トラキャン、自走式で人気のMYSミスティック社から初のトレーラーがデビュー!

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トラキャン、自走式で人気のMYSミスティック社から初のトレーラーがデビュー!

欧米で人気のキャンピングカーといえばトレーラー。だが、日本での普及率は、近年上昇しつつあるとはいえ、まだまだ高くはない。理由はいくつか考えられるが「コンパクトなトレーラーが少ない」というもそのひとつではないだろうか。
そんな日本の市場に、初のトレーラーで一石を投じようとしているのが、山梨県のキャンピングカービルダー、MYSミスティック社だ。

トレーラーがなかなか普及しない日本

MYSミスティックのレジストロ・クコ

現在日本で販売されているキャンピングトレーラーはほとんどが輸入車だ。免許制度の違いなどから、欧米では大きなトレーラーがほとんどで、日本に輸入されているモデルは本国での最小モデルだったり、日本向け特注モデルだったりする。キッチンやトイレなどしっかりした装備を持っている反面、トレーラーだけで大型ワゴン車を上回るサイズだったりもするので、初めて見る人は圧倒されてしまう。「こんな大きいもの、引っ張って運転なんて無理です!」と腰が引けてしまうのだ。車両重量もけん引免許不要の750kgギリギリで、引く車(ヘッド車)も1800ccは以上ないと難しい、という事情もある。

そんな状況に挑戦するかのように、新モデルが登場した。MYSミスティック社が発表したレジストロ・クコだ。
車両サイズは全長3,525mm×全幅1,700mm。軽自動車より少し大きく、トヨタ・ビッツやホンダ・Fitなどと、ほぼ同じサイズに収まっている。
「とにかくキャンピングカーの世界に親しんでもらうために、ハードルを下げなくちゃいけない。ミスティックとしての一つの答えが、レジストロ・クコなんです」と同社の佐藤 正社長は胸を張る。

レジストロ・クコの魅力的な装備

レジストロ・クコの外装

同社で人気のコンパクトキャブコン、レジストロシリーズと同様、強度抜群のオリジナルのボディバス工法が採用されているレジストロ・クコ。独特のプレスが施されたアルミプレートと、サイドからトップへとラウンドしたルーフの形状も、自走式レジストロから踏襲されている。

レジストロ・クコの内装

インテリアもレジストロシリーズに準じたアーリーアメリカン調だ。ナチュラルな配色のウッディな室内は、フロント側にキッチン、リアにコの字型のダイネットが配されている。就寝定員は3名(ベッドサイズ1,640mm×1,800mm)。カップルや、子ども1人までだったら十分な広さだろう。

レジストロ・クコのベッド展開

前方のエントランスから一歩入ると、左手には下駄箱や集中スイッチが。キッチン周りには、小さいながら収納もあり、使い勝手は良さそうだ。室内全体としては収納は少な目だが、トレーラーであることを考えるとむしろその方がよい、とする考えに行きつく。まず、けん引されて走るトレーラーの重量は少しでも軽量にしておきたい。収納を作ればものが入り、それだけ重量は増える。また、トレーラーの側に収納がなくても、ヘッド車に荷物を積むことだってできる。重たいものを引っ張るのがいいのか、荷物は手元に積んで、軽快に走るのがいいのか。燃費や安全運転の側面からも、割り切って考えるのが賢明なように思う。

レジストロ・クコの収納

頑丈な家具 なのに軽量?

レジストロ・クコのキッチン

一方、家具類が頑丈なつくりなのは、ちょっとした驚きだ。輸入トレーラーの中には、なんとかけん引免許不要の車両重量750kgになんとか収めるために、家具類の素材を極限まで薄くしている場合がある。するとどうしても家具は華奢に、弱くなる。レジストロ・クコの家具は無理に板厚を薄くすることもなく、耐久性も十分。家具が重ければ当然、重量の面では不利になるはずだが、総重量はなんと490kg。それもこれも、軽くて丈夫なアルミフレームを用いたボディバス工法のおかげだろう。
車重が軽く仕上がった結果として「軽自動車でもけん引できる」と佐藤社長。実際、スズキ・ラパンにヒッチメンバーを装着して、自らキャンプに出掛け、テストしてみたという。その結果は…?
「軽自動車でもけん引はできますが、やはりパワーに余裕はありません。軽で牽くならターボ車が良いでしょうね。軽を強くお勧めは致しませんが、維持費を考えると魅力はありますよね(笑)」
正直な回答である。ちなみに軽は軽でもスズキ・ジムニーなら、車体も頑丈でエンジンパワーもあるので例外だとのこと。

レジストロ・クコと軽キャンパー

実際にけん引してみた

マツダ・CX-8とレジストロ・クコ

今回の取材では、マツダ・CX-8でレジストロ・クコをけん引してみた。CX-8は国内でヒッチメンバーを純正オプション設定されている数少ないモデル。今回使用した2.2Lのクリーンディーゼルエンジン(※)は、パワフルでトレーラーを牽いていることを忘れそうだ。
※CX-8には2.5Lのガソリン・ターボの設定もあるが、なぜかヒッチメンバーの純正オプションは設定されていない。

マツダ・CX-8とヒッチメンバー

高速道路を走行してみる。トレーラーの安定性も良好だ。レジストロ・クコでは国産シャシーメーカーのシャシーを採用しているが、そこにはショックアブソーバーの設定がなかった(通常、トレーラーには走行中、乗車できないので、乗り心地を追求する必要がないのだ)。だが、ミスティック社では走行安定性の向上のため、オリジナルのショックアブソーバーを追加したという。その結果が、高速道路のちょっとしたバンプでもふらつかない安定性に直結しているといえるだろう。

それでも、冷蔵庫(オプション)やツインバッテリー(鉛式サブバッテリー。標準はシングル)を装備したい場合には、オプションで強化シャシーを選ぶとよいだろう。重量が加われば、運転時の安定性にも、ヘッド車への影響も大きくなる。小型・軽量に設計されているレジストロ・クコといえども、ヘッド車の乗り心地にも影響があるはずだ(今回のCX-8のように大きな車でない限り)。

マツダ・CX-8とレジストロ・クコの高速道路走行

コンパクトカーでも気軽にけん引できるサイズ&軽量さで使い勝手の良い、レジストロ・クコ。それでも居室の広さは自走式レジストロと同等か少し広いほど。キャンピングカーと乗用車の2台持ちよりもランニングコストのかからないトレーラーは賢い選択肢と言えるだろう。
レジストロ・クコの本格的なお披露目は、1月31日から幕張メッセで開催されるジャパンキャンピングカーショー2020にて。 「トレーラーは無理!」なんて言わずに、ぜひチェックしてみてほしい。

MYSミスティック レジストロ・クコ諸元

寸法(mm)
全長3,525 × 全幅:1,700 × 全高:2,240(mm)
定員
就寝定員3名
価格
2,398,000円(税込)~ ※トレーラー単体価格
WRITER PROFILE
渡部竜生
渡部竜生(わたなべ・たつお)

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫7匹とヨメさんひとり

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