ハイエースなどのバンをベースにしたバンコンにとって、ベース車両選びは重要です。広い室内空間がほしい、駐車場に入る高さに制限がある、生活圏内の道路が細いので、運転しやすい大きさがいいなど、使う人の環境によって、求められるクルマの特性が変わってきます。
自動車メーカーも、このような人それぞれの要望に応えられるように、さまざまなサイズを同一車種でラインアップしています。ハイエースやキャラバンでは、標準ボディ、ワイドボディ、ロング、ハイルーフなど、多数の組み合わせがあります。
しかし、キャンピングカービルダーにとって、自動車メーカーが用意しているモデルすべてに対応したラインアップを揃えることは難しいのが現実です。室内空間が横や縦に数センチ広がっただけで、家具の設計図はすべて作り直さなければなりません。
それでも、人気のモデルでは、ユーザーから多様なモデル展開の要望が多く集まります。その声に応えるように生まれたのが、レクビィが作るソランのハイルーフバージョンでした。
目次
ペットと一緒に旅行するために生まれたバンコン「ソラン」
バンコンの老舗ビルダー、レクビィが作るソランはペットと一緒に楽しめるキャンピングカーとして、高い人気を得ています。
これまでは、車幅が1740mmの標準ボディで全高が1995mmの標準ルーフ、車幅が全幅1925mmのワイドボディで全高が2115mmのミドルルーフの2種類がありました。それに加えて生まれたのが、標準ボディで全高が2360mmあるハイルーフモデルです。
ソランはわんちゃんなどのペットと一緒に旅行することを想定していて、引っ掻き傷に強いファブリックを採用したり、ペット向けのオプションなども用意されています。また、常に快適な環境を提供するために、家庭用エアコンを装備しているのも特徴です。
今回登場したハイルーフは車内高が約1600mmもあるので、室内での移動も楽々。椅子に座っていると広がりのある開放感を感じて、その広さを実感できます。両サイドにオーバーヘッドシェルフが設置されていますが、圧迫感もなく、収納力を高めています。
レイアウトはフロントセクションにキッチンや冷蔵庫が配置されていて、リア側にソファなどがあるリビングエリアになっています。車幅がコンパクトな標準ボディですが、フロントからリアまで抜けるような空間が広がっていて広さを感じます。
リビングにはベンチシートとシングルシートが組み合わされ、レクビィらしいレイアウトが完成しています。テーブルはシングルシート側に設置されているので、室内のセンターラインに動線が確保され、スムーズに車内を歩き回れるのも特徴といえるでしょう。
ハイルーフを有効に活用したハイエースバンコンのインテリア
スライドドアのエントランス付近にシンクが設置されています。キッチンとしての利用に加えて、シャワーヘッドを延長することで、アウトドアでのシャワー利用も可能となっています。つまみや蛇口の位置は外からでも使いやすい位置に設置されていました。
コーナーにはカップホルダーがあり、セカンドシートの人にとっては便利に使えそうです。その横には、カウンタートップ部分に穴が空いていて、ハンドルのようにつかむことができるようになっていました。ここは乗り降りの際のサポートとしても使えて、ペットのリードを繋げておくこともできるのではないでしょうか。
エントランス正面の奥にはカウンターが設置されています。広めの作業台になっていて、冷蔵庫や電子レンジが内蔵されたキャビネットがあります。収納スペースも確保されていて、特に調理の時などは、便利に使えるのではないでしょうか。
運転席の上部には収納スペースとなるドライバーズシートアッパーヘッドシェルフが設置されています。ベース車両のハイエースに標準装着されているリアクーラーユニットを移設することで、このスペースが生まれました。
ボディの左側後方には、レクビィの定番ともいえる、シングルシートを設置。セカンドシートはフロント側に向けることができて、走行時はしっかりとシートベルトを装着できるようになっています。
最後部のマットを利用することで、シングルシートの対面対座レイアウトが完成します。コンパクトな折りたたみ式テーブルが設置されていて、食事をしたり、デスクワークをするのに役立つことでしょう。右側のベンチシートからも手が届く位置なので、テーブルを囲んで、大人数で利用することも可能です。
