大容量リチウムバッテリーと常設エアコンで愛車のキャンピングカーが究極形に進化!

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大容量リチウムバッテリーと常設エアコンで愛車のキャンピングカーが究極形に進化!

ここ数年、キャンピングカーの世界でもっとも大きな進化を遂げているのが、車内生活の電気をまかなうサブバッテリーシステムだ。既存の鉛バッテリーに変わり、より長寿命・高性能のリチウムイオンバッテリーを採用するビルダーも年々増加している。

ひと昔前までは信頼性や安全性などの不安要素もあったが、現在では高品質バッテリーの登場やリチウム化に伴うノウハウの蓄積により、安心して使用できるリチウムイオンサブバッテリーシステムが各社から登場。夏の暑さが厳しくなっている昨今では、サブバッテリーで長時間稼働できるエアコンシステムもスタンダードな装備になりつつある。

今年9月、筆者のトラキャンも生活電源システムをリチウムイオンバッテリーにアップグレードした。バンコン、キャブコン、トラキャンと15年以上も鉛のツインサブバッテリーを使用してきた筆者が、なぜリチウム化に踏み切ったのか?本コラムでは、2回に渡ってリチウム化の経緯や仕様、実際の性能についてレポートする。

リチウムバッテリーはマストな装備か?

ツインサブBT

リチウムイオンサブバッテリーの必要性は、乗り手の使い方次第だ。室内照明、冷蔵庫、FFヒーター、テレビを使用する程度なら、わざわざ高い費用をかけてリチウム化しなくても鉛バッテリーで十分。現に筆者も、鉛ディープサイクルバッテリーのツイン仕様(210A)で15年以上もキャンピングカーライフを楽しんできた。

エアコン

リチウムバッテリーの必要性は、「エアコンを使用するかどうか」で大きく異なる。「サブバッテリーでエアコンを長時間稼働できること」が絶対条件であれば、大容量リチウムイオンバッテリーの搭載はマスト。電子レンジや電気ポット、ドライヤーなど大消費電力の家電を頻繁に使用する人、「自宅と同じように電気を使いたい」という人にも、より長い時間大電流を出力できるリチウムイオンバッテリーにアドバンテージがある。

アソモビ車中泊

筆者がリチウム化に踏み切ったのは、今年の夏に起こったある出来事がきっかけだ。イベントアドバイザーの仕事で、夏真っ盛りの8月に幕張メッセで車中泊をすることになり、トラキャンにポータブルエアコンを積んで会場入り。しかし、用意されていたAC100Vコンセントの電圧不足でエアコンのコンプレッサーが正常に稼働せず、結果的に車中泊を断念することになってしまった……。

ポータブルエアコン

外部電源がまともに使えなければ、リチウムイオンサブバッテリーも、大容量ポータブル電源も、発電機もない我が家のトラキャンではなすすべがない。今回は会場が近かったので自宅からの通いに切り替えるだけで済んだが、もし家族で遠方のRVパークやキャンプ場に行って同じような状況に陥ったら、旅を中断せざるを得ない可能性もある。この出来事をきっかけに生活電源強化について真剣に考え、サブバッテリーのリチウム化とエアコンの常設化を決意した。

安心・安全を追求したリチウムバッテリー

リチウムバッテリー

作業を依頼したMYSミスティックでは、発火のリスクが極めて低く安全性が高いリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用している。ミスティック製リチウムイオンバッテリーは、キャンピングカー用や業務用として多くの企業で使用されており、これまでの出荷数はナント3000個以上!より信頼性の高い製品を目指して数回のマイナーチェンジを繰り返し、完成度の高いバッテリーへと進化を続けてきた。

リチウムバッテリー製作中 リチウムバッテリー製作中2

安全性・信頼性にこだわった同社のバッテリーは、「万が一の事態が起こった際にベントが開いて内部の圧を逃がすバッテリーセル」「衝撃に耐える頑丈なスチールケース」「性能と信頼性に優れたBMS」を採用しているのが最大の特徴。出荷前に1つ1つセルやBMSの検品を行っているほか、スチールケースを開けての修理も可能となっている。

バッテリーの重量(ケース含む)は、428Ah/46kg、300Ah/32kg、200Ah/23kg、100Ah/12kg。鉛ディープサイクルバッテリーのほぼ半分程度の重さとなり、快適性のみならず走行性能の向上にも貢献する。

トラキャン初搭載の428Ahリチウムシステム!

トラキャンに搭載されたリチウムバッテリー

愛車のトラキャンに搭載したのは、新型アンセイエに標準装備されている428Ahリチウムイオンバッテリー! MYSミスティックの最新・最高峰となる同システムをトラキャンに搭載するのは、このクルマが初となる。インバーターのみ、トラキャン納車時に持ち込んだ製品をそのまま流用した。

今回のリチウム化では、バッテリーだけではなくシステム全体が一新されている。走行充電器は40A、AC充電器は43Aに変更。走行充電の配線は車両から38sqの極太ケーブルを新規で引き直し、車両とシェルの走行充電ケーブルを接続するコネクターは、大電流に対応した巨大なアンダーソンプラグに変更した。DIYや後付け業者で組んだリチウムシステムは、バッテリー容量や充電電流の数値のみを重視する“スペック競争”に陥りがちだが、ミスティックが構築するキャンピングカー専用の純正システムは、あくまでもバランス重視。「車両に負担をかけず、トラブルのリスクがなく、安心して長期間使用できるリチウムイオンバッテリーシステム」を追求している。

トラキャンのリビングエリア

通路のフロント側にボックスを作ってコの字ダイネットに変更し、ボックス内にバッテリーや充電器、配線類をスマートに設置。機能はもちろん、スマートなインストールにも徹底してこだわっている。

トラキャンのエアコン トラキャンの室外機

サブバッテリーのリチウム化と同時に、外部扉の追加とエアコンの装着も行った。トラキャンは室外機を積むスペースがないため、家庭用セパレートエアコンではなくウインドーエアコンを使用するのがスタンダード。エアコン使用時は、外部扉を開けてそこから吸気と排気を行う。

屋外用の2口コンセント

大容量リチウムバッテリーの搭載に伴い、屋外用の2口コンセントも追加した。これがあればサブバッテリーの電気を車外で使えるようになり、キャンプなどのアウトドアレジャーがより快適になる。

バッテリーモニター

バッテリーモニターは、電圧、電流、容量などを確認できるボトロニック製。状況に応じて外部充電器をオン・オフできるように、手動スイッチも追加されている。

バッテリーモニター

もともと鉛のツインサブバッテリーやAC充電器、インバーターが収納されていたスペースは、化粧板できれいに作り直して収納庫に変更。ユーザーの使い勝手に配慮した、細やかな仕上げがうれしい。

鉛のツインサブバッテリーから超大容量の428Ahリチウムイオンサブバッテリーシステムに変更して、究極の快適性をゲットした我が愛車。次回は、「バッテリーでエアコンが何時間稼働するのか?」など、リチウムシステムの使用感について詳しくレポートする。

WRITER PROFILE
岩田一成
岩田一成(いわた・かずなり)

1971年東京生まれ。キャンピングカーライフ研究家/キャンピングカーフォトライター。日本大学芸術学部卒業後、8年の出版社勤務を経て、2003年に独立。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に累計1000誌以上の雑誌・ムック製作に携わる。家族と行くキャンピングカーの旅をライフワークとしており、これまでに約1000泊以上のキャンプ・車中泊を経験。著書に『人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門』がある。

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