バンコンベースの主役「ハイエース」の種類とメリット・デメリット【ワイドボディ編】

キャンピングカーの選び方
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バンコンベースの主役「ハイエース」の種類とメリット・デメリット【ワイドボディ編】

バンコンのベース車両としてもっともポピュラーなトヨタ・ハイエースには、幅広いニーズに対応する数種類のバリエーションが用意されている。同じハイエースでもボディサイズによって性格は異なり、内装を架装したキャンピングカーにおいても、機動性・居住性・使い勝手はベース車両に大きく左右される。

前回の記事では、ハイエースのバリエーションの中でも機動性に優れた「標準ボディ」について解説したが、今回はキャンピングカーのベース車両としてもっともポピュラーな「ワイドボディ」について解説する。

ティピーアウトドアデザイン菅野氏

前回に引き続き、お話をうかがったのは、「ワンボックスネットワーク協同組合」の代表理事を務める、ティピーアウトドアデザインの菅野勝明氏。ハイエースを知り尽くしたスペシャリストならではの視点で、ハイエース・ワイドボディのバリエーションとメリット・デメリットについて詳しく解説してもらった。

ワイドボディ・ミドルルーフ

ハイエースワイドボディ

ハイエースには、4ナンバー(小型貨物車)サイズの標準ボディのほかに、1ナンバー(普通貨物車)サイズのワイドボディ(全幅1880mm)も用意されている。全ボディバリエーションの中間サイズにあたるのが、ワイド&ロングボディにミドルルーフを組み合わせた「ワイドミドル」と呼ばれるモデル。ボディサイズは全長4840×全幅1880×全高2105mmで、3ナンバーの大型ミニバンとほぼ同等となる。

ハイエースのワイドミドル

「ワイドミドルは、ハイエースの中で、もっともバランスのとれたモデルです。標準ボディに比べると大柄ですが、サイズは大型ミニバンと同じくらい。トヨタ・アルファードが全長4945×全幅1850×全高1950mmなので、全長はそれより10cmほど短くなります。このサイズならファーストカーとしても使えるし、奥さんも運転できるし、高さ制限付きの自走式立体駐車場にもギリギリ入れる。機動性と居住性のバランスがとれた、万能モデルです」(ティピーアウトドアデザイン菅野氏/以下同)

ハイエースのワイドミドル高さ

ハイエースの中間的なサイズになるワイドミドルだが、キャンピングカーのベース車としては、どのようなメリットがあるのか? また、ワイドミドルを選ぶのは、どんなユーザーが多いのだろうか?

「標準ボディよりも室内空間が広く、家族4人での利用も可能です。ベースが上級グレードのS-GLなので、スマートキーやセーフティセンスなどクルマ自体の装備が充実しているのもポイントですね。ワイドミドルベースを選ぶのは、小さなお子さんのいる4人くらいまでの家族で、キャンピングカーをファーストカーとして使う方が多いです」

ワイドボディ・ミドルルーフの架装例
トラボイHJ200WS(ティピーアウトドアデザイン)
価格:4,708,000円(ガソリン2WD)/5,008,000円(ガソリン4WD)/5,186,000円(ディーゼル2WD)

トラボイHJ200WS車内

2列目に1200mm幅の3人掛けFASPシート、3列目に900mm幅の2人掛けFASPシートを装備した3列シートレイアウト。シートを前向きにすれば7名が快適に乗車でき、ミニバン同様の使い方が可能となる。リアエンドの左手には小型シンク付きのキッチン、右手には収納用のキャビネットが完備され、上部をベッド、下部をカーゴスペースとして使用。ハイエース・ワイドミドルの室内空間を活かし、クルマとしての利便性とキャンピングカーとしての快適性を両立した、マルチなバンコンに仕上げている。

トラボイHJ200WSベッド展開

セカンド&サードシートをフラットに展開すれば、大人2名がゆったりと横になれる広大なベッドスペースになる。

トラボイHJ200WSリアベッド

リアの常設ベッドは、長さ1700×幅950mm。子供用ベッドとして使用できるのはもちろん、小柄な女性なら問題なく就寝可能だ。

ワイドボディ・スーパーロング・ハイルーフ

ハイエーススーパーロング

ハイエースの市販バリエーションの中で最大サイズとなるのが、ワイドボディにハイルーフを組み合わせた「スーパーロング」だ。ボディサイズは全長5380×全幅1880×全高2285mmで、国産車の中では最大級となる。

