キャンピングカーをスタイリッシュに乗りこなそう! その2 ~ゲルコート仕上げについて~

キャンピングカー活用法

前回の記事「キャンピングカーをスタイリッシュに乗りこなそう!」に大きな反響があったことから、「キャンピングカーでもキレイにカッコよく乗りたい」というニーズが想像以上に多いことがわかった。

そこで、今回は第2弾として、「そもそも、なぜキャンピングカーには汚れているクルマが多いのか」という根本的な疑問について解説していきたい。

キャンピングカーの中でもとくにキャブコンは、ボディにバーコード状の汚れが付着したクルマが多い。そのため周囲から、「キャンピングカー=汚い」というイメージで見られがちだが、これは単にキャンピングカーユーザーのせいだけではない。

その理由としては、

  • アウトドアで使用されることが多く汚れやすい
  • ボディが大きく屋根が高いことから洗車が困難
  • 実用性重視で汚れを気にしない人が多い

などが挙げられるが、もっとも大きな理由はキャンピングカーの居住部分であるシェルに「ゲルコート仕上げ」が多く用いられていることだ。

キャンピングカーのゲルコート仕上げとは!?

コルドバンクス

キャブコンやキャンピングトレーラーのボディは、表面がツルツルで艶があることから、「塗装してある」と勘違いする人が多い。しかし、一部の例外を除き、FRPのシェルを採用しているキャンピングカーのほとんどは、未塗装の「ゲルコート仕上げ」となっている。

ゲルコートとは、FRP製品を作る際にメス型にゲル(ジェル)状の樹脂を流し込んで、表面をコーティングしたもの。FRPをゲルでコートすることで表面が滑らかになり、丁寧に磨けばまるで塗装したかのような艶のある状態に仕上げられる。

キャブコンに多く用いられるFRPシェルは、ゲルに白の染料を練り込んだ「白ゲルコート仕上げ」がほとんどで、その上からペイントが施されているケースは少ない。

ゲルコート仕上げのメリットとは!?

アウトドア

FRP船の仕上げとしても多く使われているゲルコートは、紫外線や水分の進入からFRPを守り、表面が塗装とは比べものにならないほど硬く、層が厚いため、ラフな用途でも十分に耐えられるのがメリットだ。

木の枝などでボディをこすっても傷になりにくく、傷になってもコンパウンドで磨けば再生できる。ゲルコート層が厚いため、目の細かいサンドペーパーやコンパウンドで磨いても下地のFRPが露出する心配はない。

「ラフに使える」ゲルコート仕上げは、アウトドアユースがメインのキャンピングカーには最適なフィニッシュと言っていいだろう。

ゲルコート仕上げのデメリットとは!?

汚れと日焼け

しかし、そうしたメリットの半面、ゲルコート仕上げにはデメリットもある。それは、紫外線や雨風にさらされることで表面が劣化していくことだ。

ゲルコートが劣化すると、表面が変色して、ひび割れやざらつきを起こす。年式の古いキャブコンなどでは、シェルが黄ばんでいたり、表面がザラザラで触ると白い粉が付くといった状態のクルマが多いが、これはまさしくゲルコートの劣化によるものだ。

こうした状態になると、劣化したゲルコート面にバーコード状の汚れが染み込み、洗車しただけでは汚れを落とすことができなくなる。これが、キャブコンやトレーラーに汚れたクルマが多く見られる最大の原因だ。

キレイ好きにはアルミパネル構造の車種がお勧め!

セキソー

最近では、キャンピングカーをオートキャンプなどのアウトドアユースではなく、道の駅やRVパークなどを利用したクルマ旅メインで使用しているユーザーも多く、「キャンピングカーをキレイな状態でスマートに乗りたい」というニーズも高まっている。

そうしたユーザーは、普通乗用車と同様にボディの表面を塗装で仕上げたキャンピングカーをチョイスするのがお勧めだ。FRP製のキャンパーシェルを採用したモデルはごく一部を除いてゲルコート仕上げがデフォルトだが、アルミパネル構造を採用したモデルではペイントによるフィニッシュが一般的。最初からそうした塗装済みのキャンピングカーをチョイスすれば、ゲルコートのような経年劣化に悩まされることなく、乗用車と同じ感覚で美しいボディ状態を長期間キープすることができる。

オールペンでゲルコートの弱点を根本的に解決!

オールペン

ゲルコート仕上げのキャンピングカーを「キレイな状態で長く乗り続けたい」なら、車両をオールペイント(全塗装)してしまうのも手だ。塗装費用はかかるが、ボディに塗膜を乗せることは、ゲルコートのデメリットに対する根本的な解決策になる。

ただし、ボディ表面を覆った塗膜は、ゲルコートとは比べ物にならないくらいデリケート。塗装をするとゲルコートのようにラフな使い方はできなくなり、乗用車と同様に細心のケアが必要となる。しかし、そうしたデメリットを差し引いても、長期間ボディを美しいまま保てるのは大きな魅力。「大切な愛車をキレイな状態で長く乗りたい」というキャンピングカーオーナーは、ぜひオールペイントを検討してみてほしい。

スタイリッシュな全塗装キャブコンが増殖中!

オールペン車両2台

最後に、「キャンピングカーをスタイリッシュに乗りたい」という最近の傾向を象徴する、2台のキャブコンを紹介しよう。

写真左側のキャブコンはゴールドメタリック&ブロンズマイカメタリック、写真右側のキャブコンはレクサス純正ソニックチタニウム&ホンダ純正シルバーメタリックでオールペンされている。どちらの車両も、都市部でも違和感なく走れるスタイリッシュなツートンカラーが特徴だ。この2台のキャンパーシェルはもともとゲルコート仕上げだったが、変色やバーコード汚れの染み込みといったゲルコート特有の症状に悩まされ、購入から数年後にオールペンを決意したという。

ゲルコートとペイント、どちらにもメリットとデメリットがある。

タフなゲルコートボディを活かしてアウトドアで使い倒すもよし!
ボディの美しさを重視してペイント仕上げにこだわるもよし!

ユーザーの趣味嗜好によって、キャンピングカーの楽しみ方は多種多様だ。

WRITER PROFILE
岩田一成
岩田一成(いわた・かずなり)

1971年東京生まれ。キャンピングカーライフ研究家/キャンピングカーフォトライター。日本大学芸術学部卒業後、8年の出版社勤務を経て、2003年に独立。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に累計1000誌以上の雑誌・ムック製作に携わる。家族と行くキャンピングカーの旅をライフワークとしており、これまでに約1000泊以上のキャンプ・車中泊を経験。著書に『人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門』がある。

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