輸入キャンピングカー(ヨーロッパ車)

キャンピングカー紹介
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キャンピングカーの“本場”といえばやはり欧米。なかでもヨーロッパ製のキャンピングカーは日本にも多数入ってくるようになってきた。昨年EU圏で販売されたキャンピングカー・キャンピングトレーラーの生産台数は16万2393台。日本の昨年の年間出荷台数が約6000台といわれているから、市場規模は20倍以上! 文字通り、けた違いといえるだろう。
最近は輸入量も増えてきた欧米のキャンピングカー。今回は特に「ヨーロッパ製」にフォーカスしてお話しよう。

一日の長がある欧米のキャンピングカー

欧米のキャンピングカーの歴史は古い。ヨーロッパもアメリカもほぼ同時期、1920年代後半から30年代前半に生産をスタートさせている。ヨーロッパには創立60年以上のビルダーが何軒もあり、最古といわれているのがDeathleffs社だ。
この長い年月の間には大恐慌があったり、戦争があったり。それでも大きなマーケットとして、産業として存続している陰には、各社の切磋琢磨がある。
交通インフラの変遷、EUの誕生などに翻弄されながら、小型のタイプから超大型モデルまで、多彩な商品を提案し続けている。
デュッセルドルフのショーを見ていても、市場規模を示すデータを調べても、間違いなく巨大産業である。専用の冷暖房設備や水回りなど、周辺機器の専門メーカーも多数あるし、日本の国産キャンピングカーにも、ドアの金具やキッチンのパーツにこうした部品が使われていることも多い。
長年キャンピングカーを研究しつづけているだけあって、最適なパーツ、最適なレイアウト…その商品は非常に洗練されているといっていい。
「高い」「壊れる」「アフターサービスが不安」「使い勝手がわからない」…
輸入キャンピングカーを敬遠する理由はいくつもあるだろう。だが、本当にそうなのか?「輸入車だから」というだけで敬遠するのはあまりにもったいないのではないだろうか。

「洗練されたデザイン」と「動力性能」がウリ!

近年、日本への市場拡大が著しいのが、ヨーロッパ製のキャンピングカーだ。以前から輸入されている老舗ブランドに加え、新興ブランドも続々登場。生産国だけを見てもドイツ、イタリア、スペイン、スロベニアと様々だ。
具体的に挙げてみると、
《おなじみの老舗ブランド》
デスレフ(ドイツ)
ハイマー(ドイツ)
バーストナー(ドイツ)
ホビー(ドイツ)
クナウス(ドイツ)
トリガノ(フランス)
アドリア(スロベニア)
そのほか、一部、イタリアやイギリスの車両も販売されていた。
《近年登場しているブランド》
サンライト(ドイツ)
サンリビング(スロベニア)
ローラーチーム(イタリア) エース(スペイン)
などが出てきている。
さて、従来はドイツのメーカーの独壇場。最近は他国が増えてきた、というのが大まかなトレンドだが、ここで面白いのがベース車両だ。ビルダーの出身国こそさまざまだが、上記のほとんどのビルダーで採用しているベース車両は、イタリア・フィアット社のデュカトなのだ。

この傾向は年々強まっていて、全ヨーロッパのキャンピングカーマーケットに占めるシェアは7割に上っているという。
なぜそれほどまでにシェアが伸ばせたのか。
今一度、フィアットデュカトの人気の秘密を整理してみよう。

  • 他メーカーの車種と比べて安価である。
  • 前輪駆動(FF)である
     →コクピット以降のシャシーに自由度が高いため、架装がしやすい。
  • 車両重量に合わせてエンジンのバリエーションが豊富。
     →全てターボディーゼルエンジン、2300ccと3000ccがあり、さらに同排気量で出力が異なるエンジンがある。

大きくこの3つが、圧倒的シェアの理由なのだ。

もちろんデメリットもある。
各社同じ車両をベースに採用することで、サイズもレイアウトも「似たり寄ったり」になりがちだということだ。それではどこで、他社と差別化するか。
それは内容的には「ディティールで勝負」であり、その先は「価格競争」にもつながってゆく。
こうした最近の事情を踏まえて整理してみよう。

ヨーロッパ製キャンピングカーの魅力

洗練されたデザイン

ヨーロッパでは、キャンピングカーは家庭生活の延長。おのずと「キャンピングカー選びの主導権」を握るのは『奥様』ということになる。女性は特にインテリアのデザインセンスにこだわる傾向があるため、インテリアデザイナーに女性を起用するなどして、デザインに力を入れているビルダーも多い。実際、日本でヨーロッパ車に乗っているユーザーに聞いても「内装デザインに奥さんが一目惚れした」というのは、よく聞く話なのだ。

