![【ビルダー社長のキャンピングカー】リンエイプロダクト 田辺二郎代表](https://camping-cars.jp/wp-content/uploads/2024/01/rinei_interview_01.jpg)
キャンピングカービルダーの社長は、普段どんなクルマに乗り、どんなライフスタイルを送っているのだろうか?自らキャンピングカーライフを実践するビルダー社長にスポットを当て、その愛車とライフスタイルを紹介することでビルダーのバックボーンを紐解くのが、本企画の趣旨だ。
今回ご登場いただくのは、埼玉県川越市に本社を置く老舗バンコンビルダー「リンエイプロダクト」の田辺二郎社長。40年以上もマルチユースのキャンピングカーにこだわり続け、100車種以上のバンコンラインナップを展開してきた田辺さんは、どんなクルマに乗り、どんな楽しみ方をしてきたのか。その愛車遍歴から、リンエイプロダクトのルーツを紐解く。
![リンエイプロダクト代表取締役 田辺二郎さん](/wp-content/uploads/2024/01/rinei_interview_02.jpg)
代表 田辺二郎さん
クルマ人生のスタートは高校時代
田辺さんが初めての愛車を手に入れたのは、高校の工業科に通っていた昭和30年代のことだった。父親が自動車関連(タクシー)の会社を経営していたこともあり、幼い頃から常にクルマが身近にある生活を送ってきたという。「最初の愛車は、マツダのR360クーペ。当時は自動車通学がOKだったので、R360で毎日学校に通って校庭に駐車していました。クルマで通学していたのは、校内でも3~4人くらいしかいなかったんじゃないかな」。その後、大学に進学してからは、解体屋で見つけたボロボロのヒルマンミンクスを格安で手に入れ、コツコツと直して乗っていたそうだ。
![車内で話す田辺さん](/wp-content/uploads/2024/01/rinei_interview_03.jpg)
学生時代からクルマに慣れ親しんだ田辺さんが、車中泊をスタートしたのはサンヨーでカドニカ電池の営業をしていた昭和50年代。当時の愛車は、三菱自動車が販売していた初代のデリカバンだった。「幼稚園にあがる前の子供2人を乗せて、よく車中泊をしました。車中泊といっても今みたいに便利なグッズはないから、リアシートをたたんで床に段ボールとシュラフを敷いて寝るだけ。若い頃から登山でテント生活を経験していたから、それに比べるとデリカでの車中泊は快適そのもの。車中泊をしながら外で子供とバーベキューをしたりして、クルマを使ったアウトドアライフを楽しんでいました」。
初めてのキャンピングカーはデリボーイ
田辺さんがリンエイプロダクトを創業したのは、1980年。当時はキャンピングカー専門店ではなく、クロカン4WDの足回りパーツ取り付けやバニングの製作をメインに行うオールジャンルのカーショップだった。プライベートでは、BJ40ランドクルーザーで富士山麓のオフロードを走り回ったり、初代ライトエースワゴンで車中泊をしたりと、充実したカーライフを満喫。4WD&車中泊好きが高じて、FJ55/56ランドクルーザーのキャンピング仕様を手がけるなど、リンエイプロダクトの業務も少しずつ8ナンバー登録車両の製作・販売へと舵を切り始めた。
![記事に紹介されているデリボーイ外観](/wp-content/uploads/2024/01/rinei_interview_04.jpg)
![記事に紹介されているデリボーイレイアウト](/wp-content/uploads/2024/01/rinei_interview_05.jpg)
その後も、初代デリカスターワゴン~80ランクル~71ランクルなど、アウトドアと親和性が高いクルマばかりを乗り継ぎ、林道走行や車中泊を楽しんできた田辺さん。1985年には店舗を現在の場所に移転して、キャンピングカー製作・販売が業務の中心となり、「周りがそろそろキャンピングカーに乗れというから(笑)」と、愛車をトヨタのウォークスルーバン・デリボーイのキャンピングカーへと乗り替えた。「キャンピングカーというよりは、旅グルマがコンセプト。リアの右手にベッド、左手にギャレーを装備して、冷蔵庫は船舶用を使っていました」。レイアウト的には、リンエイプロダクトの現行モデル「マイクロバカンチェス・ひとり旅」とほぼ共通。田辺さんが30年以上前に愛車として乗り回していたデリボーイのノウハウが、現行モデルの内装作りにもしっかりと受け継がれているのだ。
![マイクロバカンチェス・ひとり旅外観](/wp-content/uploads/2024/01/rinei_interview_06.jpg)
![マイクロバカンチェス・ひとり旅のインテリア](/wp-content/uploads/2024/01/rinei_interview_07.jpg)
日本中を1人旅して-30℃の極寒も経験
![過去の愛車](/wp-content/uploads/2024/01/rinei_interview_08.jpg)
田辺さんの愛車は、リアシートを外してデリボーイと同じレイアウトに仕上げた、8ナンバーのエスティマルシーダを経て、現代バンコンのメインストリームである200系ハイエースへと移り変わっていった。ベースは、標準ボディS-GL。純正リアシートを取り外して右に横向きシート兼ベッド、左にギャレーを配したレイアウトは、これまで乗り継いできたデリボーイやエスティマルシーダとまったく同じ仕様だ。「1人旅には、このレイアウトが一番便利。それまで乗ってきたキャンピングカーと同様に、道の駅や高速道路のSA・PAを使って、温泉メインの気楽な1人旅を楽しみました」。
