ディーラー発のハイエースキャンパー「KT CRUISER」がモビリティライフを切り開く

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ディーラー発のハイエースキャンパー「KT CRUISER」がモビリティライフを切り開く

一般的なクルマを販売しているディーラーで、キャンピングカーの姿を目にすることがあります。特に最近ではトヨタ系列のディーラーに多い印象です。

各販売店でオリジナルのキャンピングカーをラインアップしているケースもあって、バリエーション豊富なクルマが展開されています。

そんななか、鹿児島トヨタから新しいキャンピングカーKT CRUISER(KTクルーザー)が誕生しました。今回はこのモデルに注目してみたいと思います。

鹿児島トヨタとキャンパー鹿児島がタッグを組む

鹿児島トヨタ×キャンパー鹿児島
鹿児島トヨタ × キャンパー鹿児島

KT CRUISER鹿児島トヨタのキャンピングカーですが、その製造はキャンパー鹿児島が行っています。地元企業がタッグを組んで、今回のモデルが誕生したのです。

そもそも、2つの会社はつながりがなかったのですが、鹿児島トヨタからのアプローチで、今回の協力関係が実現することになったといいます。

キャンパー鹿児島の川﨑康一郎代表取締役は「地元の大企業でもある鹿児島トヨタさんから声をかけてもらい驚きました」と当時の様子を振り返っています。

鹿児島トヨタにとっても新たなディーラーの姿を模索している時に、キャンパー鹿児島との出合いがあったといいます。

鹿児島トヨタの諏訪純専務取締役は、

「ディーラーは完成車を売っているだけでなく、新しいことに挑戦しなければいけないと考えていました。そこで、クルマを使った幸せを広げるための事業展開を目指したのです。そして、私たちが注目したのがキャンピングカーでした」

と当時の思いを語ってくれました。

「社員の思いが詰まったキャンピングカーを作ってほしい」

KT CRUISERのリビングモード
KT CRUISERのリビングモード

地元では有名な高級な車種を取り扱ってきた鹿児島トヨタとキャンピングカービルダーとしての高い技術力を誇るキャンパー鹿児島とのキャンピングカー作りは独特の手法が取られました。

ディーラーで販売するキャンピングカーといえば、ビルダーが提案したクルマを扱うイメージですが、KT CRUISERは鹿児島トヨタがコンセプトから仕様までを決めています。

キャンパー鹿児島の川﨑代表から「鹿児島トヨタの社員の方々の思いが詰まったキャンピングカーを作ってほしい」という思いから、あえてビルダーからのモデル提供は行わなかったそうです。

鹿児島トヨタではキャンピングカーを設計したことがなかったのですが、自分たちで考えたクルマを形にすることで、特徴的なクルマを作ることができたともいいます。

基本的なコンセプトは、これまで扱ってきた一般乗用車とキャンピングカーの間のセグメントを埋めるクルマでした。さらに鹿児島という特徴も反映されています。

「鹿児島は火山灰対策でカーポートを設置しているご家庭が多いので、クルマの高さを抑えた、カーポートに入れやすいサイズ感が大切でした」ということで、ベースはハイエースの標準ボディが採用されています。そして、そのコンパクトなボディに必要と思われる装備を詰め込んだのです。

鹿児島トヨタでは社員へアンケートを行って、キャンピングカーに何があったらいいのかなどを決めていきました。その案をキャンパー鹿児島に送り、技術的な面などを反映して、最終的なレイアウトが作り出されていったのです。

これまでの乗用車と違って、キャンピングカーは色々な展開が可能なので、鹿児島トヨタでは仕様を決めるのに苦労したともいいます。

レイアウトの細かい部分などは、女性社員の意見を取り入れることで解決することも多く、これまでのクルマ作りとは違ったアプローチが新鮮だったともいいます。

コンパクトなハイエースのキャンピングカーに標準でエアコンを装備

KT CRUISERの車内後部
サブバッテリーで稼働するエアコンを標準装備

室内の装備で特徴的なのは12Vで稼働するエアコンが取り付けられたこと、といっていいでしょう。標準装備されるサブバッテリーでしっかりと稼働してくれます。

コンパクトなボディでしたが、エアコンは必須でした。「鹿児島は暑いですから、エアコンは装備したかった」といいます。

KT CRUISERのセカンドシートドライブモード
セカンドシートのドライブモード

セカンドシートにREVOシートを装備して、リアサイドにコンパクトなギャレーを設置しました。シャワーヘッドが伸びて、リアゲートから外でもシャワーが使えるようになっています。

