を保ちながら加速・減速をしてくれるので、運転は快適そのものだ。渋滞時に、前車に合わせて停車・発進まで自動で行ってくれるのもありがたい。走行距離380kmのロングランテストでありながら、運転の疲れを最小限に抑えることができたのは、全車速車間クルーズのおかげだ。

AKATSUKI(アカツキ)のハンドル

電動レーンキープアシストは、想像していた以上にアクティブにステアリング操作をサポートする。緩やかなカーブでステアリングを操作しなくても、自動でカーブを曲がっていくのには驚かされた。どんなシチュエーションでも細かく電動アシストしてくれるので、高速走行時の安心感は高い。人によって自動制御の好き嫌いが分かれるかもしれないが、電動アシストに違和感がある、自分で運転するのが好きという人は、機能をオフにすればOKだ。

4.登坂性能

AKATSUKI(アカツキ)の側面

高速道路走行時に、登坂車線がある急な上り坂を何度も通過したが、トルクがあるディーゼルエンジンは中間加速が良く、アクセル開度1/3~1/2程度で速度80~90キロをキープしながらグイグイと上っていく。重量級のキャブコンではあるが、動力性能に不満を感じることは一切なかった。

5.ワインディング走行

ワインディング走行するAKATSUKI(アカツキ)

急勾配・急カーブが連続する峠道で、アカツキの走行性能を総合的にテストした。当日は、あいにくの雨。キャブコンがもっとも苦手とするシチュエーションともいえるが、アカツキの走りはこちらが拍子抜けするほど“普通”だった。急な上り坂でもまったく問題なくスムーズに加速し、重量級とは思えないほどブレーキもよく利く。急カーブではそれなりにロールするが、自然なロール感なので怖さを感じることはない。オーバースピード気味のコーナリングも繰り返し試したが、まったく不安を感じずに走行することができた。動力性能、コーナリング性能、ブレーキ性能は、トラックベースのキャブコンとしては十分すぎるレベルだ。

AKATSUKI(アカツキ)の運転席からみた景色

直感的に使えるシンプルな内装レイアウト

AKATSUKI(アカツキ)のリビングルーム

インテリアは、センターに対面ダイネット、その後方にキッチンとマルチルーム、リアエンドに常設2段ベッドを配したファミリー仕様の王道レイアウト。レンタカー専用モデル「クレステッド アイビス」から受け継がれた、「初めてでも使いやすいインテリア」がコンセプトとなっている。

AKATSUKI(アカツキ)のクーラー

オプションで、家庭用エアコンの装着も可能。標準装備のサブバッテリーは、24V/200Ah(12V105A×4)の鉛ディープサイクルバッテリーだが、10kWhのリチウムイオンバッテリーと1000Wのソーラーパネルもオプション設定されている。

AKATSUKI(アカツキ)のバンクベッド

バンクベッドは、大人3名が就寝可能な1800mm×1740mmの広々サイズ。ダイネットベッド、リア2段ベッドと合わせて大人7名分の就寝スペースを確保できる。

AKATSUKI(アカツキ)のキッチン

ガラス蓋付きシンクを装備した使い勝手の良いキッチン。後部には、常設2段ベッドが装備されている。

AKATSUKI(アカツキ)の冷蔵庫

標準装備の88L冷蔵庫は、車外からでもアクセスしやすいエントランス付近に設置。

AKATSUKI(アカツキ)

様々なシチュエーションで380kmを走破した今回の実走テストで、新型ビーカムをベースにしたアカツキの走行性能と安全性の高さを肌で感じることができた。トータルバランスに優れたその走りは、素晴らしいの一言!新型ビーカムが持つ優れた走行性能&先進の運転支援システムと、使いやすい居住空間&充実の快適装備……。あらゆる性能をハイレベルで実現したNTBの新型キャブコン・アカツキに、一切の死角はない。

走行中のAKATSUKI(アカツキ)リア

PHOTO/佐藤亮太
取材協力 日本特種ボディー

AKATSUKI(アカツキ)諸元

ベース車両
キャンピングカー専用シャーシ いすゞ新型びぃーかむ
エンジン
2WD
車体サイズ
全長4,990mm/全幅1,990mm/全高3,050mm
定員
乗車定員7人/就寝定員7人
WRITER PROFILE
岩田一成
岩田一成(いわた・かずなり)

1971年東京生まれ。キャンピングカーライフ研究家/キャンピングカーフォトライター。日本大学芸術学部卒業後、8年の出版社勤務を経て、2003年に独立。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に累計1000誌以上の雑誌・ムック製作に携わる。家族と行くキャンピングカーの旅をライフワークとしており、これまでに約1000泊以上のキャンプ・車中泊を経験。著書に『人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門』がある。

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