愛知県に本社を構えるレクビィは、創業39年のキャンピングカービルダー。愛知県瀬戸市の本社、道の駅瀬戸しなのに隣接したレクビィステーション、神奈川県のレクビィ オスト ベネヴェントの直営3拠点のほか、全国に20か所以上の販売店を持っており、老舗バンコンメーカーとして多くのユーザーから支持を集めている。
あらゆる側面からバンコンの可能性を追求し、独創的なオリジナルモデルを多数ラインナップする同社の最大の特徴は、長年かけて培った知識とノウハウ、高度な技術力に裏打ちされた“真摯なモノづくり”だ。
本記事では、レクビィ オスト ベネヴェントに展示されているカントリークラブのスケルトンモデルをベースに、一見地味だが実はキャンピングカーの快適性を大きく左右する「見えない部分へのこだわり」にスポットを当てる。独自のこだわりの数々から、レクビィの“バンコン愛”を感じ取っていただきたい。
目次
キャンピングカーにおける断熱の重要性
屋外の熱気や冷気を遮断する断熱性能は、キャンピングカーの快適性を左右する重要な要素だ。鉄板ボディと大きなガラス窓で構成された1BOX車はもともと断熱性に劣るため、キャンピングカーに架装するには断熱処理がマストとなる。いくら見栄えがよくても、断熱性が悪ければ快適な車内生活は望めない。普段は目にすることがない断熱処理にこそ、ビルダーのノウハウが集約されているのだ。
レクビィのバンコンは、種類の異なる断熱材を組み合わせた「2重断熱」が基本となっている。断熱材を多層化することで複合効果を生み出し、断熱材で内部の空間を減らして伝熱要因のひとつである対流を軽減。使用する断熱材も、長い歴史において試行錯誤を繰り返し厳選されたものだ。
1.天井断熱処理
比較的スペースを確保しやすい天井には、「アルミラミネート気泡シート」と住宅用断熱材として広く用いられる「ロックウール」を採用している。「アルミラミネート気泡シート」の上から「ロックウール」を隙間なく充填する2重断熱構造で、車外からの熱伝導を大幅にカット。ラワン合板の下地材~ウレタンスポンジ~内張り用トリム生地を使用した、美しい仕上がりも魅力のひとつだ。
2.壁面断熱処理
壁面の断熱処理も天井と同様の施工方法だが、キーレスリモコンの電波障害を防止するため「アルミラミネートなしの3層気泡シート」を採用している。そこに「ロックウール」を組み合わせて2重断熱構造とすることで、天井と同レベルの断熱効果を実現。室内側は、ラワン合板の下地材~ウレタンスポンジ~内張り用トリム生地でフィニッシュされる。
3.床面断熱処理
室内高の確保が優先される床面は、「発泡シート」と「アルミ蒸着気泡シート」を2重にして敷き込むことで、薄くても最大限の熱伝導抑制効果を実現している。断熱材の上にラワン合板の下地材を敷いてフラットな床面を作り出し、傷がつきにくい重歩行用の樹脂フロアで表面をカバー。床下からの熱伝導を軽減して、快適な室内空間を生み出している。
音や振動を吸収して静かな車内空間を実現
レクビィ製バンコンは、断熱性のほかに音や振動を吸収する「制振」にもこだわっている。エンジン音やルーフの雨音を軽減するために、画期的なダイポルギー技術を導入した制振材を採用。エンジンルームカバーに吸音フォーム+遮音材、ルーフ天板に制振シートを使用して、ドライブから車内生活までどんなシーンでも静かに過ごせる快適な室内空間を生み出している。
裏側にダイポルギー技術の制振材を施工した金属プレートのサンプル。未施工、エンジンルーム、ルーフの3種類のプレートが用意され、表面を木球(バチ)で叩くことで制振効果の違いを体験できる。
寝心地を極めたベッド構造
自宅と同じようにぐっすりと眠れるベッドも、キャンピングカーには欠かせない要素だ。レクビィでは、カントリークラブ、ファイブスターセプト、プラスDDなどの2段ベッドの芯材に、福祉・介護用に開発された3Dファイバースプリング「カルファイバー」を採用。抜群のクッション性で、自宅のベッドのような最上級の寝心地を実現している。
反発性が高くウレタンのような沈み込みがない「カルファイバー」が、優れた体圧分散性と安定したスプリング特性を両立。通気性が高いので夏場でも蒸れにくく、1年を通して快適な睡眠を約束してくれる。
オリジナルファブリックの採用
シートやベッドマットに使用される生地は、耐光性・防水性・防汚性を兼ね備えたオリジナルファブリックを使用している。紫外線に強いので長期間美しい状態を保つことができ、水や汚れに強くメンテナンス性に優れているのが特徴だ。
ソランのシート生地には、ひっかきや摩擦に強い防水・防汚素材を採用している。写真は、ソランの使用生地と一般的なスウェード生地の比較サンプル。ソランの使用生地は、先のとがった工具で表面をひっかいてもほとんど傷が付かない。小さな子どものいるファミリーやペットと一緒に旅をするユーザーにとって、非常に魅力的な素材だ。
本記事では、老舗バンコンメーカーレクビィのクルマづくりのこだわりを紹介したが、ここで挙げた要素はほんの一部に過ぎない。見えない部分にまで徹底してこだわった“真摯なモノづくり”こそが、長年にわたってレクビィ製バンコンの人気を支えてきた礎(いしずえ)なのだ。
レクビィ オスト ベネヴェント
今回レクビィ製バンコンのこだわりについてお話を伺ったのは、神奈川県大和市の16号バイパス沿いにあるレクビィ直営の関東ギャラリーレクビィ オスト ベネヴェント。東名高速・横浜町田インターから約2.5kmという好立地にあり、近県からのアクセスも良好だ。
広々とした敷地に、常時約20台のキャンピングカーを展示。レクビィのオリジナルモデルをほぼフルラインナップで取りそろえているので、実際の車両を比較しながら購入モデルをじっくり検討できる。
敷地内にはファクトリースペースも完備されており、修理やメンテナンス、車検などのアフターサービスまで安心しておまかせできる。
キャンピングカーを知り尽くした経験豊富なスタッフが、キャンピングカー選び、メンテナンス、遊び方までアドバイスしてくれる。本記事で取材したカントリークラブのスケルトンモデルも展示されているので、レクビィのクルマづくりのこだわりを体感してみたい人はぜひ気軽に足を運んでみよう!(スケルトンモデルの展示は、秋ごろまでの予定。展示の有無は事前に問い合わせのこと)