キャンピングカーという言葉がいろいろな場所で聞かれるようになりました。先日、大手総合商社の双日が、キャンピングカー市場に参入するというニュースが入ってきました。キャンピングカーの影響力は経済界にも波及しているようです。
その双日が協業するのはKアクセス。キャンパー鹿児島と紹介した方が知っている人も多いかと思います。キャンパー鹿児島といえば、オートバックスなどとも提携をして、幅広いユーザーへのアプローチに積極的です。
つい最近では、鹿児島トヨタの販売店とコラボして、キャンピングカーの展示販売を行っていました。その会場では、新車もお披露目されたのですが、これがまた、新しいコンセプトを追求したモデルで、話題を呼びそうなのです。
そこで、今回はキャンパー鹿児島が新しいコンセプトで生み出したインプラスを見てみたいと思います。
持ち運べるポータブルバッテリーを搭載
新型インプラスの最大の特徴は、ユニット化された電源システム。その中にはポータブルバッテリーが組み込まれているというのです。
走行充電、ソーラーパネル充電などからの電源が供給されるように、システムの一部としてポータブルバッテリーが使われています。
使用されているポータブルバッテリーは、以前も紹介したことのあるEFDELTA(イーエフデルタ)。大きな電気容量と出力で家庭用エアコンも稼働させる実力を持つバッテリーです。
強力なポータブルバッテリーをキャンピングカーのシステムに組み込んで、より使いやすいキャンピングカーを目指しています。
ポータブルバッテリーは、クルマから簡単に取り外せるようになっていて、使わない時は自宅に持ち帰り、コンセントから充電したり、いざという時の防災用に使うことも可能です。駐車場が自宅近くにない人にとって、サブのバッテリー充電を気にしなくなる、という効果は大きいかもしれません。
さらにいうと、クルマに搭載するシステムとしてのサブバッテリー強化について、それほど気にしなくなるかもしれません。これまでは、家庭用エアコンを使うためには、たくさんの鉛バッテリーを搭載したり、高価なリチウムイオンバッテリーシステムを構築しなければなりませんでした。しかし、エアコン用にEFDELTAの電源を利用することで、そのハードルが下がるのです。
もちろん、リチウムイオンバッテリーをクルマに搭載しておけば万全なのですが、鉛バッテリーと強力なポータブルバッテリーで、エアコンを稼働させるなら、車両購入時のコストも抑えられる、という発想です。
ハイエースのスーパーロングに装着された家庭用エアコン
インプラスのレイアウトは、セカンドシートにシートアレンジの多彩なレボシートを採用しています。前後両方に向けられるシートを後方に向ければ、テーブルを挟んで、後方にキッチンとベンチシートが左右に振り分けられたレイアウトになり、広いリビングエリアが展開できます。
そして、ボディの右側、キッチンの上部には家庭用エアコンが取り付けられています。車内全体に空気を循環させるのに、効率のいい場所にあるといえるでしょう。
リアには収納スペースとしてのキャビネットがあって、その上にはベッドマットをセットできるようになっています。
室内は広々としており、サイドベンチシートを組み合わせることで、エントランスからリアへの動線もスムーズ。車内で過ごすほど、その使いやすさを実感できるレイアウトになっています。
家庭用エアコンがサイドに装着されているにもかかわらず、車幅を広げることなく、車内の左右幅に狭さを感じさせないのは、綿密な設計で家具の位置などを調整しているからでしょう。
幅広いユーザーが満足する充実の装備
室内を眺めると、エアコンとTVが目に飛び込んできますが、その他の装備はそれほど主張していません。キッチンエリアに設置された、冷蔵庫とシンクには蓋が付いていて、閉じればテーブルスペースが広がっているだけのような感覚です。
リアの両サイドはシャッターが取り付けられていて、ポータブルバッテリーと電子レンジが収納されています。必要とする人が使って、必要のない人は、その存在すら感じない、収納型レイアウトのスッキリとした印象を受けます。
家庭用エアコンに電子レンジなど、バンコンらしからぬ豪華さがありながらも、凛とした美しさも兼ね備えているようです。キャンパー鹿児島のクルマ作りを感じるのではないでしょうか。
この仕様であれば、いろいろな装備を準備しておきたい人にも、シンプルでスッキリしたインテリアを望む人も、幅広いユーザーに対応できそうです。
若い人にも乗ってほしいキャンピングカー
新しい生活様式が生まれるなか、キャンピングカーの使い方もバリエーションが増えてきました。それに対応するように、インプラスでは仕事に使うことを考慮して、以前のモデルよりもテーブルを大きくしたともいいます。
しかし、レイアウトや装備だけでなく、価格の柔軟性も必要といえます。
鹿児島トヨタで展示されたインプラスは、サブバッテリーにもリチウムイオンを使った、高規格システムでした。しかし、会場の特別価格ではありましたが、700万円というプライスタグを掲げていたのは驚きです。
インプラスの価格については、エアコンとポータブルバッテリーを標準装備としていますが、サブバッテリーに鉛バッテリーを搭載することで、機能性を損なうことなく、コストを抑えることも考えられたそうです。
なぜ、そのような考えが生まれたのか聞いてみると。
「若い方でも、キャンピングカーに乗りたい人は増えています。私たちは、そんな若い世代にもキャンピングカーに乗ってほしい、という強い思いを持っています。なので、手頃感を出せないか、といろいろなことを考えて、今回のインプラスシステムができたのです」
と回答してくれました。
業界を超えて、たくさんの企業とつながり、幅広いユーザーへアプローチしようとするキャンパー鹿児島、Kアクセスの姿勢がはっきりと見えたような気がします。