キャンピングカーで4000kmを走った「ぐっさん」こと山口智充氏インタビュー

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ジャパンキャンピングカーショー2018でキャンピングカーアワードを受賞した、ぐっさんこと山口智充さん。先日、東京都江東区「イーノの森DogGarden」にて、アワードの副賞として山口さんに1年間貸与されていた、ハイエースベースのキャブコン「セレンゲティ」の返却式が行われた。

もともとアウトドアやキャンピングカーに興味津々だった山口さんが、キャンピングカーで走った距離は4000km。キャンピングカーをどのように活用したのか、キャンピングカーを乗ってみてどんな感想を持ったのか。山口さんの1年間のキャンピングカーライフについて、お話をうかがった。

1年間使ってみて

セレンゲティの返却式

昨年6月から実際にキャンピングカーを使用して、いろいろな発見があったかと思います。まず、この1年間どんな使い方をしてきたのか聞かせてください。

キャンプというものに縛られると、準備もあるし構えてしまうところもありますよね。僕はとにかく「キャンピングカーに乗りたい」という思いが強かったので、まず近所からでも積極的にキャンピングカーを乗り始ました。

まだ借りて間もない頃、「パンを買いに行こう!」とキャンピングカーで出かけたこともありますよ(笑)。たまたまキャンピングカーを見たいという友人家族がいたので、千葉にある有名なパン屋さんで待ち合わせをして、いつもはお店で買って家で食べるパンを駐車場に止めたキャンピングカーの中で食べました。それだけで、いつもより美味しく感じるし、ワクワクしましたね。友人家族も、初めてキャンピングカーを見て、すごく喜んでました。

キャンピングカーとぐっさん1

オン・オフ共に活躍するキャンピングカー

キャンピングカーとぐっさん2

キャンピングカーがあると、近場の移動や買い物も遊びに変わりますね。家族とのレジャーや仕事では、キャンピングカーの利便性はいかがでしたか?

家族とは、九十九里や館山など房総の海に遊びに行きました。キャンピングカーの室内って、家と同じように広い空間じゃないですか。だから、車内で立って着替えができるんですよ。海で遊ぶ前と遊んだ後に、更衣室代わりになるのが、すごく重宝しました。

ほかには、軽井沢でロケがあったときに、撮影のスケジュールで空き時間があるのがわかっていたので「これはキャンピングカーで行くしかない!」、と(笑)。それで、軽井沢までキャンピングカーで行って、早めに着いてカフェに入ったり、周辺をグルグル走って散策したり、駐車場にクルマを止めて車内でノンビリしたりしました。

1人で2泊3日くらいのロケに行く時は、キャンピングカーの居住スペースに撮影で使う衣装や荷物を置いて楽屋代わりにしていました。マルチルームにトイレが付いていなかったので、広い空間が荷物入れやクローゼットとして重宝しましたね。

短い期間でしたが、キャンピングカーライフを存分に満喫しましたね。通常クルマは移動が軸ですが、キャンピングカーは止まった後もクルマとの付き合いが続くので、今までのクルマよりも濃縮された付き合いだったのでは?

もともとキャンピングカーにはそうしたイメージを持っていましたけど、実際に乗ってみて「そこにまた戻れる感」というか、家の要素というか、それを改めて感じましたね。

普通のクルマは目的地までの移動手段ですよね。でも、キャンピングカーは、乗っている間も家のリビングがそのまま移動している感じ。家族でキャンピングカーに乗ってドライブしているときに、運転しながらルームミラーで後ろを見ると、家内と娘がすごく楽しそうにしているんです。普通のクルマだったら、とくに後ろの人は「乗せられてる感」がありますけど、キャンピングカーの場合は、移動時でも「今この空間を楽しめてるな」っていうことをすごく感じました。
高速道路のサービスエリアでも、いつもだったら店の中で食べる食事を、あえてテイクアウトしてキャンピングカーの中で食べたり。そういうちょっとしたことが、とても楽しかったですね。

キャンピングカーの印象は?

山口智充氏インタビュー

ファミリーでキャンピングカーを楽しんでいる雰囲気が伝わってきます。乗る前と乗った後では、ご家族のキャンピングカーに対する印象も変わりましたか?

実際にキャンピングカーを活用して、とにかくみんな喜んでましたよ。僕よりも家内の方が「キャンピングカー乗ろうよ」と言ってくれるほどで。キャンピングカーは近所の駐車場に止めていて、よくその前を通るんですけど、しばらく乗る機会がないと止まっている姿が寂しそうに見えるんですよ(笑)。
そうすると、家内が「乗ってあげようよ」と言ってくれたりして。この間のゴールデンウイークも、「キャンピングカーを返却する前に家族で思い出を作ろう」という家内の提案で、家族と一緒に1泊のクルマ旅をしてきました。ゴールデンウイーク中に2日間の連休があったので、RVパークを予約して泊まりに行きました。

どこのRVパークを訪問したんですか?

山梨の南アルプス市にある「RVパークやまなみの湯」です。高速道路があまり混んでいなかったので、のんびりとサービスエリアで休憩したりしながら、夕方の18時くらいにRVパークに到着しました。併設した温泉施設でお風呂に入って夕飯を食べて、あとはキャンピングカーの車内でノンビリしたり、周りの公園で遊んだり……。そんな風にゆったりと過ごす時間が、何だかとても幸せでしたね。
RVパークなのでほかにキャンピングカーの方もいますけど、チェックインの際に電源コンセントはいらないと言ったら、スタッフの方が「どこでも好きなところに止めてください」と言って頂いたんですよ。おかげで、静かな場所にクルマを止められたのもよかったです。
お風呂から帰ってきて、誰がどこに寝るかを決めたりするのも新鮮で、「今キャンピングカーで旅をしているんだなぁ」と実感しました。

非日常を味わえるのもキャンピングカーの魅力ですね。結局、寝場所はどうやって決めたんですか?

