バンコンのベース車両はハイエースとキャラバンが一般的です。なかでもハイエースの占める割合は高く、多くのハイエースモデルが各社から販売されています。エンジンサイズなど、ハイエースに有利なポイントがいくつかありましたが、サイズ感はほとんど変わりがなく、ブランドの好みで選ぶ人もいるようです。
しかし、2022年にキャラバンのディーゼルエンジンが変更されたことで、その性能が向上する結果に。トルクフルな特性を持ち、エンジンの音も静かになりました。たくさんの荷物を運ぶ、キャンピングカーや車中泊車両に適したパワートレインは注目されているのです。
そんな、新しいキャラバンをベースにニューモデルを開発したのが、ケイワークスです。ケイワークスはハイエースのバンコンをたくさん扱ってきましたが、今回はキャラバンのサイズ、パワーなどに注目して、新たなコンセプトのモデル「ARTISAN CARAVAN(アーチザンキャラバン)」を完成させました。
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車内で長時間過ごすことを考えたキャラバンをベースのキャンピングカー
2023年10月に開催された横浜キャンピングカーショーのケイワークスブースに展示されていたのが、このキャラバンベースのキャンピングカーARTISAN CARAVANです。ハイエースのハイグレードバンコンモデル、オーロラエクスクルーシブアーチザンのようなインテリアですが、細部がブラッシュアップされているようです。
落ち着いたインテリア家具に囲まれ、セカンドシートより後ろ側に、ベンチシート、カウンター、キッチン設備などがレイアウトされています。スライドドアからリアへのアプローチもスムーズで、しっかりと動線が確保されていました。リアの両サイドにはカウンターが設置されていて、小物を置いておけるスペースが広がっています。
ベース車両はキャラバングランドプレミアムGX。ボディサイズは4695×1695×1990㎜というコンパクトサイズです。エンジンは2.5Lのディーゼルで、4WD、7ATと組み合わされているモデルでした。コンパクトでトルクを感じる、扱いやすいキャラバンで、普段使いしやすいモデルといえるでしょう。
キャラバンはエクステリアデザインから新しい印象を受けるのが不思議です。バンのデザインといえばフロントマスクぐらいですが、キャラバンはサイドに流れるキャラクターラインが印象的で、ヘッドライトもシャープなデザインになっているのが特徴といえます。
セカンドシートは簡単にアレンジすることができます。リアに向けてセットすれば、後方のベンチシートを使いながらラウンジレイアウトを展開できます。セカンドシートとベンチシートの間には、ポールを床に立てるタイプのテーブルが設置できるようになっていました。
ベンチシートは後方右側に設置されていて、その両サイドにキャビネットが設置されています。スイッチ類は左側のキャビネットにまとめられています。シンクも左側キャビネットにセットされていて、ベンチシートからも使いやすい場所にレイアウトされています。
バンの中がオフィスとして利用できるキャンピングカー
このモデルの特徴的な設備が、この大きな座面があるベンチシートです。背もたれまでが深い印象ですが、実際に座ってみると、ゆったりとした体勢でラウンジソファに座っているような感覚でした。背もたれの位置を移動するだけで、簡単にベッド展開もできるそうです。
これだけ大きければ、長時間座っていて疲れてきたら、この座面の上であぐらをかいても良さそうです。そんな使い方も想定して、長時間の作業でも疲れないシートという視点でも開発されたといいます。1人で使うのであれば、ぜいたくな空間と言えるのではないでしょうか。
その大きなベンチシートの前にあるのが、このテーブルです。ケイワークスのバンコン、ラギットバンにも採用されている、折りたたみ式のテーブルです。キャビネットトップと高さが合わせてあって、広々としたスペースを利用できます。この広さがあれば、仕事で利用するのにも便利です。
