
カトーモーターからPicasso Re Designとのコラボレーションキャンピングカー「PABLO」が発売されました。芸術家パブロ・ピカソの作品を後世へ伝えようとするムーブメントのなかで生まれたPicasso Re Design。その正式なライセンスを取得して、特徴的なグラフィックも描かれた5台限定のモデルとなっています。
ピカソとキャンピングカーという異色のコラボレーションですが、そこにはカトーモーターの思いが込められていました。職人が作り出す美しいインテリア空間とアートが融合して、新しいキャンピングカーの世界が生まれました。今回はカトーモーターの新しい挑戦も含めて、このPABLOの魅力をリポートします。
目次
アートをまとったハイエースキャンピングカー「パブロ」
ハイエースキャンピングカーパブロを初めて見ると、エクステリアに施されたグラフィックデザインに目が留まります。ピカソが残したリトグラフの平和の鳩が描かれています。ピカソといえば「ゲルニカ」などにみられるカクカクとした作風のキュビスムが有名ですが、戦後に移り住んだ南フランス・ヴァロリス時代にはこのような優しいタッチの作品を残しています。
平和をモチーフにした鳩はピカソにとっても思い入れの深い存在で、作品によく登場してきます。どこか南フランスのゆったりとした自由な空気を感じるのではないでしょうか。そんなふわっとしたグラフィックを採用して、キャンピングカー全体の印象も優しさに包み込まれているようです。
グラフィックはインテリアにも散りばめられています。シート部分には刺繍で鳩の絵が描かれていました。全体的に明るい生地を採用しているので、インテリア空間も明るい雰囲気になっています。このグラフィックも存在感を強く主張するのではなく、バランスよく配置されているのがスマートさを感じます。
シートの刺繍以外にも壁や冷蔵庫の扉などにも、ピカソの絵が描かれています。リビングエリアとリアのスペースを分けている壁には、こちらもピカソの晩年と言われるヴァロリス期に描かれた優しいタッチのグラフィックが描かれています。さりげなく目に入ってくるので、絵を意識することなく、無意識にゆったりとした気分にさせる効果があります。
今回のパブロはカトーモーター創業70周年と画家パブロ・ピカソの生誕145周年が重なった2025年に誕生しました。カトーモーター代表加藤健資さんは「ピカソの革新性に触発され、私たちも"常識にとらわれない車づくり"に挑みました」とその開発の経緯を語っていました。
生活のなかにアートがあることで生活に潤いがもたらされるように、キャンピングカーの生活にもアートがあってもいいのではないか、という新しい発想があったのです。
ハイエースワイドロングミドルを全高2320㎜としたバンコン
カトーモーターのキャンピングカーといえば、ナラ材天然木を採用し、職人が仕上げた木の温もりある家具が有名です。新潟県のメーカーということで断熱対策もしっかりと施されていて、快適な空間を提供していることも、カトーモーターのキャンピングカーの特徴といえるでしょう。
パブロのベース車両はハイエースのワイドロングミドルルーフです。ハイルーフが架装されており、全高は2320mmあります。室内のヘッドクリアランスに余裕があり、車内での移動もストレスフリー。しかも、全長4840mm、全幅1950mmというサイズも絶妙で、街中でも運転しやすいサイズとなっています。
サイドのエントランスから入るとキッチンエリアがあります。シングルの大きなシートが設置されていて、フロント側だけでくつろぐことも可能です。このシートには電動でリクライニングするカトーモーターオリジナルの「ソラノシート」を採用。メモリ機能付きで、簡単にベストなシートポジションへのセッティングができるのがポイントです。
リア側には、ベンチシートとマルチルームがレイアウトされています。ベンチは引き出すだけで簡単にベッドにすることができて、上段にもベッドを展開して二段ベッドとして使うことができるのです。リアのマルチルームは内寸で920×375〜580mmもあるので、バンコンながら広々としています。
マルチルームにはトイレなどを設置しておいてもいいでしょう。入り口は1250×452mmあるので、スムーズに出入りができます。さらに、スライド式のドアを採用したことで、ベッドを展開していてもマルチルームへのアプローチがしやすいのです。早朝、他の人が寝ている時に着替えをしたり、いろいろな用途に使えそうです。
限定5台の「パブロ」と広々としたリビング空間の「TIPTOP」の存在
