
今回、なぜ「国宝五城」をテーマにしたのか?正直、お城は好きだけど、世間でいう「城フェチ」ではありません。しかし実際にお城に対峙すると、その威風堂々とした佇まいに、思わず崇高な思いすら感じてしまいます。変な例えですが、あの富士山を目の前にして感じるのと同じ、畏敬の念を抱き、ホント、日本人に生まれて良かった!とさえ思ってしまうのでした。
そこで、お城を巡ってみたくなった訳ですが、かつては2,500以上あった城のうち、現在、見学ができるのは200城、そのうち、天守が現存しているのは12城あります。流石に12城全部を巡るのは休みがなかなか取れない現代人には難しいので、その中から国宝にされている五城に絞り込みました。
男たるもの、一度は「一国一城の主」になってみたいと思うものですが、考えてみると、キャンピングカーは、正に自分だけの城、アニメ「〇ウルの動く城」みたいなものです。今回は、その“オレの走る城”で、国宝五城を巡るという粋?な企画となっています(笑)。
今回の様な明確な目的がある場合には、キャンピングカーによるクルマ旅は最適です。その対象は日本全国に点在しているので、ルート設定でも、機動力があって宿泊場所やスケジュールにも比較的縛りのないキャンピングカーならば「自由気まま」な旅が可能になります。
国宝五城については、既に多くが、いろんなところで語られているので、今回は、クルマ旅で巡る、つまりオレの走る城で巡る事に重点を置いてご紹介したいと思います。例えば、①ルート ②駐車場 ③車中泊場所・・となります。今回は、全3泊4日の強行軍となりましたので、深掘りはできませんでしたが、皆様のキャンピングカー行軍のご参考になればと思っております。

目次
日本三大湖城の一つ近世城郭を代表する天守 松江城(島根県)

慶長16年完成の松江城天守は、近世城郭最盛期を代表する天守です。派手さはありませんが、12天守中、広さは第2位、高さは第3位、と渋さが光ります。松江城は、決して大きなお城ではありませんが、その作りの良さは、流石は秀吉に普請上手と褒められた堀尾吉晴が築いた城だけの事はあります。
宍道湖の湖岸に建てられていて、日本三大湖城の一つでもあり、天守からは、遥かに宍道湖を臨む事ができます。お城だけでなく、城下町や、お堀り巡り、宍道湖観光など、魅力あふれる松江エリアを散策するのも良いかもしれません。今回、一番遠い松江城から攻めたのは、まだ元気な往路の方が、帰路に長距離を走るより良いとの判断でした。その距離は東京から約770㎞!約10時間の大遠征です。



お城の正面にある駐車場は高さ制限があり、大概のキャンピングカーは駐車できません。近くの物産観光館の無料駐車場もありますが、何か買わないと申し訳ない気分になってしまいます。
お勧めなのは「城山西駐車場」(別図参照)です。ここは無人の24時間駐車場で、ちょっと早くに行っても利用できます。天守閣までは、そこそこ歩きますが、適度な散歩になりますし、途中には小泉八雲記念館などもあるので、立ち寄る楽しみもあります。









さて、松江城から次の目的地である姫路城までは、それなりに距離がありますので、途中で一泊する事にしました。
[車中泊場所] RVパークゆばら湯っ足り広場
丁度、松江と姫路を結ぶ「米子自動車道」の松江から約100㎞弱、約一時間半のところにあります。湯原ICから約5分(約3km)というのも、途中下車には最適でした。全国露天風呂番付で西の横綱として知られ、湯原ダムを眺めながら自然を満喫できる露天風呂「砂湯」(無料・24時間入浴可)や、「湯原温泉郷」の温泉旅館が開放する内湯など湯めぐりも楽しめます。さて、温泉で英気を養って一泊したら、そこから、約130㎞の姫路城を訪れます。


- 所在地
- 岡山県真庭市豊栄1525-1
- 電話番号
- 0867-62-2011 詳細情報はこちら
1346年築城。国宝であり世界文化遺産でもある名城 姫路城(兵庫県)

恐らく、多くの日本人が持っている“立派にそびえるお城”のイメージは姫路城と言っても過言ではありません。時代劇でも、お殿様が優雅にお庭を歩くシーンなどでも、背後にそびえているのは姫路城だったりします。日本人以外もそう思ったのか、世界文化遺産にも選ばれています。
日本における近世城郭の代表的な遺構で、中堀以内のほとんどが特別史跡に、大天守・小天守・渡櫓等8棟が国宝に、74棟の各種建造物が重要文化財に指定、「国宝五城」や「三名城」、「三大平山城・三大連立式平山城」の一つにも数えられていて、まるで、胸には勲章だらけ状態!こんなところにも、その日の宿を気にせず気軽に来れるのはキャンピングカーのお陰です。



こちらの駐車場は広く、しかも、お城の入り口の真ん前にあるので安心です。最初、キャンピングカー料金2,500円にはギョッとしましたが、全長5m未満だったので600円と普通車料金でした。良かった~!




