NV350ベースの新型キャブコン「バンテック・アストラーレCC1」に乗ってみた!

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NV350ベースの新型キャブコン「バンテック・アストラーレCC1」に乗ってみた!

4月2~4日に開催された「ジャパンキャンピングカーショー2021」で、鮮烈なデビューを飾ったバンテック・アストラーレCC1。ショー会場でひときわ注目を集めていたこのモデルは、バンテック(販売)×ファーストカスタム(製作)の「最強タッグ」によって生まれた、NV350キャラバンベースの新型キャブコンだ。

話題のニューモデルアストラーレCC1のスタイルや走行性能、居住空間について、キャンピングカーライフ研究家の岩田一成氏が詳細にレポートする。

1BOXベースならではのスタイリッシュなエクステリア

アストラーレCC1の後方

アストラーレCC1は、1BOX車のボディをカットしてリアに居住部分のキャンパーシェルをドッキングした、「ボディカットキャブコン」と呼ばれるカテゴリーの車両。スマートなスタイリングと優れた走行安定性、快適な乗り心地が、1BOX車をベースにしたボディカットキャブコンのアドバンテージだ。

アストラーレCC1の全形

まず目を引くのが、トラックベースのキャブコンとは一線を画すスタイリッシュなロープロファイルフォルム。NV350のシャープなフェイスデザインと、滑らかな曲線基調のシェルが融合したエクステリアからは、キャブコン特有のもっさりとした印象はいっさい感じない。自然の中だけではなく都市部にも違和感なく溶け込むエレガントな佇まいが、アストラーレCC1の大きな魅力だ。

アストラーレCC1のサイドビュー

ボディサイズは、全長4960mm×全幅2060mm×全高2740mm。全高制限付きの立体駐車場への入庫は不可だが、全長5m未満、全幅2mちょっとに抑えられているため、日本の平均的な駐車場であれば白線をはみ出すことなく枠内にすっぽりと収まる。機動性と居住性のバランスが取れた、使いやすいサイズ感だ。

キャブコンとは思えない「普通に乗れる」走行性能

アストラーレCC1の走行1

テスト車両のパワートレインは、130馬力の2リッターガソリンエンジンと電子制御式5速ATミッションの組み合わせ。エンジンはお世辞にもパワフルとは言えないが、絶妙なギヤ比の5速ATと相性が良く、街中でも高速でもストレスを感じさせずによく走る。合流時の加速や高速巡行も比較的スムーズで、シフトを積極的に手動操作してエンジンを回してやれば、追い越しや高速クルージングも快適にこなせる。

2リッターガソリンエンジンでも実用性は必要十分だが、動力性能を重視するなら2.5リッターディーゼルターボエンジンをチョイスするのがお勧め。4ナンバーバンクラストップの高トルク(356N・m)で、よりパワフルでストレスのない走りを体感できる。

アストラーレCC1を運転する岩田一成氏

特筆すべきは、キャブコンとは思えない走行安定性の高さ。1BOX車のボディカットキャブコンは、トラックベースよりもフロアが低いのが最大のメリットとなっている。低い重心がもたらす安定性は、トラックの足回りをフルチューンしても及ばないレベルで、高速走行時やコーナリング時でも過度なロールやボディの揺れを感じることはない。路面からの突き上げ感が少ないマイルドな乗り心地なので、長距離ドライブも快適にこなせるはずだ。

アストラーレCC1の走行2

全高が高く重量があるキャブコンは、控えめな速度でゆったりと走るのが絶対条件だが、同じ速度域の巡行でも安定感の高いクルマの方が疲労感は少なく、より安心・安全にドライブを楽しめる。キャブコンとは思えないほど「普通に走れる」走行性能は、アストラーレCC1の最大の武器と言えるだろう。

ミラーモニター

車両後方の映像をルームミラーに常時表示するリアビューカメラのほか、ドアミラー下部にセットしたカメラの映像をモニターに映し出すミラーモニターも標準装備。サイド後方の死角を映像でカバーすることで、狭い道の走行や交差点での巻き込み防止に役立つ。

使い勝手を追求したエントランスドア&リアバゲージドア

アストラーレCC1のエントランスドア

エントランスドアは、1BOX車と同様のスライド開閉式を採用している。通常タイプのエントランスドアの場合、駐車場で隣のクルマとのスペースが狭いと開けられないケースもあるが、開閉にスペースをとらないスライド式エントランスドアなら狭い駐車場でも無問題だ。

