大学生がデザイン・プロデュースしたハイエースベースのキャンピングカー「アコロ」

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大学生がデザイン・プロデュースしたハイエースベースのキャンピングカー「アコロ」

企業と大学が協力して産業を生み出す産学連携という仕組みがあります。大学と企業、お互いの強みを活かして、新しい産業を生み出す活動です。これまで各地でたくさんの産業が生まれ、人々の生活をサポートする商品が生まれています。

この産学連携の一環で、キャンピングカーランドとキャンピングカービルダーレクビィが参画していたのです。一緒に協力したのは京都精華大学でした。そして完成したのがハイエースをベースにしたキャンピングカー「アコロ」。斬新なテクスチャーが特徴的なキャンピングカーです。

学生たちの思いを形にしたキャンピングカー「アコロ」

「アコロ」の車内

アコロはレクビィのホビクルオーバーランダーをベースに制作されることになりました。ホビクルオーバーランダーはシンプルなインテリアレイアウトです。セカンドシートを利用したリビングエリア、リアに広がるベッドエリアが基本のスタイルとなります。

ベッドマットは上中下段へのセッティングができて、スペースを使う人の用途に合わせてアレンジできるのが特徴。たくさんの荷物を載せることができるので、アクティブなユーザーに人気のモデルです。

「アコロ」の外観

ベースとなるホビクルオーバーランダーはアウトドアテイストが強めのデザインでしたが、アコロは優しいテイストのデザインに統一されています。そのデザインの特徴とも言えるのが、幾何学模様の鮮やかなグラフィクです。

ボディサイド、そして、インテリアに至るまで、そのグラフィックが目に飛び込んできます。アクティブな印象があり、ワクワクさせるデザインパターンといえるでしょう。クルマに乗り込む前からテンションの上がるキャンピングカーです。

「アコロ」のロゴ

フロントには車名のアコロの文字が記されていました。オリジナルロゴマークも完成しています。2023年12月22日に京都精華大学でお披露目された時には、エンブレムを印刷したエントランスマットまで用意され、ブランドイメージをさらに高めてくれる演出がありました。

お披露目当日まで、ボディ制作の作業は続き、グラフィックやロゴマークを張る作業を学生さんたちが最後まで行っていたそうです。

若い女性にも受け入れられるインテリアデザイン

「アコロ」のカラフルなインテリア

室内は全体的に明るい印象です。ホビクルオーバーランダーとは違ったインテリアデザインに仕上がっていました。シートには幾何学模様のパターンが描かれていて、変則的ながら統一感を感じるデザインです。

フロントシートを前方に倒し込んで、そのスペースにマットをセットし、リビングスペースのシートとする、レクビィらしいギミックも採用されています。セカンドシートは走行のままで、すぐにリビングレイアウトにできるので、ちょっとした休憩もしやすくなります。

「アコロ」のセカンドシート

セカンドシートは前向き、後ろ向き、フルフラットへ展開できるREVOシートです。ホビクルオーバーランダー譲りのハイバック仕様で、しっかりと体をサポートしてくれるので、少し倒し込んで、リラックスするのにもぴったりです。

シート生地は日本の国会議事堂の赤絨毯や鉄道シート生地などを手がけていることで有名な住江織物によって制作されました。起毛した素材にグラフィックをプリントしています。ワンオフの生地制作でしたが、学生たちのために、住江織物が特別に協力したそうです。ベースとなった学生のデザインをできるだけ再現できるように、苦労した様子です。

「アコロ」のフルフラットベッド展開

セカンドシートをフラットにして、リアのベッドマット位置を下段にセットすると、このようなフルフラットベッドが展開できます。生地に描かれているグラフィックが連続するように連なり、1つのデザインとして完成されているのが分かります。

学生が考え出したデザインは、若い人にも受け入れられるインテリアを生み出したようです。このワクワクするインテリアデザインのアコロは2024年2月2日〜4日に開催されるジャパンキャンピングカーショー2024で展示される予定です。気になった人はぜひ会場に足を運んでみてください。