コンパクトに収納できて、しかも、簡単に展開できるテーブルを考えた結果でした。テーブルトップがキャビネット上部と連結することで、広く展開できるのは、このスペースで簡単な調理もできるように、と考えられた広さだそうです。作業スペースと食材などを置いておけるスペースの両方を確保できるようになっているのです。
セカンドシートは前向き、後ろ向き、どちらにも対応できるタイプです。ロングスライドレールを調整することで、足元を広くしたり、ラゲッジスペースを広めに確保したり、用途に合わせた調整が可能になりました。
このロングスライドレールのおかげで、ベッド展開も簡単になっています。バンコンでは、背もたれと座面を反転させてからベッド展開するモデルも多いのですが、このモデルでは、シートを倒して、スライドレールで調整するだけ。室内だけの作業で簡単にベッド展開できるようになっているのです。
室内は非常に明るく、ダウンライトと間接照明がうまくミックスされています。このコーディネートされたライティングが、雰囲気のある空間を作り出しています。両サイドに配置されているダウンライトも多く、しっかりと手元を照らしてくれるので、車内で作業する時も便利に利用できそうです。
長時間座っていても疲れない、大きなベンチシートとテーブルがあるので、オフィスカーの様にも使えるモデルでもあります。そんな時、ライティングの明るさも重要なポイントになることでしょう。明るさも調整可能で、夜の落ち着いた雰囲気を作ることもできます。仕事の空間やくつろぎのスペースとしても、いろいろな使い方ができそうです。
バンコンでありながら妥協しない充実の室内環境
ケイワークスといえば、バンコンのオーロラシリーズにリチウムイオンバッテリーを標準搭載したことで有名です。もちろん、このモデルにも強力な電源システムが組み込まれていました。なんと、リチウムイオンバッテリーのサイズは510Ah。余裕の電気容量です。もちろん、走行充電、ソーラーパネルのそれぞれ60A、310Wと強化されているので、充電能力も強力です。
その強力な電源システムのおかげで、クーラー、電子レンジなども使える様になっています。限られたスペースのバンコンですが、大型キャンピングカー同様の快適な設備が整っているのです。
リアの左側には冷蔵庫が設置されていました。リアゲートを開けて、外からもドリンクを取り出しやすい場所です。こちらの冷蔵庫はサイズが49L。大容量バッテリーのおかげで、ソーラー充電できる環境であれば、長時間の稼働が可能になっています。
冷蔵庫が設置されているキャビネットには、シンクが取り付けられていて、給排水タンクともに10Lを確保しています。リア側にはシャワーヘッドが取り付けられていて、アウトドアシャワーとしても利用できる仕様です。アウトドアで思いっきり遊ぶ人やペットがいるオーナーにとっては、嬉しい設備といえるでしょう。
設備の充実、考え抜かれたレイアウトなど、機能性の高さを感じるモデルですが、その質感の高さにも注目です。カウンタートップの滑らかな家具の仕上げは職人技といえる上質さを感じます。アクセントのステンレスのガードも美しい光を放ち、テーブルカウンター角のアールをきれいに見せてくれています。
リア両サイドにはウッドのパネルが取り付けられていて、室内の印象を大きく変えています。直線的なテクスチャーと美しい木目の質感が、ハイグレードな上質さを醸し出します。ここまで高い完成度を誇れるのも、長年のバンコン製作による技術力、そして、地元家具職人の職人技があるからこそなのです。
ハイエースのハイグレードモデルアーチザンの雰囲気をそのまま継承して、さらに進化を遂げたARTISAN CARAVAN。仕事や趣味の部屋としても、自分だけの特別な空間を手に入れたい人にとっては、注目の1台となることでしょう。
AURORA EXCLUSIVE ARTISAN CARAVAN諸元
- ベース車両
- キャラバン GRANDプレミアムGX
- エンジン
- 2.5Lディーゼル
- 車体サイズ
- 全長4,695mm/全幅1,695mm/全高1,990mm
- 定員
- 乗車定員7名/就寝定員2名