災害時、本当に必要なものを考えて作った防災最強キャンピングカー

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災害時、本当に必要なものを考えて作った防災最強キャンピングカー

いざ災害が発生したら、どのようにこれまでの生活を維持すべきか、普段から意識する必要があります。ライフラインが遮断され、電気、ガス、水道が使えなくなった時、パニックを起こすことなく、二次災害も防がなくてはならないのです。

また、自分たちの安全を確保することは先決ですが、地域コミュニティー全体の安全確保も大切です。そんな時、公共機関からのサポートに頼らなければいけない部分も出てくるでしょう。その市民の不安を解消するために、公共団体でもいろいろな策を講じています。

災害時に地域をサポートする際、キャンピングカーの有益性を感じて、キャンピングカービルダーとの協力を明確にする市町村も出てきました。そして、その災害用として利用できるキャンピングカーも登場しているのです。

草加市が日本カーツーリズム推進協会と災害協定を締結

災害協定
左からJCTA副会長藤野氏、草加市長山川氏、埼玉縣信用金庫執行役員小野沢氏

2023年8月21日、埼玉県草加市一般社団法人日本カーツーリズム推進協会(JCTA)埼玉縣信用金庫の三者が「災害時におけるレンタルキャンピングカー等の提供に関する協定」を締結しました。

日本カーツーリズム推進協会(JCTA)はクルマと旅を中心に、ライフスタイルと連携して「クルマと旅の新しい楽しみ方」を提案しています。いろいろな企業が参加するなか、キャンピングカービルダーも名を連ね、キャンピングカーの新しい使い方も提案しているのが特徴です。

草加市は水害の影響も懸念されるエリアで、街としての防災対策に積極的に取り組んでいる自治体でした。このような状況を鑑みて、埼玉縣信用金庫の協力によって3者が一体となり、災害協定の取り組みが考えられたそうです。

協定は、災害が発生した時、協会の会員が保有するレンタルキャンピングカーを優先的に提供するという内容でした。また、草加市による防災訓練などにも、協会が積極的に参加することも明記され、今後は三者が一体となって、協力していく体制が取られることになりました。

キャンピングカーは、スタッフたちの宿泊設備として使われることが想定されているようです。被災地で活動するスタッフが宿泊・休憩したり、現場で指揮を取る本部職員が集まり、対策本部としての活用も期待されています。

災害時に必要なものを装備する「エクスペディション イーグルⅡサテライト」

エクスペディション・イーブルⅡ・サテライトの車内

災害協定締結式のなかで、山川草加市長は「応援スタッフの宿泊」について懸念していました。協力の手を差し伸べてくれる自治体からスタッフがやってきた時、草加市に対応できる数の宿泊施設がないともいいます。このような背景もあって、今回の協定締結へと繋がったのでしょう。

スタッフの拠点になるキャンピングカー。まさに、その使用方法に適しているといえるのが、上写真の日本特種ボディーが作ったビジネスユース向けキャンピングカーエクスペディション イーグルⅡサテライトです。

その理由の1つが大きなリビングスペース。室内は8名で利用できる、大きなテーブルとソファが装備されています。この大きさであれば会議室としても使えることでしょう。

大きなデスク

リアエントランスの目の前には大きなデスクが設置されているので、指揮官の事務机として利用するのにも適しています。壁側にはキャビネットが装備されていて、大切な書類を収納しておけます。この設備であれば、被災地での公共サービス提供をカバーできるかもしれません。

レイアウト変更も可能なので、ここへマルチルームを取り付けることもできるそうです。トイレやシャワーを設置しておけば、ライフラインが寸断された場所で、独立した宿泊施設としても利用できます。

ベッド展開

宿泊するときは、リビングエリアのテーブルを収納して、マットを敷き詰め、ベッドを展開します。リビングエリアだけで大人が3名就寝できるサイズで、バンク部分を含めるとさらに3名の就寝人数を確保できるのです。

日中は事務所として使って、夜は宿泊施設となることで、効率的にキャンピングカーが活用されることになります。やはりキャンピングカーはレジャーばかりでなく、緊急時にも役に立ちそうです。平時にレジャー使いしながら、キャンピングカーに慣れておくことも大切なのかもしれません。

エクスペディションを目指した基本的な設計が災害時に本領を発揮する

タイヤとサスペンション

エクスペディション イーグルⅡサテライトの車内は災害時であっても利用しやすいレイアウトでした。しかし、それは車内だけではなかったのです。改めて、外側からクルマを確認してみると、随所に災害時に強い特性を感じさせる設計が施されていました。

