キャンピングカービルダーの社長は、普段どんなクルマに乗り、どんなライフスタイルを送っているのだろうか? 自らキャンピングカーライフを実践するビルダー社長にスポットを当て、その愛車とライフスタイルを紹介することでビルダーのバックボーンを紐解くのが、本企画の趣旨だ。
今回ご登場いただくのは、バラエティに富んだバンコン&キャンピングトレーラーをラインナップする、愛知のキャンピングカービルダーケイワークス代表の黒田 功さん。大容量ソーラー&リチウムイオンバッテリーを搭載したバンコンや、ガレージハウスのような“映えるビジュアル”のキャンピングトレーラーなど、新たなチャレンジを続けるケイワークスの代表は、どんなクルマに乗り、どんなこだわりを持っているのだろうか。
目次
バイク三昧だった20代半ば
20代半ばから30歳くらいまで、バイク漬けの生活を送っていたという黒田さん。アマチュア国内ライセンスライダーから国際A級 プロライダーへの登竜門「鈴鹿4時間耐久ロードレース」に毎年参戦し、1年中鈴鹿サーキットに通い詰めていた。
もちろん、レース参戦や練習走行にはバイクを運ぶトランスポーターが必須。ハイエースにバイクを積載しサーキットで車中泊をしていた頃の経験が、現在のキャンピングカー製作にも生きているという。
「当時は、100系ハイエースのスーパーロングをトランポにしていました。完全なプライベーターだったので、修理やメンテナンスもすべて自分でこなさなければいけない。練習走行でも前日にサーキットに入って、ピットでバイクのメンテナンスをしてから車中泊するのが恒例でした。就寝スタイルは、純正ハイエースバンのカーゴスペースに家庭用の折り畳みベッドを広げただけ(笑)。あれから長い年月が経って、周囲の環境も乗っているクルマも変わりましたが、やっていることは20代の頃と同じ。バイク時代の経験が、ケイワークスのクルマづくりのベースになっています」
初キャンピングカーは自社のプロトタイプ
20歳から地元の中古外車店で働いていた黒田さんは、25歳で独立してケイワークスを創業した。当時はキャンピングカーではなく、外車の中古車販売が事業のメイン。キャンピングカーの製作・販売をスタートしたのは2009年、黒田さんが40歳の時だった。
「『トランポに使えるバンコンを作りたい』と思って、200系ハイエース・ワイドミドルをベースにしたケイワークス初の8ナンバーキャンピングカー『オーロラ・スタークルーズ』を開発しました。
それまでは外車ばかり乗り継いできましたが、キャンピングカーを製作・販売する立場になったからには、とにかく自分で試してみないと何もわからない。そこで、自分で作った初代『オーロラ・スタークルーズ』のプロトタイプを愛車にして、ユーザーキャンプやクルマ旅でバンコンの性能や使い勝手を体験しました」
その後、ケイワークスのバンコンラインナップは順調に増加。黒田さんの愛車も、3型ハイエースの発表と同時にリリースしたバンベースのクラシックバンへと変化した。
「ずっと『作品のようなクルマを作りたい』と思っていて、それを体現したのがクラシックバンでした。自分が乗っていたのは、当時としてはこれ以上ないほど超フル装備の豪華仕様。このクルマでは、よく渓流釣りに行きましたね。釣り場はたいてい山奥にあるので、オフロードバイクを積んだクラシックバンで行けるところまで行って、最後はバイクを降ろしてポイントまで走る。そんなスタイルでアクティブに使っていました」
目的に合わせて3台のトレーラーを使い分ける
バンコンでキャンピングカーライフを謳歌してきた黒田さんの現在の愛車は、キャンピングトレーラー。自社ブランドトレイルワークスのトイホーラー・ラウンジ、エアストリーム・インターナショナル セリニティー23CB、エアストリーム・ベースキャンプ16Xの3台を所有し、目的に合わせて使い分けている。
根底にあるのは、『自分が扱う商品は自分で試すのが基本』という考え方だ。まずは、愛車のハーレーが積載されたガレージハウス風のトレイルワークス・トイホーラー・ラウンジについて語ってもらった。
「30代でレース活動を休止してから20年経って、最近スズキGSX1000Rでサーキット走行を再開しました。月1~2回ペースでスポーツ走行を楽しんでいるので、トレイルワークス・トイホーラー・ラウンジをトランポ兼ガレージとして使用しています。若い頃からずっと変わらず、バイクは人生に欠かせない存在。トイホーラー・ラウンジは、自分の生きがいであるバイクライフを楽しむための“最高のツール”ですね」