[車中泊場所] 湯YOUパークかんぽの宿彦根
次の目的地の彦根城までは、そこそこ距離がありますが、途中、神戸・大阪・京都と大都市があり、渋滞にハマるのが怖かったので、思い切って彦根まで移動、湯YOUパークかんぽの宿彦根を利用する事にしました。ここは電源も24時間トイレもありませんが(徒歩5分の公園トイレが使えます)、このパークの利点は彦根城まで僅か2.5km約7分という距離です。そして流石はかんぽの宿、その琵琶湖が一望にできるお風呂は最高でした!利用可能台数2台。


- 所在地
- 滋賀県彦根市松原町3759
- 電話番号
- 0749-22-8090 詳細情報はこちら
1622年築城。琵琶湖を臨む天守 彦根城(滋賀県)

政治的象徴としての外観の美しさだけでなく、城本来の機能である軍事面でも優れていると言われているお城です。人間だったら武芸に秀でたイケメンというところでしょうか?
個人的には、まず目を引いたのは、他のお城では見かけなかった「廊下橋」です。大手門と表門からの両坂道を登りつめたところにある「天秤櫓」にあり、戦時には落とされて、山道を上がってきた敵兵が天秤櫓の高い石垣を登らないと本丸へ侵入できないようになっています。このお城に限らず、そのお城ごとに、いろいろな工夫がされていて、それがアートとも言える造形美になっているのがお城の魅力とも言えます。




こちらのお城は、受付開始の8時半直前でないと駐車場に入れません。幸いな事に、入り口から少し離れたところ(と言っても徒歩5分程度です)にある駐車場は、従業員さんの駐車場でもあるので8時半前でも開いていて、そこで待機する事ができました。受付開始直前に入口前の駐車場に移動して入城です。



ゆったり目に見学しても、小一時間だったので、思い切って一気に犬山城に行く事にしました。その距離は80㎞、約1時間半と比較的近く、問題なく同日制覇できます。
1537年築城。木曽川のほとりに建てられた天守 犬山城(愛知県)


ここは、彦根城と同様に上り坂がキツい!!もう心臓が「イジメないで」とバクバクします。それでも、天守閣まで登った時の達成感!傍らを流れる木曽川を眺めながら、そよぐ皐月の風の清々しさといったら最高!でした。
お城も良かったのですが、ちょうどお昼どきなので、どこかにお食事処がないかと街の方まで歩いて行ったら、なんとそこには渋い街並みがありました。これはお城と並ぶ観光スポットです。事前の下調べで知ってはいましたが、やはり実際に行くと、その魅力倍増です。次回はプライベートで来てみたい!そんな思いの勢い余って、クチコミでも評判の鰻屋さんで鰻重を頂きました。








[車中泊場所] 道の駅 小坂田公園
RVパークが多い長野県、特に長野方面は結構、RVパークがあるのですが、松本方面は何故か?RVパークはありません。仕方がないので、松本に一番近い北アルプスの眺望が素晴らしい道の駅 小坂田公園に車中泊する事にしました。
久々に道の駅での車中泊。トイレも綺麗で快適な道の駅でしたが、そこにはバットマナーの人々が。やっぱり健全な車中泊という意味でも松本・安曇野方面にもRVパークの開設が望まれます。

- 所在地
- 長野県塩尻市大字塩尻町1090
- 電話番号
- 0263-52-6414 詳細情報はこちら
1504年築城。北アルプスを借景にした平城 松本城(長野県)

お濠というよりは大きな池の様なお濠を前に佇む松本城には思わずため息がでます。かつて米国ITメーカーA社が新しいノートパソコンの広告に使っただけの事はあります。外見だけではありません。その内部も、単なる軍事施設とは思えない質実剛健の中にも美があります。やはり日本人に生まれて良かったと感じる瞬間です。正に国の宝です。
また、お城の周りには城下町があった名残りでしょうか?今でも情緒豊かな街並みが見られます。お城だけでなく、松本の街も散策しては如何でしょうか?




松本城は街中にある平城で、そこにたどり着くまでに渋滞する事もあるので要注意です。臨時駐車場がお勧めとの事でしたが、現地に行ったらバス駐車場に誘導されました。受付前でも入れますし、お城からも近く、平城が故に、殆ど坂を上るという事がありません。本当に楽ちんです。



全てのお城に共通するポイント
1)思ったよりも、お城見学は時間がかかる
天守まで一気に登って降りてくるのでは味気ないですね。じっくりと、そのお城がある街の風景なども愛でて、当時の武将の様な気分になったりするには時間の余裕が必要です。
2)事前に見学コースを調べる
初めて訪れる場合、駐車場にたどり着くまでが大変です。駐車場に着いたら着いたで、そこから天守閣までの道のりが分からず、思わぬ遠回りする可能性もあります。
3)お城以外にも魅力が!
城周辺には、博物館やお庭など、これまた見逃せない施設もあります。また、大概、素敵な街並みの城下町があり、散策したくなりますし、その土地ならではの名物も食べたくなります。
4)写真撮影は時間帯が重要
お城の位置にもよりますが、朝夕の時間帯は陽が低く、その方角で影が出来たり逆光になったりして撮影が難しい事があります。ビシッと決まったアングルと光加減は、その日の時間帯で大きく差が出ます。
5)お城巡りはダイエット?
運転する事が多いクルマ旅は運動不足になりがちですし長時間の運転はエコノミークラス症候群も心配になります。お城巡りは、適度?な運動をすることになり、観光と健康とダイエットの一石三鳥です。
6)おっさんは、早目の城攻めをお勧め
前述の通り、お城巡りは下手なアスレチックよりも身体を動かします。今回も、ヒーヒー言いながら、お城に来るなら足腰が弱る前だな・・と痛感しました。
以上、如何だったでしょうか?オレの走る城で巡る国宝五城は本当に快適でした。目的をもった旅に、機動力があり自由気ままな旅が可能になるキャンピングカーを使うことが、どれだけ素晴らしいことか!を改めて再認識しました。