
キャンピングカーのバッテリー革命とも言われる、全車種リチウムイオンバッテリー標準装備を実現したケイワークス。その理由は、黒田社長が実際に使ってみたら電源に不安を感じたからだそうです。そこから、目標を定め、勢いよく実現してしまう行動力には驚かされます。
クルマのインテリアを見ても、アメリカンビンテージを感じさせる、デザイン性の高いモデルや、ハイエースのミドルルーフシリーズのラインナップ充実など、ケイワークスらしいクルマ作りがあります。その独自性は創業以来続いているようです。
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上質なトランポを作った先にキャンピングカーがあった

ケイワークスの黒田社長が若い頃はモータースポーツに没頭していたそうです。バイクでサーキットによく通ったといいます。当時は中古車販売に携わっていたのですが、業界に大資本の会社が参入する様子を見て、独自性のある事業への転換を決めました。
当時、キャンピングカービルダーとの付き合いもあったので、バイクレースなどで使えるトランポを作ることになったといいます。できるだけ、豪華なトランポを目指したのですが、結局はそれがキャンピングカーだったのです。
他社にないものを求めてキャンピングカーを作り始める

クルマ作りの基本は他にないものを作ること。後発ビルダーであることを自覚していたので、独自のクルマ作りが必要と感じたそうです。そこで、まず最初に追求したのがデザイン性。
キャンピングカーの価格帯を購入するユーザーは、高級輸入車を購入する層と共通するのではと考え、そんなユーザーが乗ってきたクルマと同じレベルのインテリアが必要と感じたといいます。
地元の家具職人にお願いして作った家具は、3cmの天板を使って重厚感を出し、曲線を多用したデザインで、上質を感じられるものになったそうです。新素材のメラニン素材もいち早く採用して、インテリアの雰囲気は高級感漂うものになっていきます。
今ではセミオーダーシステムを導入していて、ユーザーの好みに合わせたクルマ作りができるようになりました。これは地元の家具職人の協力で、こだわりのオーダーにも柔軟に対応できるようになったといいます。
またベース車両でも、ハイエースのミドルルーフに注目して、コンパクトに移動しながらも、ポップアップなどで広々と使えるクルマ作りに努めました。結果、ナローボディーモデルなども充実のラインアップとなっています。
リチウムイオンバッテリーまでもカスタムメイドできる体制に

ケイワークスらしさを表現するなかで、リチウムイオンバッテリーの存在は大きいといえます。もともと、どのような経緯でリチウムイオンバッテリーを採用することになったのでしょうか。
「少し性能の低いディープサイクルバッテリー搭載のクルマに乗った時、装備を実際に使ってみたら、冷蔵庫ですらまともに使えないのではと感じました。搭載されているバッテリーはインバーターを消し忘れて放電してしまうと、バッテリー自体が使えなくなることもあります。その空になったバッテリーに充電を行うと、バッテリーが膨らんだりして危険もあります。この状況を改善するため、リチウムイオンバッテリーに注目したのが始まりでした」
さらに、リチウムイオンバッテリーなどのバッテリーに強いスタッフが仲間に加わったことで、バッテリーメーカーと直接交渉できるようになり、今ではバッテリーのカスタマイズまでできる体制が整っているそうです。

その成果ともいえるのが、エクスクルーシブなど、ハイエースのナローベースを見ると分かります。コンパクトなボディに、冷蔵庫、電子レンジ、エアコンが付いて、バッテリーは300Aが組み込まれているのに、センターにしっかりとスペースを確保しているのです。
目標はキャンピングカーの品質を向上させること

電源強化を推し進めてきたケイワークスですが、電源関係はさらに進化させる予定とも。ハーネスをカプラー化したり、より高品質な配線を構築するそうです。もう、一般のクルマメーカーの域に達している、といえるのではないでしょうか。
クルマの品質向上とともに、バックオーダーの処理を徹底的に改善することも行われています。各クルマにしっかりとスケジュール管理する表が割り当てられて、日々の進行をチェックしながら、納期が伸びないように、作業を常に改善しているといいます。
7台がずらりと並ぶ新設工場がユーザーの満足度を高める

クルマ作りの体制を強化するために、工場も新たに新設され稼働しています。本社横の道路に面して、ファクトリーのシャッターが並びます。クルマの移動効率も考えたレイアウトだそうです。工場内は広々とスペースが確保され、作業しやすい環境が整いました。

工場の裏手には大きな窓が取り付けられ、作業の様子が見られるようになっています。これは、オーダーした自分のクルマの進捗状況を、ユーザーが見学するためです。工場内もきれいに整頓され、いつでも見学できるように準備されていました。

作業をするスタッフの環境も考えて、工場の設備が整えられています。スポットクーラーがしっかりと設置されていたり、エアホースの配管が作業の邪魔にならないように、天井や柱を通って、動線を遮らない配管構造になっています。

工場内で作業している人がタブレットを操作していたので、のぞいてみると、各車両のスケジュール管理表をチェックしていました。
すべてのクルマの工程表が共有化され、作業の遅れがないか、などを確認しているのです。壁にはWiFiのアンテナが付いていたのは、このタブレットをどこでも見られるようにするためだったようです。
キャンピングカーにとらわれない事業展開

ケイワークスでは、ハイエースなどの自走式キャンピングカー以外にも、福祉車両やトレーラーも独自で開発を行ってきました。その使い勝手は黒田社長自身が体験しながらチェックすることもあるといいます。

最近では、実際に開発したオリジナルキャンピングカートレーラーTRAIL WORKSにレーシングマシンを乗せて、20年ぶりに鈴鹿サーキット走行を実現させたほど。その行動力もアグレッシブです。
独自のデザイン、リチウムイオンバッテリー、新工場の設立など、次々と新しい変革を行ってきたケイワークスですが、その勢いが止まる様子はありません。今後の展開について聞いてみると。
「これからはキャンピングカーの枠にとらわれない事業展開をしていこうと思います。すでに法人とのつながりもできてきて、福利厚生や事務所、店舗、もしもの時の避難場所など、オリジナルトレーラーなども含めて展開が進んでいます。」

ユーザー向けのサービスも展開していて、2021年7月には名古屋から90分という好立地でのキャンプ場ひるがの高原BASEをオープンするそうです。ケイワークスのキャンピングカーユーザーを中心に利用できる施設で、標高が高く、夏でも涼しい環境がキャンピングカーにはうれしいのではないでしょうか。
「社長がキャンピングカーを使ってみて、自ら発信するのが大切」と黒田社長はいいます。デジタルマーケティングも強化するということなので、インターネットでケイワークスの変革をチェックすれば、新しいキャンピングカービルダーの姿が見てくるかもしれません。