まず、子供と家内に好きな場所を選ばせて、僕は余ったところで(笑)。日ごろの感謝を込めて家内はゆったりしたダイネットベッド、バンクベッドは娘、次男はリアの下段ベッド、僕はリアの上段ベッドで寝ました。電気を消してからも、「もう寝た?」とか声をかけあったりして、久々の修学旅行気分でワクワクしましたね。
朝は何となくみんなで起きだして、コンビニで買い出しをして、キャンピングカーの室内で朝ご飯。そんな自由気ままな雰囲気もよかったです。たった1泊でしたけど、キャンピングカーで出かけて、キャンピングカーに泊まれたということは、子供たちにとっても一生の思い出になったと思います。

セレンゲティの感想は?

セレンゲティ

ハイエースベースのキャブコン「セレンゲティ」と1年付き合ってみて、どんな感想を持ちましたか?

お世辞ではなく、本当に素晴らしいクルマでした。キャンピングカーはもっと重いイメージでしたけど、乗りだしたらキャンピングカーに乗っていることを忘れるくらい、すごく軽快に走る。運転もしやすいし、ショックアブソーバーは純正のままとのことでしたけど、振動が心地いい。後ろに乗っていた家族からも、乗り心地がいいと好評でした。

もちろん、クルマを止めてからの使い勝手は言うことないです。何より、立って着替えられるのが素晴らしい。僕らの仕事は着替えがあったりするので、現場車としても最高でしたね。ドラマとか役者1本でやってる人なら、中で立って着替えてメイクもできるし、休憩もできるし、めちゃくちゃ便利。「何でみんな乗らないんだろう」って思いますよ(笑)。

荷物はいっぱい載るし、人も普通に乗れるし、泊まれるし、普通の駐車場にも止められる。セレンゲティは、すべての要素を兼ねそなえているクルマ。自分に照らし合わせて言うと、僕自身もマルチにやらせていただいてるんで、どうしても自分を構成する容量が重くなるんですよね。持っている要素が多ければいろいろなことに対応できるので、僕はスポーツカーではなく、キャンピングカーでありたい。そんな自分でいたいと思っています。だから、キャンピングカーと自分はよく似てるんですよ(笑)。

実際に使った山口さんから見て、キャンピングカーのオススメポイントを教えてください。

業界の人なら、楽屋になるということが大きいですね。中で立って着替えられる。創作できる。役者、ミュージシャン、モノを書く仕事など、創作をする人にとって、自分の基地を持てるということは大きな魅力です。
それと、登場したときのインパクトはやっぱり面白いですよね(笑)。何度かキャンピングカーでロケ場所に行って経験しましたけど、みんなが「スゴイ!」とクルマにワーッと集まってくる。これはクルマ好きとしては、たまらない瞬間ですね。

あとは、家族で普通のクルマと違う思い出が作れることが大きいです。子供であっても女性であっても、キャンピングカーにまったく興味がない人って、ほとんどいないと思うんですよ。男にとっても「1度は乗ってみたい」というロマンが詰まってるし。誰しもが種火は持っていて、あとはちょっとしたきっかけだけだと思います。

キャンピングカーに興味がある人は、レンタカーでもいいから実際に体験してみるのが一番だと思いますよ。僕もそうでしたけど、「こんなの運転できない」と大層に考えている人が多いんですよね。でも運転してみると、そこまで大きくないし、意外と小回りも利くし、想像していたよりも乗りやすい。あとはやっぱり実用性。とくにアウトドアをフィールドにしている人は、キャンピングカーをベース基地にすることで、趣味や楽しみの幅が広がると思います。

僕自身、仕事で都内の移動も多いし、キャンピングカーですべてをこなすのは現実的に難しいですけど、もしキャンピングカー1台で仕事もこなせる環境にあったら、迷わずキャンピングカーを愛車に選びますね。

地球が寝床

セレンゲティ車内とぐっさん

返却式でダイネットテーブルに詩の一節を書き記していましたが、そこに込められた山口さんの思いを聞かせてください。

キャンピングカーを1年お借りして、そこで経験した思いを文章に込めました。

「地球が寝床」という言葉は、車内にベッドがあってどこでも寝られるキャンピングカーの素晴らしさを表しています。地球サイズで行ったら、日本全国にキャンピングカーが止められる場所はいっぱいありますよね。「じゃ、地球が全部寝床じゃん」、というイメージ。知らない街に行ってそこで寝るというダイナミックさと、その時に見上げた星空が屋根になるという爽快感。地球というものをフィールドにして遊べる「キャンピングカーという乗り物」に対する、自分の思いが込められています。

山口智充氏の詩「地球が寝床」

実はあの文章は、自分の中で何となくできている歌の中のワンフレーズなんです。今回キャンピングカーを返却したから僕のキャンピングカー人生が終わるわけではなく、キャンピングカーの世界観というものを今後の自分に役立てていきたい。だから、1年間のキャンピングカーの旅からインスパイアされた「キャンピングカーのテーマソング」を、いつか必ず完成させたいと思っています。

ぐっさんと岩田一成氏
山口智充氏とキャンピングカーライター岩田一成氏
WRITER PROFILE
岩田一成
岩田一成(いわた・かずなり)

1971年東京生まれ。キャンピングカーライフ研究家/キャンピングカーフォトライター。日本大学芸術学部卒業後、8年の出版社勤務を経て、2003年に独立。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に累計1000誌以上の雑誌・ムック製作に携わる。家族と行くキャンピングカーの旅をライフワークとしており、これまでに約1000泊以上のキャンプ・車中泊を経験。著書に『人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門』がある。

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