まず、車体全体が少し高いことに気づくことでしょう。大きなタイヤでサスペンションのクリアランスが確保された大型SUV同様に、悪路での走行が可能なのです。大きな砂利が流れ込んでしまった地域、水たまりが広がっている場所など、被災地での悪路を気にすることなく走行できる基本的な設計です。

リア部分を見ると、リアタイヤ部分からリアへ向けて、ボディが斜めにシェイプされているのが分かります。この部分の角度をデパーチャーアングルといって、4WDの性能を表す際に利用されるのですが、このクルマにも大きな角度が確保されていて、坂道や凸凹の道路でリアボディが干渉することを軽減しています。

ソーラーパネル

オフグリッドの環境では電気の確保も重要です。過去の被災地でも、スマホの充電ができなくて、新しい情報を得られない、という問題があったのを記憶している人も多いのではないでしょうか。

エクスペディション イーグルⅡでは、ルーフの形状がフラットなので、スペースを最大限に活用できるのが特徴です。ソーラーパネルをたくさん搭載することができ、最大で出力375Wのソーラーパネルを4枚も設置できるそうです。

フレーム

ボディはフレームパネル工法で作られていて、強固なキャビンスペースが完成しています。ベース車両となったいすゞBe-camのフレームがリアのギリギリの場所まできているので、剛性も非常に高くなっています。ボディ自体が強いということも、被災地では大きなアドバンテージとなるのです。

災害が起きた時、役に立つキャンピングカー装備

冷蔵庫

大容量のソーラーパネルで発電した電気は、車内のバッテリーに貯めておくことができます。その電気を使ってさまざまな家電を動かすことができます。

災害が起きたとき、まず最初に必要なのが照明です。防災グッズのなかに、ろうそくが入っているように、光があることで、生活がしやすくなり、気持ちを落ち着かせる効果を発揮します。

キャンピングカーの場合、普段の生活と変わらない照明が装備されているので問題ありません。同じように、普段の生活の一部となっているのが冷蔵庫。食品の保存もさることながら、冷蔵保存が必要な医薬品のためにも冷蔵庫が役に立ちます

電子レンジ

簡単に調理できる電子レンジがあれば、さらに生活環境が向上します。カセットガスなども使いやすですが、いずれガスがなくなってしまいます。一方で電子レンジは、ソーラーパネルで作った電気を利用できます。永続的に利用できる調理器として、避難生活を強力にバックアップしてくれる存在といえるのです。

クーラー

最近では普段の生活でもエアコンを常時利用することが推奨されるほどです。とはいえ、被災地ではそのようなエアコンを利用することなど、イメージすることができませんでした。しかし、電源設備の強力なキャンピングカーがあれば、エアコンを利用することもできます。

エクスペディション イーグルⅡには強力な電源システムを組み込むことができて、オフグリッドの環境でも、家庭用エアコンを利用することができます。ソーラーパネルの発電、走行充電などで、十分にバッテリーへの電気を貯めることができれば、熱帯夜であっても快適に過ごせます。また、ソーラーパネルを最大限活用することで、日中の連続エアコン稼働も可能だそうです。

防災用にキャンピングカーが注目されていますが、設備が整った防災最強キャンピングカーがあれば、さらに避難生活が快適になることは間違いありません。また、今回のように自治体によって活用する場合も、被災者のサポートとなる拠点作りには欠かせない存在となることでしょう。

今後、防災用キャンピングカーというジャンルが注目されて、色々なモデルが誕生することが期待されます。そして、その存在が広く認知されることで、多くの人の防災意識が高まり、さらに市民の不安解消へと繋がっていくのかもしれません。

一般社団法人 日本カーツーリズム推進協会
事務局 東京都中央区日本橋小伝馬町2-5 メトロシティ小伝馬町9F
JCTAホームページはこちら 
WRITER PROFILE
渡辺圭史
渡辺圭史(わたなべ・けいし)

1971年東京生まれ。アウトドア好きな編集者、そして、算数が好きだったライター。アウトドア用品メーカー、出版社を経て、キャンピングカー専門誌編集長に。現在はフリーとして、いろいろなメディアにて執筆中。アウトドアをキーワードに、より楽しいライフスタイルを求めてゆるりと奮闘中。最近気になっているワードは、旅、ミニマリスト、車中泊。趣味はコンパクトな旅とモノづくり。

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