国内キャンピングカーでは珍しい、レンタルキャンピングカー専用のモデルCRESTED ibis(クレステッド アイビス)が登場しました。ベース車両はいすゞの「びぃーかむ」です。
「びぃーかむ」はエルフをキャンピングカー用にチューニングして、いすゞが提供しているベース車両。実はこのモデルを扱っているのは日本特種ボディーだけです。
ということは、このCRESTED ibis(クレステッド アイビス)も日本特種ボディーが製造したということです。同社は、これまでに高級感あふれるモデルを製造してきただけに、その中身が気になります。そこで、できたばかりのレンタルキャンピングカー専用車両CRESTED ibis(クレステッド アイビス)をレポートしてきました。
レンタルキャンピングカーとして求められる仕様
日本特種ボディーがレンタル専用モデルを出したことに驚きますが、その背景にはレンタル事業への参入があったようです。
「東京スカイツリーのあるソラマチに店舗を出すことになったのですが、そこで、レンタルキャンピングカーをすることになりました。スカイツリーの駐車場を借りて、クルマを常備し、私たちのクルマを体験していただければと考えています」と同社代表の蜂谷慎吾さん。
これまでにも既存のモデルがあったのに、なぜ、キャンピングカー専用モデルを作ることになったのか、気になります。
「レンタルの場合はいろいろなお客様が利用します。キャンピングカーに不慣れな方も多く、なるべく使いやすいモデルを提供するために、あえて専用車両を設計したのです」
とのことでした。多くのユーザーが使うことを考えて、ユーザーやレンタルする側の両側面からベストの仕様が考えられているそうです。
そこでポイントとなったのが、
- 日本特種ボディーらしい上質な家具
- 家と変わらない使い勝手のよさ
- 分かりやすい表記や操作性の追求
- シンプルで壊れにくい装備
などでした。
それではちょっと内部をのぞいてみましょう。
住宅をイメージさせる、上質なインテリアが心地いいです。レイアウトはエントランスを入ってリビングスペースがあり、マルチルームの奥に2段ベッドがあるタイプでした。
エントランス脇に大きめの靴入れも設置されています。レンタルキャンピングカーの場合、大人数で利用する事が多いので、靴箱も大きめになっているようです。
フロント側にはバンクベッドが設置されていますが、跳ね上げ式のマットが採用されていて、バンクベッドを利用しない時の室内は広々としています。
右側には吊り下げ棚、左側には家庭用エアコンが装着されていました。エントランスのフロント側には冷蔵庫が設置され、室内からでも外からもでアプローチしやすそうです。
テーブルはワンタッチで昇降できるので、高さ調整も簡単。ベッド展開もすぐにできます。
バンクベッドは前方まで高さが確保されているので、圧迫感がありません。両サイドにシェード付きの窓も付いて、換気もしっかりとできそうです。
バンクエリア両サイドの壁はウッドのテクスチャーが美しく、モダンリビング的な印象。それを照らすLEDライトもデザイン性が高く、このクルマのキャラクターを象徴しているような存在です。
5×2mの枠に収まるキャブコンで居住性を高めたレイアウト
ボディサイズは全長4950㎜×全幅1980㎜×全高2980㎜。国内の道路、駐車場スペースを考えて、5×2mのサイズに収まるように設計されたそうです。
コンパクトなボディでも、リアにマルチルームを装備しながら、効率的に空間を生み出しているので、コンパクトなボディを感じさせないインテリアの広がりがあります。
家具の角を取り除き、ラウンドしたラインを採用することで、マルチルームでさえ、その存在感を主張せずに、インテリアに馴染んでいるのが分かります。
マルチルームの内部は床が防水タイプになっていて、窓や吊り下げ棚までセットされていました。大きな窓があるので、採光や換気にも役立つことでしょう。
リアには2段ベッドが設置されています。上段のベッドマットを取り外せば、下段のみで広々としたシングルベッドとしても利用できます。
ベッドエリアには間接照明が備えつけられ、インテリアを美しく照らしてくれます。この細かい演出が、心地よさを感じさせてくれるのです。
リビングエリアはフルフラットのベッドとしても利用できます。ベッドメイクは簡単で、ロックを外してテーブルの天板を下げて、ギャレー通路側からベッドの脚となる台を出して、マットを置いていくだけ。
どれもワンタッチで作業ができるので、簡単にベッド展開ができるので初心者にとっても使いやすくなっています。就寝定員は7名を確保しました。
スイッチ類はエントランス上部にまとめられています。サブバッテリーの状態は電圧計で確認。あえてシンプルなメーターにすることで視認性を高めているそうです。
リアベットのライト下に設置されたコンセントは、スマホの充電などに便利。このように住宅用のコンセントが目に飛び込んできて、すぐに電源がそこにあることが分かります。
このモデルにはソーラーパネルも標準装備され、電気系の強化が基本セットになっています。もともと、びぃーかむには強力なオルタネーターが装備されているので、アイドリングだけで充電できるほど充電効率もいいのですが、さらにソーラーパネルを利用することで、電気不足の不安を解消してくれます。
電子レンジ、家庭用エアコンも標準装備されていました。レンタルとして利用することが前提なので、使いやすさ、快適性を追求した装備となっています。
リビングエリア、キッチンエリアなどの窓には引き戸タイプを採用しました。これも、レンタル利用でも壊れにくくするための仕様でした。
修理などのメンテナンスを減らすことで、レンタル事業者の負担も軽減する。そこまで、考えられた設計なのです。
コンパクトなボディで運転もしやすくなっています。びぃーかむ本来の足回りもしっかりしていて、高速道路の走行でもボディ全体が安定しているのが、はっきりと分かります。
このような運転のしやすさも、レンタルキャンピングカーとしての資質を秘めているともいえるでしょう。安定した走りで事故も未然に防いでくれることは、レンタル業者にとって大きなアドバンテージとなることでしょう。
CRESTED ibisは
- 上質なインテリア
- 高い収容力
- パワフルな電気設備
- 走行安定性
などを高い次元で実現したモデルでした。他のびぃーかむベースのモデルを参考にすると車両価格は1300万円ぐらいが相場といえるキャンピングカーです。
でも、こちらの車両は一般ユーザーへの販売は行われないそうです。レンタカー業者のみの販売ですので、乗りたいと思った人はCRESTED ibisを採用しているレンタル業者でレンタルするしかありません。もしくは、数年後、このモデルが中古車両として流通するのを待つしかないようです。
まずは、クルマを探して、レンタルキャンピングカーで楽しむ、というのが当面の楽しみ方のようです。それにしてもCRESTED ibisに早く乗ってみたいと思った人も多いのではないでしょうか。
CRESTED ibis(クレステッド アイビス)
- ベース車両
- キャンピングカー専用車シャシーBe-camハイキャブ2.0t
- ボディサイズ
- 4950×1980×2980㎜
- 定員
- 乗車定員6名/就寝定員7名
日本特種ボディー 東京スカイツリータウン・ソラマチ営業所