もう1台の愛車、全長約7m(23フィート)のエアストリーム・インターナショナル セリニティー23CBは、定置半分、牽引半分という活用スタイルだ。牽引して出かけるのは、黒田さんがオーナーを務めるひるがの高原BASE。エアストリームのオフ会でユーザーと交流したり、プライベートで訪れたりと、 自分流のスタイルで“エアストリームのある生活”を満喫している。
「アメリカのエアストリーム本社を訪問した時が偶然自分の誕生日で、その場で発注した“誕生記念日”の2017年モデルです。最大の魅力は、エアストリームだけがもつ独特の世界観。クタクタに疲れた時も、そこで過ごすだけでリセットできる特別な空間です。展示場から自宅までは歩いて帰れる距離ですが、展示場に止めたエアストリームに泊まることも結構多いですよ(笑)。ちなみに、国内ではレッドレザーのこのモデルは1台のみです」
「エアストリームの室内空間が大好きだし、1人になりたいときや講演会の資料をまとめるときなど、エアストリームの中だとリラックスして過ごせます。 “自分の居場所”として、なくてはならない空間ですね」
最後の1台は、エアストリームのラインナップ中もっともコンパクトなベースキャンプ16X。その名の通り、アウトドアユースをコンセプトにしたエアストリーム史上最高のアドベンチャーツールだ。
「神社・仏閣めぐりが好きなので、それをメインに活用しています。狭い道でのすれ違いもラクだし、山道も難なく走行できます。トイレ・ボイラー・シャワー・MICROWAVE・エアコンなど、コンパクトでもフル装備で、大人2人と小さなお子様なら2名追加の就寝も可能。近くの河原に行ってのんびりと過ごしたり、鈴鹿サーキットの駐車場に止めて8時間耐久レースを観戦したり、いろいろな用途で活用しています。ボディが小さくて道路事情を気にせず気軽に出かけられるのが、お気に入りのポイントですね」
「ベースキャンプ16xは、30Aブレーカー対応のラインナップとはエアコンの出力が異なり、100v15A の電源で稼働できるので、アウトランダーPHEVの1500W出力でエアコン稼働が一晩中可能です。これで電気に関するすべての問題がクリアされたのは、歴史的な進化だと確信します。
二の字対座シートは、バンコンと同じイメージで6人の団欒やミーティングにも悠々と使え、フルフラット時は室内空間の全面をベッドスペースとして使用可能。悪路も走破できるミニマムサイズのベースキャンプ16xは、まさに『小さな巨人』の名がピッタリです」
アウトランダーPHEVを活用した“電源車スタイル”
黒田さんは、愛車のキャンピングトレーラーのヘッド車にアウトランダーPHEVを使用している。ヘッド車から生活に必要な電気を供給する“電源車スタイル”は、トレーラーだからこそできる新しいキャンピングカーライフのカタチだ。
「大容量のリチウムバッテリーを搭載したアウトランダーPHEVの出力コンセントから、キャンピングトレーラーの生活に必要な電気を確保する。これは、トレーラーならではの画期的なスタイルです。ガソリン車と電気自動車のメリットを融合したPHEVの電力は、まさに無尽蔵。電気が足りなくなれば自動でエンジンスタートして充電しますが、ルーフエアコンをつけっぱなしで一晩過ごしても、電気不足でエンジンがかかったことはないですね。
電気容量を気にせずに生活できるのは、PHV・PHEVをヘッド車に使用できるキャンピングトレーラーならではのアドバンテージ。自分自身がこのスタイルを実践することで、トレーラーの魅力をより多くの人に理解していただければと思っています」
キャンピングカーは人生に欠かせないツール
「キャンピングカーは、『お客様と関りを持つための大切なツール』です。自分自身がキャンピングカーに乗って、多くのユーザーと楽しみを共有する。そこで得た知識や経験をキャンピングカーづくりにフィードバックすることで、より使いやすくニーズに合ったクルマを世に送り出すことができます。
自分の趣味や楽しみをサポートしてくれるキャンピングカーは、『人生になくてはならない大切なツール』でもあります。これからもキャンピングカーライフを楽しみながら、キャンピングカーのマルチな使い方やその魅力を、幅広い層に伝えていきたいですね」