キャンピングカーの作り方は、メーカーによってさまざまな方法があります。職人1人が1台ずつ作ったり、各パーツがユニット化され、大量生産するメーカーなどもあります。それぞれ、高品質や効率化を追求して、そのスタイルも進化してきたのです。
そんななか、リバティやファミリーワゴンなどを展開するアネックスでは、基本的なコンセプトを変えることなく、30年以上に渡って、独自のキャンピングカー作りに努めてきたといいます。そのバックボーンを支え続けたのが、1987年に設立された徳島工場です。
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2000坪を超える大規模工場を徳島に
アネックスの徳島工場は吉野川の近く、徳島県吉野川市にあります。創業の地は大阪でしたが、安定した供給体制を作るため、広い工場を作ることになったといいます。当初は700坪の敷地でしたが、すぐに隣接する1600坪の土地を購入。工場は拡張されました。
工場が広くなった頃、キャンピングカー製造も本格的にスタート。豊かな自然に囲まれた環境で「日本のキャンピングカーを創る」をコンセプトに、ユーザーファーストで、技術革新、品質改善、環境への配慮を続けてきたといいます。
自社で作るパネルで軽量化を実現
アネックス徳島工場の特徴は、すべての工程が工場内で完結していることです。家具などに使われるパネルなども、自社工場内で木材をプレスして製造。家具の色やテイストを簡単に変えられる他に、新しい素材を使った軽量化なども積極的に行われています。
アネックスのキャンピングカーを体験すると気づくのですが、強度を保ちながら、軽量化された家具が多いのです。モデルによっても違いますが、テーブルの天板を軽く片手で持てるほど。しかも、しっかりとしていて、たわむことがありません。
高精度な家具を切り出す工作機
完成したパネルは、工場内でカットされていきます。その時、利用されているのが、マシニングセンタ。精度の高いパーツの切り出しが行える工作機で、家具の仕上がり品質を高め、作業効率を上げています。
徳島工場ではマシニングセンタをいち早く導入していて、アネックスのキャンピングカー作りには欠かせない存在となっています。30年以上の歴史がある工場ですが、新しい技術を常に取り入れている体制があるといえるでしょう。
家具の組み込みなど、製造ラインが完成
完成度の高いパーツを連続して製造できることで、製造工程のライン化が可能になりました。パネル製造、カット、家具組み立て、組み込み、と製造ラインが続いています。各作業エリアに専門スタッフが配置できるので、効率化と品質を保てるともいいます。
工場は隣接して2ヶ所あって、バンコンとキャブコンで分かれています。広いエリアには、幼稚園バスなど、キャンピングカー以外の架装車両も停められていました。いろいろなクルマに対応できるように、工場の設備にも工夫が見られます。
例えば、大きなキャブコンにも対応できるように、大型塗装ブースが設置されているのですが、両サイドに高さを変えられる作業用足場スペースが確保されていました。作業しやすい環境を求めた現場スタッフの声が、設備の工夫に反映されているのです。
FRPから縫製まで、すべての工程をカバー
コンポーザーなどではポップアップルーフが採用されています。このポップアップルーフも徳島工場で製造されています。大きな型が必要なので、FRPを外注するビルダーも多いなか、アネックスでは自社工場で製造を行っていました。
内装用の縫製工場も併設しています。エクステイリア、インテリア、すべての工程が行えるので、品質改善もスピーディー。大阪から営業スタッフが工場に訪れて、ユーザーからのフィードバックを伝え、製造スタッフが対応するということも多いようです。
ゾーン分けされたエリア外にも車両が並ぶ
アネックス徳島工場では、架装作業を待つベース車両がずらりと並んでいました。普段はパーツが並ぶ場所にまで、完成車両のキャンピングカーが保管されている状態。それでも、製造されたパーツや冷蔵庫などの装備品が整然と並べられているのが印象的でした。
現在は、キャンピングカーのオーダーも多く、工場は忙しく稼働しているといいます。このような状況でも、もちろん、生産体制を向上させるために、技術革新などにも力を入れています。さらに、高品質のクルマを提供するための品質改善も日々行われているのです。
自社工場を構え、オリジナリティを追求してきたアネックスのキャンピングカー作りですが、なぜそこまで、革新、改善を継続できるでしょうか? それは、ユーザーに満足してもらえるクルマを作りたい、というスタッフたちの思いがあるからにほかなりません。