京都精華大学とレクビィのコラボレーションが生んだ世界

講義を行うレクビィスタッフ

今回のプロジェクトは京都精華大学の産業連携授業の一環で行われました。参加した学生はデザイン学部の学生で、もちろん、キャンピングカー制作に関わるのは初めて。2023年6月に授業で企画を立案して、車両の完成は2023年内を目標にしていました。

キャンピングカーを作るにあたって、学生を牽引したのはレクビィのスタッフたちでした。まずはキャンピングカーとは何なのか?という基本的な説明から始まり、誰がどのように、何のために利用するのかなど、モノづくりの基本的な考え方を伝えていました。

講義を行うレクビィスタッフ2

そして、企画しただけでは商品化は難しく、その工程をしっかりと把握して、商品化する流れをみんなで考えていったのです。デザイン優先では使いづらい点が出てきたり、製品としてのクオリティを考えながらの作業でした。

普段は学生との接点も少ないレクビィのスタッフたちは、今回のプロジェクトは刺激になったといいます。

「キャンピングカー作りを教えることで、今ある自分たちの立ち位置を認識したような気がします。そして、キャンピングカーの面白さに改めて気づかされました。また、業界に入ってほしい学生がたくさん見つかったことが収穫でもありました」とスタッフは振り返っていました。

さらに製品を作ってみて感じたことも印象的だったようです。

「学生の出てきたデザインを活かす方向で、製造とサプライヤーは気を使ったと思います。そんな経験をしたことで、副産物として製造スキル向上に繋がったかもしれません。そして、完成したキャンピングカーをみてみて、レクビィから絶対に出てこないテイストだった、というのがみんなの意見でした」

京都精華大学の学生のミーティング風景

今回は短期間でクルマを完成させましたが、次回はもっと長いスパンをかけて、レイアウトからじっくりとやりたい、というのが学生と関係者の要望だったそうです。しかし、短期間でしたが、学生たちの意見を反映した素晴らしいキャンピングカーが完成したのは驚きです。

車名のネーミング案

車名の「アコロ」は遊び心から生まれた造語です。インテリアに遊び心溢れる幾何学模様のデザインを採用して、明るめの内装にすることで、女性や若いユーザーにもアピールできることを目的としていました。

学生たちの生み出したキャンピングカーは、このコンセプト通り、遊び心があり、若い世代に受け入れられる商品として完成しました。その達成感を大学、そして、学生たちも強く感じていました。

「アコロ」の側面

「キャンピングカーには、昔から興味があったので、いい経験になった。戸惑いもありましたが、実物になってみると感慨深いです。今度は学生、OB、キャンピングカービルダーも交えて、より優れた物を生み出せるようにしたい」 (葉山 勉教授 京都精華大学 デザイン学部 建築学科)

「こうして実車を見て、実感が沸いた。短期間で制作範囲が限定されるのは分かっていたが、今度制作にかかわるときは、レイアウトや使い方も提案もしたいと思う」 (板坂皓聖さん デザイン学部2回生)

「自分の描いたシート生地が製品になり、意外とかわいくて感激しています。このシート生地を父のキャンピングカーに貼りたいくらいです。」 (西垣有紗さん デザイン学部2回生)

社会に貢献できる人材を育成しようとする京都精華大学と楽しみや移動の自由により社会に貢献できる会社を目指すレクビィ。同じ目的をもった大学と企業がタッグを組み、キャンピングカーが誕生しました。今後はこのような、新しい試みでキャンピングカーが誕生する機会も増えるのかもしれません。

WRITER PROFILE
渡辺圭史
渡辺圭史(わたなべ・けいし)

1971年東京生まれ。アウトドア好きな編集者、そして、算数が好きだったライター。アウトドア用品メーカー、出版社を経て、キャンピングカー専門誌編集長に。現在はフリーとして、いろいろなメディアにて執筆中。アウトドアをキーワードに、より楽しいライフスタイルを求めてゆるりと奮闘中。最近気になっているワードは、旅、ミニマリスト、車中泊。趣味はコンパクトな旅とモノづくり。

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