KT CRUISERのシンク
KT CRUISERのシンクとシャワー

サードシートはセカンドシートと一緒にリビングレイアウトにしたり、サイドベンチスタイルで大人数でも利用できるようなレイアウトも可能です。これは、レジャーだけでなく、オフィスとしても利用できるように想定された、シートアレンジでした。

KT CRUISERのオフィスモード
オフィス利用にも対応したレイアウト

鹿児島トヨタではKT CRUISERを色々な用途で使ってほしいと考えています。例えば

  • コロナ対策をしなければいけない場合
  • レジャー以外にデスクワークに利用する
  • 自宅の新たな部屋として追加する
  • 趣味の部屋として利用する
  • 車内での商談
  • 自治体の活動
  • 災害時の給電

などを想定したそうです。それに合わせて装備・レイアウトが整えられています。

KT CRUISERのベッド展開
KT CRUISERのベッド展開

実際にクルマを展示してみると、これまで鹿児島トヨタの顧客でもあった法人からも問い合わせも多く、「お客さんとの商談の場所に利用したい」など、ビジネス用途での展開もあるようです。

生まれ変わる鹿児島トヨタとキャンパー鹿児島の方向性が一致

専用の家具を設置したKT CRUISER
専用の家具を設置したKT CRUISER

鹿児島トヨタの諏訪専務は

「鹿児島トヨタは生まれ変わらなければならないと感じていました。店舗も建て替えるタイミングでしたので、これまでのショールームではなく、モビリティライフの情報を発信する場所にしたかったのです。クルマを置いておくだけではなく、ライフスタイルを提案したり、災害時なども利用できる多目的な情報を発信できばと考えていました」

といいます。そんな思いを持って、キャンピングカービルダーのキャンパー鹿児島にアプローチしたのですが、いろいろな話をしていくうちに、キャンパー鹿児島の社会的な貢献にも共感するようになったそうです。

「最初は飛び込みで話をさせていただいたのですが、何回も打ち合わせをして話をしていると、キャンパー鹿児島の川﨑代表がされているJCTAの提案するカーツーリズムにも興味を持ちました。まさに鹿児島トヨタが行おうとしているモビリティライフの情報発信と同じ考えでした」とも語っていました。

キャンパー鹿児島サイドでも今回のタッグが会社にとっても大きなプラスになると感じているといいます。

「まさか鹿児島トヨタさんと一緒にお仕事をするとは考えていませんでした。そのブランドの凄さ、強さは素晴らしく、私たちも製作などにもっと力を入れなければと気持ちを引き締める機会になりました。防災やライフワークなど、キャンピングカーを色々なニーズに対応できる形にできるキャンピングカー作りに努めます」とキャンパー鹿児島の川﨑代表はいいます。

鹿児島トヨタは20店舗を展開する鹿児島県の大型トヨタディーラー。そして、地元薩摩でキャンピングカーを作り続けてきたキャンパー鹿児島。この2社が協力することで、地元鹿児島から大きなムーブメントが起きようとしています。

2社の代表が声を揃えて「これからが楽しみ」というように、楽しいモビリティライフが広がっていきそうな、ワクワクを感じさせる、新しいコンセプトのKT CRUISERの誕生。今後の展開が楽しみです。

KT CRUISER 諸元

ベース車両
ハイエースバン
サイズ
全長4,695mm/全幅1,695mm/全高1,980mm
定員
乗車定員6名/就寝定員2名
標準装備
専用家具、ベッドマット、フロア、断熱処理、天井板張り、LEDライト4個、テーブル、REVOシート、車載用クーラー、USB電源、インバーター、シンク・シャワーセット、走行充電、遮光カーテン、115Ahサブバッテリー×2、バッテリーモニター
価格
5,137,510円~
お問い合せ先
鹿児島トヨタ 未来事業研究企画室 担当
冨田(とみた)/當山(とうやま) 099-223-6170
【営業時間 9:30~18:00/月曜・第2火曜および8/13~16は店休日となります】
KT CRUISERホームページ
WRITER PROFILE
渡辺圭史
渡辺圭史(わたなべ・けいし)

1971年東京生まれ。アウトドア好きな編集者、そして、算数が好きだったライター。アウトドア用品メーカー、出版社を経て、キャンピングカー専門誌編集長に。現在はフリーとして、いろいろなメディアにて執筆中。アウトドアをキーワードに、より楽しいライフスタイルを求めてゆるりと奮闘中。最近気になっているワードは、旅、ミニマリスト、車中泊。趣味はコンパクトな旅とモノづくり。

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