コンパクトでシンプル。だけどフル装備

キャンピングカー先進国なので、それに向けた「インフラ」は整っている。いわゆるキャンプ場ももちろんあるが、主だった観光地の一角には電源付きで滞在できるサイトで、汚水処理や給水・給油ができたり、コインランドリーやコインシャワーを併設した設備(キャラバンパークなどと呼ばれる)も多い。しかしこれらはあくまでも、キャンピングカーでの生活を「バックアップ」するためのもの。そのため、バンコンでもコンパクトサイズのトレーラーでも、キッチンやトイレはしっかりしたものを完備している。ただ、ここでアメリカ製と発想が違うのは「家じゃないんだから、多少の簡易さはあたりまえ」と考えること。デザインはシンプル。機能性は必要にして十分。それらをコンパクトにまとめ、かつ、デザインよく。それがヨーロッパキャンピングカーの装備の真骨頂だ。

車として「低燃費」で「高性能」

ヨーロッパでは一般道でも車両の平均速度は高い。特にEUが設立してからは国境越えもどんどん楽になり、長距離を走る傾向にも拍車がかかっている。そのためエンジンはディーゼルが主流。ディーゼルというと「燃費はいいけど走らない」というイメージがあるかもしれないが、ヨーロッパのディーゼルは優秀で、非常に高い走行安定性が特徴だ。日本国内でも長距離を走りたいキャンピングカーユーザーにとっては、車両としての性能の高さは大きなメリットといえるだろう。

使い勝手のよいフルフラット

日本でベース車両となるハイエースなどの商用車は、エンジンの上に運転席を置くキャブオーバータイプだが、ヨーロッパのベース車両はよほど大型のものを除けば乗用車のように運転席前にエンジンがあるボンネットタイプだ。ボンネットタイプは、運転席と居室部分に段差がなく、コクピットから居室への移動もスムーズ。運転席と助手席を回転させてダイネットに利用するなど、スペースを効率よく無駄なく使えるのもポイントが高い。

ヨーロッパ製キャンピングカーの弱点

バンコンでも、少々大柄

車幅はバンコンで約2m、キャブコンで2.1~2.3m。これは国産キャブコンとさほど変わらない数字だが、長さ方向には大きな車両が多い。2人旅仕様のバンコンでも6mクラス、ファミリーユースとなると7mクラスも少なくない。もちろんその分、車内空間はゆったりだが、駐車場に少々苦労することも。

日本式とは装備の考え方が違う

日本のキャンピングカーは「家庭用エアコンをバッテリーで駆動して熱帯夜でも快適に過ごせる」など「電気などの支援設備が期待できない場所で、いかに快適に寝泊まりできるか」を考えて作られていることが多い。実際、日本ではまだヨーロッパほどのインフラが整備されていないからだ。その点、ヨーロッパでは前述のとおりインフラも万全。ちょっと走れば給油・給水。キャンプ場以外にも電源つきで停泊できる場所が多いから、家庭用エアコンが回せるほどのバッテリーは搭載していない。社会インフラに応じた装備なので、日本で快適に過ごすには、オプションを考える必要がある場合もあるだろう。

まとめ

いかがだろうか。それぞれにメリット・デメリットがあるのは乗用車と同じ。だがキャンピングカーは家であり、乗用車以上に生活スタイルに密着したものともいえる。何しろ「生活を積み込んで走る」のだから乗用車以上に悩ましいかもしれない。日本よりもはるかに長い歴史を持つ欧米式のキャンピングカーには、長年の経験に裏付けられた魅力があるのも事実なのだ。
たとえば、そのままの外車には下駄箱がない。欧米人はキャンピングカーの中でも靴を脱がないので、げた箱は不要なのだ。その点、国産キャンピングカーはありとあらゆる状況を想定して、隅々まで配慮してある。どちらが自分には向いているのか、そんなところも、判断基準になりそうだ。自分で住みやすいように工夫しようという人もいれば、「郷に入っては郷に従え」で、ルールのほうを変えてみる人も。いっそのこと「車内を土足OKにしてみる」なんていう対応も、また楽しい。

そして最後にもうひとつ。
「外車は壊れやすい」「外車は高い」。そんなイメージも今は昔。
確かに修理のために部品を取り寄せたりすると、送料もかかってパーツが高価になる場合もある。だが、「外車は壊れる」という発想には、大いなる誤解が含まれている。
例えば「ブレーキローター」。日本車に乗っている人にとっては「滅多に交換しないバーツ」だろう。だが、欧米ではブレーキローター=消耗品という扱いである。このように、国産車と輸入車では「常識」が違う場合もある。
ブレーキローターの交換を
「消耗品の交換だ」と考えるか、
「故障した!これだから外車は…」と考えるか。
外車の魅力は深く掘り下げれば掘り下げるほど、輝きを増す。
「外車だから」と無条件に敬遠するのはもったいない!ぜひ、じっくり研究してみてほしい。

WRITER PROFILE
渡部竜生
渡部竜生(わたなべ・たつお)

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫7匹とヨメさんひとり

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