【ビルダー社長のキャンピングカー】MYSミスティック 佐藤 正代表

メーカー・販売店インタビュー
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【ビルダー社長のキャンピングカー】MYSミスティック 佐藤 正代表

キャンピングカービルダーの社長は、普段どんなクルマに乗り、どんなライフスタイルを送っているのだろうか? 自らキャンピングカーライフを実践するビルダー社長にスポットを当て、その愛車とライフスタイルを紹介することでビルダーのバックボーンを紐解くのが、本企画の趣旨だ。

今回ご登場いただくのは、山梨にあるMYSミスティックの佐藤正さん。30年前からトラキャンを乗り継ぎ、現在も自宅に保管したトラキャンを寝室として毎日使用しているという、佐藤さんの“トラキャン愛”に迫る!

MYSミスティック代表 佐藤 正さん
MYSミスティック代表 佐藤 正さん

トラキャンはMYSミスティックの“原点”

佐藤さんの愛車

佐藤さんが代表を務めるMYSミスティックは、バンコンからキャブコン、トラキャン、トレーラーまで幅広い車種の開発・製造・販売を手がける総合キャンピングカービルダーだが、日本唯一の「トラキャン専門店」でもある。日本のキャンピングカー市場において、トラキャンは圧倒的マイノリティ。商売だけを考えれば、人気カテゴリーに焦点を絞ることが常道のようにも思えるが、それでも30年以上トラキャンにこだわり続けてきた理由とは?

GMCシエラ・エクステンディッドキャブ

「単純にトラキャンが好きというのが第一です。もともとピックアップトラック自体がアメリカの文化なので、佇まいが文句なしにかっこいい。キャンパーを降ろして「クルマ」と「キャンピングカー」の2WAYで使える、4WDで走破性に優れている、タイヤが大きくてバーストのリスクが少ない、アメ車のピックアップトラックはパワーがあって走りがいいなど、メリットはたくさんありますが、何よりも自分が “乗っていて楽しくワクワクする”のがトラキャンなんです」

キャンパーシェルランス865

笑顔でトラキャンの魅力を語る佐藤さんの愛車は、もちろんトラキャン! 全長約5600mmのGMCシエラ・エクステンディッドキャブに、本場アメリカのキャンパーシェルランス865を組み合わせた1台だ。これまで30年に渡って様々なカテゴリーのキャンピングカーを経験し、たどり着いたのがこのトラキャンだという。

「トラキャン以外に、アメリカ製のハイラックスのキャブコンやコースターの超ショートをベースにしたワンオフのバスコンにも乗りました。バスコンは走りもいいし、ラクだし、文句のないクルマでしたが、優等生過ぎるというか、自分的に心からワクワクするものがなかった。よく“手のかかる子ほどかわいい”と言いますけど、自分にとってトラキャンはまさにそんな感じですね(笑)」

1994年型マツダ・プロシード

1991年のMYSミスティック創業時から、乗り継いだトラキャンは数えきれないほど。日本におけるトラキャンの歴史は、MYSミスティックと佐藤さんの歴史といっても過言ではない。現在、アメ車のトラキャンの他に1994年型マツダ・プロシードを所有しているが、これも非常に思い入れの深いクルマだという。

「初めてのトラキャンは、MYSミスティックのスタートと同時に乗り始めたダットサン・シングルキャブ・ロングベッド+アメリカ製キャンパーSix-Pacノーブル75。それがすべての始まりです。その後、プロシードを4~5台乗り継ぎ、荷台に「Six-Pacノーブル75」を積んで、暇さえあれば家族とキャンプに行っていました。当時はまだお金がなくて展示会も頻繁には出られなかったので、「家族と遊ぶ目的」が半分、「トラキャンをたくさんの人に見てもらう目的」が半分。自分のトラキャンをデモカーのようにしてあちこち出かけているうちに、輸入トラキャン販売も少しずつ軌道に乗ってきました。プロシードと「Six-Pacノーブル75」は、自分にとっての“原点”です」

トラキャンを寝室として毎日使用

GMCシエラとキャンパーシェル

佐藤さんの自宅には、GMCシエラと荷台から降ろしたキャンパーが並べて保管されている。その光景は、まるでアメリカ!

