「床屋になったエアストリーム」移動店舗が生んだ新しい価値観

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「床屋になったエアストリーム」移動店舗が生んだ新しい価値観

カットが終わって、手鏡をかざし、髪の仕上がりをチェック。美容室でよく見かける光景ですが、その時、お客さんの反応がなかったら、美容師さんは不安を感じるのではないでしょうか。でも、時々、そんな光景が展開されている床屋があるというのです。

「お客さんは外を眺めていて、仕上がりを気にしていないこともあります」と語るのは沖縄でエアストリームを使った床屋3MuraiLife & 3Cafeを経営する梶田さん。それもそのはず、目の前に広がるのは、美しいオーシャンビュー。西日が差し込んでも、カーテンが降りることはありません。

雑誌で見た移動店舗型の床屋

動く床屋

海外の移動式床屋の写真を雑誌で見て、「これだ!」と気になったのが始まりだったといいます。それから、頭の中ではいつも、理想の移動式床屋スタイルを構想する日々でした。そして、とうとう実行に移す時がやってきたのです。

クルマのことはあまり知らなかったそうですが、スタイルから探して、たどり着いたのが1984年式エアストリームsovereign 27ft。国内業者に依頼して、アメリカから輸入した車両でした。この業者を決めるのも大変で、最終的にすばらしい出会いがあって、話がまとまったといいます。

オーストラリアでのガイド経験

トレーラーのヘッド車

雑誌で見て、エアストリームをアメリカから輸入、一連の流れを聞くと、強い行動力を感じます。実は、その前段階も相当な行動力だったのです。初めは、建築関係の仕事をしていて、その後、オーストラリアへ留学。そして、そこで将来の目標が見えてきたといいます。

海が大好きで、自然の中で遊ぶのが好きだった梶田さん。オーストラリアへ行った時も、離島へ観光客を案内するガイドのアルバイトをしていました。そんなオーストラリアのビーチ生活を送っている時、いつかは、海の近くで仕事をしたいと思い始めたそうです。

エアストリーム店内

海の近くでできる仕事を考えた時、出てきた答えが床屋でした。床屋であれば、場所を気にしないで仕事ができる、と感じたそうです。そして、すぐに行動してしまうのがすごい。ついに、オーストラリアで床屋ができる状態まで準備を整えてしまったのです。

しかし、制度の問題で床屋を断念。そんな時、沖縄で理容師の募集があるのを知り、沖縄であればと、日本に戻ってきたというのです。見つけた海外の移動式床屋の写真は、沖縄で就職した理容室で、お客さんのために置いてあった雑誌に載っていたものでした。

エアストリームが床屋になるまで

エアストリームの牽引

業者に輸入してもらったエアストリームは、そのままでは床屋として使えません。輸入業者にも手伝ってもらい、改造をスタート。ガスや水回りをどのように配置するかなど、作業を進めていくと、次から次へと解決しなければいけない問題点が出てきます。

建築関係の仕事をしていたので、自身も改造を行ったそうです。その時、決めたコンセプトが、

  • 生活感を出さない
  • 狭い室内を広く見せる
  • できる限りの自然を店内から見られるようにする

ことでした。

景色を眺めながらカットするニュースタイル

3MuraiLife & 3Cafeの店内

完成したエアストリームは海の見える窓際にイスが1つ。目の前に見える景色はカットしているお客様のものです。地元の人も多いのですが、観光客もやってくるといいます。ホームページで予約すれば、旅行の途中に立ち寄ることもできるのです。

動く床屋と沖縄の海

カットに来たお客さんであれば、サービスとしてカフェメニューも提供しているそうです。髪を切った後も、コーヒーを飲みながら、引く続き、海の変化を違う角度で眺められるのは、ぜいたくですね。こんな環境であれば、冒頭のように、スタッフの掛け声も気づかないかもしれません。

移動式店舗はメンテナンスが大変

動く床屋の店内

営業している場所は、梶田さんが気に入った場所を探して、土地のオーナーに頼み、借りています。もちろん、トレーラーなので移動することもあるそうです。でも、移動したとしても、海が大好きなので、海が一望できる場所を選んでいます。

動く床屋の店内から見た夕焼け

あまりにも自然の中すぎて、遮るものはまったくありません。室内にはクーラーが付いていますが、日差しが強く、クーラーが効かないこともあるとか。それでも、お客さんのためにある景色を遮ってしまうカーテンは使えないといいます。

トイプードル

思い描いた移動式店舗を実現しましたが、他の人にはオススメできないとも。その理由は

  • 塩害がひどくて、トレーラーのメンテナンスが大変
  • 毎日、水タンクの処理をしなければならない

というもの。お客さんが帰った後、床屋としての仕事も多いのに、さらに水の処理などしていたら、「絶対にくじけるはず……」と。

移動店舗によって実現したことは

3MuraiLife & 3Cafe

では、なぜそこまでして梶田さんは移動店舗の床屋をしているのでしょうか?

「髪を切ってかっこいいスタイルになってほしいという思いはあります。でも、私が仕事をしている目的は自然の中にいて、楽しく過ごすことです。そのために床屋を選んだので、辛いこともありますが、毎日が楽しくてしょうがないです」と語ってくれました。

自然の中にいることで、トレーラーの中から見える景色は毎日変化して、同じ景色が続くことはないといいます。来ているお客さんも、天候、時間によって、見える景色が変わることで、その変化を楽しんでいるのではないでしょうか。

エアストリームと夕焼け

将来は離島や海外へも行ってみたいといいます。「オーストラリアのエアーズロックでやるのもいいかも」とその発想もビッグスケール。しかも、これまでの行動を見ていると、実現してしまいそうです。

梶田さんのエアストリームの移動式床屋3MuraiLife & 3Cafeがどこか遠くにいってしまう前に、沖縄で最高の景色を眺めてみたいと思いませんか。

移動式床屋3MuraiLife & 3Cafe

移動式床屋3MuraiLife & 3Cafe
住所
沖縄県中頭郡読谷村字都屋93-4 (駐機場)
店舗名
3MuraiLife & 3Cafe
TEL
090-6637-3704 (梶田)
営業時間
9:00~19:00​ ※月曜定休
ホームページはこちら
WRITER PROFILE
渡辺圭史
渡辺圭史(わたなべ・けいし)

1971年東京生まれ。アウトドア好きな編集者、そして、算数が好きだったライター。アウトドア用品メーカー、出版社を経て、キャンピングカー専門誌編集長に。現在はフリーとして、いろいろなメディアにて執筆中。アウトドアをキーワードに、より楽しいライフスタイルを求めてゆるりと奮闘中。最近気になっているワードは、旅、ミニマリスト、車中泊。趣味はコンパクトな旅とモノづくり。

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