キャンピングカーが災害時に提供される協定が締結され、環境が変わりつつある地域社会

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キャンピングカーの活用方法が見直されています。2022年のジャパンキャンピングカーショーの会場では防災に関する展示が行われ、災害時の利用方法などが提案されていました。

「災害にキャンピングカー?」と思う人もいるかもしれませんが、レジャー用途であっても、その活用方法には可能性があるのです。最近では、「日常時」と「非常時」の境界線を意識せずに防災にそなえる「フェーズフリー」という言葉も生まれました。

以前から防災対策に取り組んできた自治体も、キャンピングカーの有効性に期待をしているようです。その結果、近年、災害時にキャンピングカーを利用する協定を締結する自治体も増えてきました。

2022年3月にも、神奈川県藤沢市とキャンピングカービルダーのダイレクトカーズが協定を結び、キャンピングカーを災害時に貸し出す事が決まりました。

そこで今回は、災害時のキャンピングカー利用について、改めて検証してみたいと思います。

災害時におけるキャンピングカーの提供に関する協定

藤沢市とダイレクトカーズの災害協定

藤沢市とダイレクトカーズが結んだ協定は「災害時におけるキャンピングカーの提供に関する協定」というものでした。災害が起きたときにダイレクトカーズからキャンピングカーの貸し出しを受ける内容です。

藤沢市は海に近いこともあり、津波対策など、防災意識が高いエリア。被災時の対策としてキャンピングカーが検討されたのも当然のことかもしれません。

このように、その有効性を見出して協定を結ぶ自治体が増えてきています。以下はその一部ですが、近年、提携を発表した自治体とキャンピングカー関連企業です。

キャンピングカービルダー

ダイレクトカーズ ✕ 神奈川県藤沢市
ダイレクトカーズ ✕ 三重県鈴鹿市
ダイレクトカーズ ✕ 神奈川県厚木市
ダイレクトカーズ ✕ 三重県いなべ市
レクビィ ✕ 愛知県瀬戸市
岡モータース ✕ 四国経済産業局及び中国四国産業保安監督部四国支部
ナッツ ✕ 九州経済産業局及び九州産業保安監督部

レンタルキャンピングカー

平成レンタカー ✕ 四国経済産業局及び中国四国産業保安監督部四国支部
キャンピングカー株式会社 ✕ 岡山県瀬戸内市
キャンピングカー株式会社 ✕ 千葉県白井市
ミツウロコエナジーフォース ✕ 千葉県野田市
ワンズネットワーク ✕ 千葉県市川市

キャンピングカー関連団体

日本カーツーリズム推進協会(JCTA) ✕ 山梨県小菅村

東日本大震災で活躍したキャンピングカーたち

キャンピングカーショーでも防災コーナー

自治体とキャンピングカー関連企業の提携が進んでいますが、日本RV協会では早くから被災時のキャンピングカー活用を視野にいれていました。

特に注目されたのは2011年3月に起きた東日本大震災の時。その時、日本RV協会は会員企業9社から約20台のキャンピングカーを提供しています。そして、災害時の活動拠点として活用されました。

一時避難から福祉避難(二次避難)へフェーズが移行しても、提供されたキャンピングカーは地域に残り、その活用形態を変えながら、地域の復旧に貢献していました。

この経験をもとにキャンピングカーの業界団体が積極的にその可能性をアピールしたこともあり、自治体からも注目されることになったのです。

災害時に何が必要なのか

トリップ プレミアムの車内

キャンピングカーが災害時にどのように役立つのか、その活用方法を考えると

  • 緊急避難場所
  • 防災対策基地局としての活用
  • スタッフの宿泊場所(ボランティアスタッフを含む)
  • 電源供給の拠点

などが挙げられます。

最近では新型コロナウイルス感染症の影響もあり、人と人のソーシャルディスタンスも気にするようになりました。災害時のコロナ対策となると、さらに対応が難しくなるところですが、キャンピングカーであれば、上記の活用に加えて、完全な独立したスペースを確保できるので、2重で対策できることも利点といえるでしょう。

ダイレクトカーズのトリップ プレミアム

今回、藤沢市とダイレクトカーズの協定締結時に展示されていたクルマをみてみると、スペースを確保できる大きなキャブコンや機動性の高いバンコンが並べられていました。災害対策としては十分なサイズといえるのではないでしょうか。

ダイレクトカーズのバンコン

バンコンは見慣れたボディ形状でありながら、その内部の居住性に驚く来場者の姿もありました。そして、さらにみんなを驚かせたのは、キャンピングカーの設備の充実ぶりです。

バンコンに積んだクーラー

大きなキャブコンであればある程度予測していたようで、電気水道、テレビなどがついているのは当然としても、バンコンにクーラーまで装着されたダイレクトカーズのクルマに驚いているようでした。

コンパクトなバンコンでありながら、充実したバッテリーシステムを組み込み、空調まで整備されていたのです。機動性とともに快適性も提供できることも大きなポイントといえるでしょう。

災害協定によりキャンピングカーがもたらしてくれる事

バンコンの車内

キャンピングカービルダー、キャンピングカーレンタル業者など、地域の災害に役立てるように、数々の協定を結んできました。

協定の主な内容は、地域が被災した時、キャンピングカーの提供を受けて、災害復興に役立てるという目的です。場所や電気などを提供してくれることは、災害時に大きな安心感を提供してくれることでしょう。

さらに、このような地域協定を結ぶことで、災害時だけでなく、その地域に住んでいる人、自治団体が、将来への安心感を感じることは間違いないと思います。

締結されている協定はキャンピングカーの貸し出しに限定していますが、将来的には地方自治体がキャンピングカーを救急車のように所有して管理することを期待してしまいます。

何もないときは、観光資源としてキャンピングカーを活用して、災害が起きたときは災害時の役割を果たす、両側面の備えでキャンピングカーが浸透していくといいですね。

WRITER PROFILE
渡辺圭史
渡辺圭史(わたなべ・けいし)

1971年東京生まれ。アウトドア好きな編集者、そして、算数が好きだったライター。アウトドア用品メーカー、出版社を経て、キャンピングカー専門誌編集長に。現在はフリーとして、いろいろなメディアにて執筆中。アウトドアをキーワードに、より楽しいライフスタイルを求めてゆるりと奮闘中。最近気になっているワードは、旅、ミニマリスト、車中泊。趣味はコンパクトな旅とモノづくり。

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