キャンピングカーは災害時の利用でも期待されますが、レンタルキャンピングカーの会社とお寺、そして食品会社という異色の顔ぶれが協定を結び、有事の際、即時に災害ネットワーク網を敷き支援が行えるように動き始めました。
災害時キャンピングカーの活躍
今回の協定にキャンピングカーの立場から参加する株式会社レヴォレーター(CAMP IN CARとしてレンタルを全国展開)は熊本地震、西日本豪雨と2度の災害にいち早く対応し、キャンピングカー、トレーラーなどの派遣や支援物資の運搬を経験しています。代表の板谷俊明氏にキャンピングカーが活躍できる場面について聞きました。
― どんな車種を被災地へ運びましたか
熊本地震のときは、キャンピングカーとトレーラーを出し、トレーラーには家を失った方にしばらく住んでいただきました。 西日本豪雨では、キャンピングカーに加え、トイレ・シャワーカーや水陸両用のトレーラーも持って行きました。 熊本での経験から現地で何が必要かもわかって来ました。 お年寄りがキャンピングカーへ乗り込むにはステップが低い方が良いといった経験もしましたので、西日本豪雨ではステップの低いキャンピングカーで対応しました。
― キャンピングカーの活躍はいかがでしたか
まずキャンピングカーには大量の支援物資が積めること。ご協力いただいた皆さんの支援物資を満載して埼玉の拠点から被災地へ向かいました。
現地ではキャンピングカーが一時的な避難場所になることもありますが、実はボランティアで入って来る人たちの宿泊、休憩所としての役割も大きいです。
これがあるとボランティアは現地の人たちに気を使ってもらうことなく宿泊施設を確保出来るので、支援活動に専念出来ます
。トイレ・シャワーカーも同じようにボランティアの人たちにも使ってもらい活躍しました。
災害時緊急ネットワーク
今回の協定は真言宗豊山派仏教青年会(三十二代会長 林 映寿氏)と、石井食品株式会社(代表取締役社長 石井 智康氏)、株式会社レヴォレーターの三者で交わされています。
大規模災害時に石井食品(株)の非常食やアレルギー対応食品を被災地近くにある真言宗豊山派の寺院(全国に約3,000院)へ運び、全国に拠点を持つ(株)レヴォレーターの管理するキャンピングカーで支援活動を展開します。
被災地近くのお寺という場所がしっかり確保されることで、支援活動の基地として活動しやすくなります。先般の西日本豪雨では既に三者は協力して支援活動に当たっています。
キャンピングカーにも常備したいpotayu
石井食品(株)が作った無添加調理の玄米おかゆ「potayu(ぽたーゆ)」。熊本地震の被災地でのヒアリングを重ねて作られた食品です。「野菜を食べることができない」、「普段食べなれているものを食べたい」、「カロリーの高いカップ麺ばかりの食事で太ってしまった」などの声に配慮しており、普段も非常時も食べたい食事として作られています。そのままでも食べられるし、暖めても美味しくなるpotayuはキャンピングカーに常備しておいても便利です。
平時でのお寺とキャンピングカー
有事の活躍が期待されるネットワークですが、平時もそれぞれの特徴を活かすことを検討しています。
その一つとして、仏教青年会では普段から全国各地の同派寺院へ人が集まるきっかけ作りを行っており、今後キャンピングカーがお寺で車中泊出来るような受け入れ態勢も考えています。普段の日はお寺でキャンピングカーの車中泊が出来ればキャンピングカーの行動範囲も格段に広がりそうです。