「ハイエース・スーパーロングは、キャンピングカーのベース車としてもっともポピュラーなモデルです。最大の魅力は、広大な室内空間! 長さと幅に余裕があるので、ベッドやキッチン、収納などのキャンパー装備をゆったりとレイアウトできます。ハイルーフで天井が高く、車内で立って生活できるのもポイントですね」

ハイエーススーパーロングのサイドビュー

バンコンベースのメインストリームであるスーパーロングは、大きなボディサイズがもたらすゆとりの室内空間が魅力だが、機動性と居住性はトレードオフの関係。ボディの大きさは、メリットにもデメリットにもなる。

「キャンピングカーとしての快適性はピカイチですが、全長が5mを大きく超えているので、月極駐車場だと白線からはみ出して車庫証明が取れないこともありますし、出先で駐車場探しに困ることもあります。ホイールベースが長くて小回りが利かないため、狭い道を走る際にも注意が必要。スーパーロングベースを選ぶ方は、ほかに普段使い用のクルマを所有していて、キャンピングカーは完全なレジャー用というパターンがほとんどです」

ハイエーススーパーロングの屋根

「ファーストカーとして使用することも不可能ではないですが、運転に自信のない人は厳しい。目的地近くの駐車場を事前に調べておくなど、多少の手間も必要となります。ただし、そうしたデメリットを差し引いても、スーパーロングの室内空間の広さは大きな魅力。バンコンのベース車として、不動のナンバーワンであることは間違いないです」

ワイドボディ・スーパーロングの架装例
トラボイLBD200SL(ティピーアウトドアデザイン)
価格:5,863,000円(ガソリン特装2WD)/6,175,000円(ガソリン特装4WD)

トラボイLBD200SLの車内

センターにセカンド&サードシート、左サイドにキッチン、後部に常設ベッドを配した、使い勝手抜群のレイアウト。2列目には1500mm幅の3人掛けFASPシート、3列目には900mm幅の2人掛けFASPシートを装着。シートを前向きにすれば7名が乗車でき、シートを対面にすれば快適な生活空間になる。

トラボイLBD200SLのベッド展開

フラットに展開したセカンド&サードシートにリアマットを組み合わせれば、長さ3300mmの広大なベッドスペースになる。

トラボイLBD200SLのリアベッド

リア上段の常設ベッドは、長さ1700×幅1300mm。オプションのワイドウィンドウで右後部のサイド窓部分を拡張すれば、ベッド長をさらに広げることも可能だ。

自分の使い方に合った1台を見つけ出そう!

ボディサイズ豊富なハイエース

2回に分けて解説したとおり、ハイエースには様々なバリエーションが存在しており、それぞれにメリット・デメリットがある。おさらいすると、現在市販されているハイエースのボディサイズは以下の4種類。

  • 標準ボディ・ロールーフ
  • 標準ボディ・ハイルーフ
  • ワイドボディ・ミドルルーフ
  • ワイドボディ・スーパーロング・ハイルーフ

標準ボディは、気軽に運転できてファーストカーとしても使えるのがウリ。ワイドミドルは、機動性と居住性のバランスが取れたマルチなモデル。スーパーロングは、大きなボディがもたらす広大な室内空間が魅力だ。

ファーストカーとして使うのか、何人で使うのか、キャンプメインなのか、クルマ旅メインなのか……。ニーズによって、最適なキャンピングカーのカタチは異なる。使い方をじっくりシミュレーションして、自分のライフスタイルに合ったハイエース・バンコンを見つけ出そう!

WRITER PROFILE
岩田一成
岩田一成(いわた・かずなり)

1971年東京生まれ。キャンピングカーライフ研究家/キャンピングカーフォトライター。日本大学芸術学部卒業後、8年の出版社勤務を経て、2003年に独立。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に累計1000誌以上の雑誌・ムック製作に携わる。家族と行くキャンピングカーの旅をライフワークとしており、これまでに約1000泊以上のキャンプ・車中泊を経験。著書に『人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門』がある。

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