標準ボディでは右側後方の窓部分にエアコンが設置されていましたが、ハイルーフモデルでは窓がそのまま残っていて、開放感ある空間になっています。上部にはハイルーフによって生まれたスペースを有効活用したオーバーヘッドシェルフが設置されています。
キッチンエリアとリビングスペースを隔てる壁にTVが設置されていました。アームによって画面の向きを変えられるので、どのエリアからでも視聴しやすい位置に調整できます。調理をしながら、食事をしながらなど、フロントからもリアからも見やすい位置といえるでしょう。
ベンチシートは標準ボディと同じ作りです。背もたれを移動するだけでベッド展開ができるようになっていて、シンプルで使いやすい仕様になっています。リア側のマットはフロント側に向けて、リクライニングシートのように角度をつけることができるので、足を投げ出したカウチスタイルの利用も可能です。
また、この立ち上がった背もたれを倒すことで、簡単に就寝スペースを確保できることから、疲れた時のちょっとした即席休憩スペースとして利用するのもいいでしょう。
リアのフロント側に倒れるリクライニング機能付きマットは、両サイド、センターで3分割されています。左側はシングルソファーの背もたれとして利用していますが、ベッド展開時には3つをそれぞれ立ち上げることで、背もたれ付きのベッドマットとしても利用できます。
また、リアに高さのある荷物を載せる時、このシートを垂直に立ち上げることで、リアのラゲッジスペースの上部に空間を確保することもできるのです。
ペットとの快適な車中泊を実現するバンコン「ソラン」の充実装備
ソランには一般的なキャンピングカーではオプション設定となっている、FFヒーター、電子レンジ、家庭用エアコン、TVシステムが標準で装備されています。上質なキャンピングカーライフに必要なアイテムがほとんど装備されているのです。
この上の写真にある家庭用エアコンも標準装備される設備です。標準装備だからといって、安価なエアコンを装備するのではなく、デザインセンスに優れた高品質モデルをセレクトしているところがポイントです。
標準ルーフではエアコンが右サイド後方に取り付けられていましたが、ハイルーフモデルではリアの上部へ取り付けられています。右サイドへの取り付けにはエクステンションパネルが使われていましたが、エアコン設置場所が上部へ移設したことで、このパネルも不要となり、窓がそのまま使えるようになっています。
ペット用に引っ掻き傷に強いファブリックを使用している以外にも、ペットとの旅行がしやすくなるようなギミックも随所に見られます。おそらく、ペットとの旅行を想定して、その使い勝手を考えながら家具が作られたのではないでしょうか。
キッチンエリアの下にはステンレスのプレートが取り付けられ、専用のカーペットでカバーされていました。カーペットは取り外して洗浄可能で、ステンレスプレートも水に強いので、ペットのためのエリアとしても十分に活用できることでしょう。
そして、フロントシートの間には、ペット専用シートともいえるエリアがオプション設定されています。軽くフチが立ち上がったボックス形状で、ペットがくつろげるスペースを確保。この設備にも、シート同様引っ掻き傷に強いファブリックが使われていて、耐久性の高いものになっています。また、センター部分は取り外しできるようになっていて、汚れたら簡単にクリーニングできるのもありがたいです。
ペットと一緒に旅行するために、空調からファブリックまで、高品質な設備を最初から整えたことで、キャンピングカーとしての機能性や質感も高いものとなったソラン。その快適な空間が、ハイルーフ仕様の登場により、より開放感を得ることになったのです。
ソラン標準ボディハイルーフ諸元
- ベース車両
- ハイエース ロングバン 標準ボディ ハイルーフ
- エンジン
- 2.0Lガソリン/2.8Lディーゼル
- 駆動形式
- 2WD/4WD(ディーゼルのみ)
- 車体サイズ
- 全長4,695mm/全幅1,740mm/全高2,360mm
- 定員
- 乗車定員5名/就寝定員3名
- 価格
- ¥7,678,000~