その後、ハイエース・スーパーロング~キャラバンと乗り継いで日本中を旅してきた田辺さん。「北海道や四国、九州など、日本全国をキャンピングカーで制覇しました。冬の北海道では、-30℃の極寒を経験したこともあります。キャラバンは事故で廃車になりましたが、8年間で走行距離は38万km。自らキャンピングカーを使い倒して、そこで得た経験やノウハウをバンコンの内装作りにフィードバックする。それが、長年変わらないリンエイプロダクトのキャンピングカーづくりの基本です」。
現在の愛車は「ふたりのくるま旅プライベート」
![田辺さんの現在の愛車「スーパーロングバカンチェス・ふたりのくるま旅プライベート」](/wp-content/uploads/2024/01/rinei_interview_09.jpg)
田辺さんの現在の愛車は、ハイエース・スーパーロングをベースにした「スーパーロングバカンチェス・ふたりのくるま旅プライベート」。
![運転席の田辺社長](/wp-content/uploads/2024/01/rinei_interview_10.jpg)
昨年9月に納車されたばかりだが、取材時の12月時点ですでに走行距離は1万5000kmオーバー!「いまだに1年で5~8万kmは走る」という田辺さんは、ビルダーの社長であると同時に、1人のキャンピングカーヘビーユーザーでもあるのだ。
![スーパーロングバカンチェス・ふたりのくるま旅プライベートの車内](/wp-content/uploads/2024/01/rinei_interview_11.jpg)
広大な室内空間の中央右手には2人がけの対面ダイネット、リアには広々としたベッドを配置。食事や休憩で使用するダイネットスペースと就寝のためのベッドスペースが明確に分かれているので、夫婦ふたり旅でも互いのプライベートを尊重しながら過ごせる。
![スーパーロングバカンチェス・ふたりのくるま旅プライベートのベッド](/wp-content/uploads/2024/01/rinei_interview_12.jpg)
リアエリアにマットを敷き詰めれば、ダイネットを展開しなくても2名が就寝できる広々としたベッドスペースになる。標準装備のセンターカーテンで空間を仕切れば、2ルーム仕様として夫婦それぞれの時間を過ごすことも可能だ。リア右手のキッチンキャビネットには、シンクと上蓋式40L冷蔵庫をスマートにビルトイン。電子レンジも標準装備となる。
![スーパーロングバカンチェス・ふたりのくるま旅プライベートの収納](/wp-content/uploads/2024/01/rinei_interview_13.jpg)
センターエリアの左サイドには、小物入れ収納ボックスを備えたクローゼットを完備。衣類や生活小物を整理して収納でき、長期の旅でもすっきりとした室内で快適な生活を送れる。
![スーパーロングバカンチェス・ふたりのくるま旅プライベートのシューズボックス](/wp-content/uploads/2024/01/rinei_interview_14.jpg)
![スーパーロングバカンチェス・ふたりのくるま旅プライベートの引き出し収納ボックス](/wp-content/uploads/2024/01/rinei_interview_15.jpg)
助手席後方には、大容量のシューズボックスが装備されている。スライドドアの右手には、衣類やタオルを入れるのに便利な引き出し収納ボックスと傘立てもセット。実際にクルマ旅を経験した者にしかわからない、“かゆいところに手が届く装備”が随所に盛り込まれている。
![スーパーロングバカンチェス・ふたりのくるま旅プライベートの食器セット](/wp-content/uploads/2024/01/rinei_interview_16.jpg)
ダイネットシート下の引き出しには、夫婦で使うのに最適なリンエイオリジナル食器セットも用意されている。キャンピングカーのほかにセーリングクルーザーも所有する田辺さんが、優雅なマリンライフをイメージしたこだわりの装備だ。
![スーパーロングバカンチェス・ふたりのくるま旅プライベートのエアコン](/wp-content/uploads/2024/01/rinei_interview_17.jpg)
リアエンド上部には、オプションのDC12Vクーラーをスマートにインストール。真夏でも暑さを気にせずに、快適なクルマ旅を楽しめる。
キャンピングカーは“空気”のような存在
キャンピングカー製造・販売を生業とし、プライベートでも数々のバンコンを30年以上乗り続けて日本中を旅してきた田辺さん。自身にとって、キャンピングカーとはどんな存在なのだろうか。
![車内で話す田辺社長](/wp-content/uploads/2024/01/rinei_interview_18.jpg)
「仕事だから乗っているというわけではなく、私にとってキャンピングカーは、あって当たり前の空気のようなもの。休日は家でじっとしていられない性分なので、必ずどこかに出かける。そんなライフスタイルには、予約不要でいつでも出かけられて、安上がりに旅ができるキャンピングカーが必需品です。乗用車よりも乗りやすいし、災害時も安心。こんなに頼りになるクルマは、他にないですよ。ここ10年くらいはだいぶ時間に余裕ができたので、北は北海道から南は九州まで、1カ月くらいかけて気ままなクルマ旅を楽しんでいます。定年後の“濡れ落ち葉”対策にも、キャンピングカーはおすすめですよ(笑)」