ランス865

普段はピックアップトラック単体で使用して、キャンプ大会などの時は荷台にシェルを積んでトラキャンとして出動する。驚きなのは、自宅の敷地に止めたランス865を寝室代わりにして、毎日トラキャンのベッドで寝ているということだ。そんなエピソードからも、佐藤さんの“トラキャン愛”が伝わってくる。

ランス865のバンクベッド

「自宅の敷地に降ろしたランス865は、寝室として使っています。家で生活をして、寝る時はキャンパーに移動する。驚く人もいますけど、キャンパーの中は自分にとって“一番落ち着ける場所”なんです。自宅から外部電源を引いているので照明や冷蔵庫、ルーフエアコンも使えるし、自宅のWi-Fiを接続してパソコンも使える。もちろん、快適さだけなら自宅の方がいいに決まってますよ(笑)。でも、やっぱりキャンパーの中が一番落ち着くし、そこで過ごす時間が好きなんです」

ランス865のリビング

一般的なユーザーにとってキャンピングカーは非日常だが、佐藤さんにとってキャンパーでの生活は日常の一コマ。仕事が多忙でなかなかまとまった休みが取れない代わりに、毎日トラキャンで寝ることが生活のスパイスになっているという。

本場アメリカのビッグサイズキャンパー

ランス865車内

アメリカ製キャンパーシェルランス865の室内は、サイズを生かした2ルームレイアウトが特徴だ。高さ1980mmの室内は大人が立って歩け、就寝スペースのベッドルームと生活空間のリビングルームが分かれているため、ロングトリップでもストレスなく快適な生活を送ることができる。

ランス865のキッチン

「機能も重要ですが、何よりアメリカらしいデザインであるとか、良い意味でのおおらかさであるとか、そういった“味わい”や“感覚”が気に入っています」

ランス865のバンクベッドルーム

クイーンサイズのバンクベッドルームは、ランス865の最大の魅力。大人が座れるほどの高さがあり、ベッドサイズも十分過ぎる広さ。マットのクッション性も抜群で、快適性は家と同等かそれ以上だ。

ランス865のトイレ・シャワールーム

エントランスを入って左手には、広々としたトイレ・シャワールームを完備。

ランス865のコンロ

室内中央の左手には、シンク、レンジフード、3口コンロを備えたキッチン、右手には85Lの冷蔵庫をセット。ルーフエアコンも装備され、キャンプから長期の旅まで快適な生活をサポートしてくれる。

バイクで自分だけの時間を楽しむ

2009年型ハーレーダビッドソンFLHTC

佐藤さんは、大のクルマ好きであると同時にバイク好きでもある。所有するバイクの数は、合計8台。新車から乗っている2009年型ハーレーダビッドソンFLHTCは、仲間とのツーリングに使用するほか、時には奥様とタンデムで出かけることも。

佐藤さんのオートバイ

ハーレーのほかにも、BMW R1250GS、ヤマハ・セロー、ヤマハ・トリッカー、ヤマハ・SR400、カワサキ・VZ750などを所有しており、林道ツーリング、近距離、中距離、長距離ツーリングなど、用途や気分に合わせて乗るバイクを使い分けている。

「バイクは、単なる実用ではなく、あくまでも自分の時間を楽しむための乗り物。スピードを出すわけでもなく、マイペースで道や空を感じながら走ると、気分がスッキリします。走ることが好きなので、行き当たりばったりの気ままなツーリングが性に合っていますね」

トラキャンのノウハウを全モデルにフィードバック

キャンパーシェルを操作する佐藤さん

30年以上前からトラキャンに乗り続け、現在も自宅の敷地に保管したキャンパーを寝室として使うほどトラキャンを愛している佐藤さん。

トラキャン

「キャンピングカービルダーとして大切にしているのは、自分がキャンピングカーを好きであること、自分がキャンピングカーを使っていること、クルマが好きであること」

佐藤さんは、輸入トラキャンの販売経験を経て、アルミフレームにアルミサイディングの外壁と木材の内壁を組み合わせた独自の「ボディバス工法」を生み出した。

キャンパーシェルとトラック

MYSミスティックのトラキャン、キャブコン、トレーラーにはすべてボディバス工法が採用され、それが他のどのキャンピングカーとも違う唯一無二の個性を生み出している。30年以上に及ぶ“トラキャン人生”で得たノウハウ。それこそが、MYSミスティックの礎だ。

WRITER PROFILE
岩田一成
岩田一成(いわた・かずなり)

1971年東京生まれ。キャンピングカーライフ研究家/キャンピングカーフォトライター。日本大学芸術学部卒業後、8年の出版社勤務を経て、2003年に独立。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に累計1000誌以上の雑誌・ムック製作に携わる。家族と行くキャンピングカーの旅をライフワークとしており、これまでに約1000泊以上のキャンプ・車中泊を経験。著書に『人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門』がある。

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