アストラーレCC1のスライドドアとイージークローザー

力を入れなくても半ドア位置から自動的にスライドドアが閉まるイージークローザーも装備されているので、キャンプ場などで夜にドアを開閉する際でも、ドアを閉める音に気を使わなくて済む。

アストラーレCC1のリアバゲージドア

リアバゲージドアの開閉スタイルも特徴的だ。ドアが上下にスライドするスイングアップ式を採用しているので、狭い駐車スペースでも荷物の出し入れが容易にできる。エントランスドアと同様にイージークローザー機能が搭載されているため、半ドアの心配がないのもうれしいポイントだ。

ゆったりくつろげるラグジュアリー空間

アストラーレCC1の車内

スライド式のエントランスドアを開けて室内に足を踏み入れると、そこには暖色系のLED間接照明に照らし出されたラグジュアリーな空間が広がっている。

アストラーレCC1のダイネット

エントランス正面にリビングスペース、その後方にマルチルーム、通路を挟んでキッチンスペース、リアエンドに2段ベッドと、レイアウト的にはスタンダードな仕様だが、ファブリックのカラーや質感、家具色、間接照明の相乗効果で、家以上にゆったりと過ごせる上質な空間を作り出している。

アストラーレCC1のマルチルーム アストラーレCC1のダストボックス

筆者的にもっとも気になった装備が、キッチン下部にビルトインされた大型ダストボックス(ゴミ箱)だ。

キッチン下部にビルトインされたダストボックス

通常であれば収納庫として活用されるスペースだが、そこをあえて分別タイプのダストボックスとしたアイデアが非常にユニーク。ユーザーのニーズとキャンピングカーの使い方を熟知したビルダーにしかできない、独創的な装備だ。

アストラーレCC1のパーキングクーラー

いまやキャブコンのスタンダードとなった、パーキングクーラー(エンジン停止中に使用するクーラー)も完備されている。クーラー本体を上部キャビネット内部にインストールして、スマートなルックスを実現しているのも、アストラーレCC1らしいこだわりだ。クーラーはバッテリーから直接電源を取り出せる12V仕様で、100Vタイプのように電圧変換時のロスがないため、より長い時間使用することができる。

生活電源には、200Ahのリン酸鉄リチウムイオンバッテリー+150Wソーラーパネルを搭載。リチウム電池ならではの大出力で、消費電力の大きな電子レンジやパーキングクーラーも安定して使用可能だ。

アストラーレCC1のキッチン

シンプルさと使い勝手を追求したキッチンスペース。左手の家具には、電子レンジと大容量の90L冷蔵庫をスマートにビルトイン。

ベッド展開

大型リビングテーブルは、レバーを引いて下に押すだけで高さを変えられるワンタッチ昇降式。テーブルを下げてマットを載せれば、アッという間に快適なベッドスペースに早変わりする。

昇降式大型リビングテーブル アストラーレCC1のリアベッド

リアエンドの常設2段ベッドは、上段と下段で1名ずつが就寝可能。上段は跳ね上げ式になっており、収納スペースとしてなどさまざまな用途で活用できる。

アストラーレCC1のフロント

NV350キャラバンベースならではの「スタイル」と「走行性能」に、「エレガントな生活空間」「充実の快適装備」「使い勝手を追求した独創的な装備」をプラスした、アストラーレCC1。

「キャブコンでも走りやスタイルにこだわりたい」「長距離移動も車内生活も快適にこなしたい」「個性的なキャブコンに乗りたい」など、幅広いユーザーのニーズに応えられる“新しいキャンピングカーのカタチ”だ。

PHOTO/佐藤亮太

ASTRARE(アストラーレ)CC1諸元

ベース車
日産キャラバンNV350
エンジン
ガソリン2L/ディーゼル2.5L
駆動方式
2WD/4WD
サイズ
全長4,960mm/全幅2,060mm/全高2,740mm
定員
乗車定員7名 /就寝定員 大人3名
価格
¥9,790,000(税込)〜
WRITER PROFILE
岩田一成
岩田一成(いわた・かずなり)

1971年東京生まれ。キャンピングカーライフ研究家/キャンピングカーフォトライター。日本大学芸術学部卒業後、8年の出版社勤務を経て、2003年に独立。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に累計1000誌以上の雑誌・ムック製作に携わる。家族と行くキャンピングカーの旅をライフワークとしており、これまでに約1000泊以上のキャンプ・車中泊を経験。著書に『人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門』がある。

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