パブロの最大の特徴はパッセンジャーを優しい気持ちにさせてくれるグラフィックと広々とした空間、そして運転のしやすいコンパクトなボディです。その広い空間を作っているのが、このルーフの形状。カトーモーターのTIPTOPというモデルと同じ機構で、パブロはTIPTOPの特別バージョンといっていい存在。広さを確保しながらドライビングのしやすさを追求したスタイルです。
ハイエースの場合、ハイルーフでワイドボディを選択すると、スーパーロングしかないので、全長が5380mmになってしまうのです。この40cmの差はホイールベースの差にもなってきて、クルマの取り回しに大きく影響してきます。だからこそ、高さを確保しながら全長を抑えるために、天井を架装して、このサイズ感を実現しました。
室内のレイアウトはワイドボディを最大限に生かして、縦置きベッドにフロントキッチンを備えつつ、7〜8名乗車を実現しました。エントランス奥にあるのはキッチンエリアで、奥行きのあるテーブルトップにシンクが備え付けられていて、その上部には標準装備の電子レンジがあります。
キャビネットには冷蔵庫が内蔵されていて、フロント側からの取り出しができ、エントランスの外からもドリンクが取り出しやすい便利な位置。しっかりと動線が確保されていて、ストレスを感じることがありません。
カトーモーターのキャンピングカーは高い断熱効果があることで有名ですが、昨今の気象状況の変化もあり、夏場の車内環境を快適に保つためにはエアコンが必須という状況です。もちろんパブロにも家庭用エアコンがオプションで設置できるようになっていました。リア後方に設置されていて、マルチルームがあるにも関わらず、車体に対して前向きに設置されていました。
ルーフ部分の立ち上がりを利用しながら、ワイドボディの恩恵を活かしてこの位置に設置できるようになったのでしょう。前向きに設置されたことで、冷気が車内全体に循環しやすくなり、冷却効率も上がります。
キャンピングカーを簡単に比較できるWEB見積もりシステム「キャンミツ」が始動
パブロはピカソの革新性から生まれたモデルでした。この取り組みはカトーモーターのキャンピングカー製造にとどまることなく、会社としての取り組みをも表しているようです。その1つが革新的な見積もりシステム。
カトーモーターのホームページには、自動見積もりができるシステムがあります。実はこのシステムが発展して、プラットフォームとして始動するそうです。そのサービスの名前は「キャンミツ」。インターネット上でさまざまなメーカーのキャンピングカーを見積もりできるシステムだそうです。2026年の春には運用できるように準備しているといいます。
キャンミツがどのような形になるか公表されていませんが、カトーモーターのホームページ上にある自動見積もりでその内容を確認できます。
ユーザーはまず、車両の大枠を設定します。キャンピングカーメーカーのスタッフが最初に聞いてくる、どのようにキャンピングカーを使うか、という質問と同じです。乗車定員、就寝定員、そして、特徴をセレクト。すると、データベースから車両がソートされ、まずは車両を選ぶことになります。
車両を選んだ後は、ボディカラーからオプションまで、細かい仕様を選んでいくのです。すると最後に見積もりが完成するという仕組み。大体の車両価格が分かるのが便利です。ローンのシミュレーションもあって、キャンピングカー購入がグッと身近に感じることでしょう。
このシステムがいろいろなメーカーで使えるようになれば、さまざまなクルマを同時に検討できるようになります。さらに、ショールームに行きづらかったり、キャンピングカーショーの会場で見積もりをすることに抵抗がある人なども気軽に見積もりを手にすることができるのです。しかも、自宅でできるのもポイント。
こんなに便利なサービスですが、自社のみで運用する方がメリットがあるのでは、と考えてしまいます。カトーモーター代表加藤健資さんは「キャンピングカーに興味があっても、なかなかメーカーにアプローチできなかったりする人も多いのが現状です。もっと、多くの人がキャンピングカーを気軽に検討できる環境があれば、キャンピングカー業界全体がもっと成長するのではと考えています」と語ってくれました。
キャンピングカー、そして、そのマーケットに何が必要なのか、革新的なアイデアがそこにあったのです。
PABLO諸元
- ベース車
- ハイエース ワゴンGL
- 車体サイズ
- 全長4,840mm/全幅1,880mm/全高2,320mm
- 定員
- 乗車定員8名/就寝定員3名
- 価格
- 9,771,300円~



