
2023年10月26日から11月5日まで、東京ビックサイトがあるエリアで、ジャパンモビリティショー2023が開催されました。来場者数は111万2000人。このイベントは東京モーターショーから、名前を変えての開催でした。
内容も少し変わっていて、テーマは「乗りたい未来を、探しに行こう!」でした。クルマだけという展示ではなく、モビリティに関する幅広い産業や企業が参加したイベントとなりました。
この新しい試みとなるモビリティという枠組みのなかに、キャンピングカーの姿がありました。東京ビックサイトの1つのホールを貸し切って、いろいろなキャンピングカーによって埋め尽くされていたのです。
目次
キャンピングカーブースがモーターショーに出現

ジャパンモビリティショー2023は幅広いジャンルでモビリティを捉えていましたが、基本は50回弱続いた東京モーターショーと同じ存在であるのは変わりません。クルマ業界に携わってきた方には、このモーターショーへの思いは強いものがあったようです。
ショー自体は有名な自動車メーカーのブースが並び、コンセプトモデルなどをメインに展示が行われていました。会場での大々的な新車の発表は少なかったようですが、自動車メーカーが本気で未来のモビリティを考える姿を目の当たりにできました。
既存の自動車メーカーではないメーカーなどもあって、モビリティへの意外性を感じる展示に来場者は興味をみせていたようです。キャンピングカーもヒト・モノ・ココロを動かすモビリティの1つとして、多くの人の目に触れることになったのです。
日本RV協会エリアにキャンピングカーが30台以上展示

東京ビックサイトの東8ホール全体がキャンピングカーの展示ブースとなっていました。中央で日本RV協会がブースを出して、キャンピングカーについてのデータや業界について説明。その周りに20社のメーカーがクルマを展示しています。

モーターショーではお馴染みのブリーフィングも行われ、キャンピングカーについて、多くのメディアに紹介できる機会にもなりました。キャンピングカーの市場を海外と比較して、国内需要が伸びる可能性をについて説明。これからの拡大産業である期待が語られました。
また、防災としてのキャンピングカーの価値も提案され、レジャーだけではないモビリティの新しい価値を提案する内容となりました。
協会の掲げるスローガン「日本に、キャンピングカーというカルチャーを!」が紹介され、キャンピングカーを根付かせるために、RVパークなどの整備を行っていることなど、データを出しながら、ていねいに説明していました。
そして、2030年までに、年間生産台数3万台、年間売り上げ3000億円、保有台数30万台を目指していることが発表され、さらにキャンピングカー業界の勢いの良さを感じる内容でした。
幅広いジャンルでキャンピングカーが並ぶ

会場には軽自動車のキャンピングカーから、大型のキャンピングカーまで、いろいろなタイプのモデルが並びました。トレーラーやトラキャンなど、一般の人が普段目にしないモビリティのスタイルもあり、一般的なクルマを見にきた来場者にとっては、興味のある展示だったようです。
以前の東京モーターショーでは、新車の発表が会場で行われていました。ニューモデルを目当てに会場へやってくる来場者も多くいたはずです。そんな、往年のモーターショーと同じように、会場で新車を発表するメーカーもあったり、キャンピングカーエリアは話題性に富んだ内容でした。
キャンピングカーショーとモビリティショーの違い

広い会場にキャンピングカーが並ぶ光景は、これまでのキャンピングカーショーと変わりはありません。しかも、この会場は東京キャンピングカーショーと同じ場所でもあります。しかし、会場の雰囲気は普段のキャンピングカーショーとは違うものでした。
まず、大きく違っていたのは、掲げられたクルマのスペック表です。販売価格が大きく表示されることなく、純粋にクルマについての説明がされていました。あくまで、クルマを紹介する内容になっているのが、いつもと違う雰囲気でした。
来場者は、キャンピングカーを購入するために会場へ来ているのではなく、モビリティの1つとして、キャンピングカーを見学しています。だからこそ、来場者とキャンピングカーのアプローチが違う点に気付かされます。
もちろん、会場には商談ルームのような、特別のエリアが設けられていました。クルマについての詳細な説明を聞きたい人は、ブースで担当者から話を聞くスタイル。基本はクルマを紹介するショーとしての役割を持ちながら、詳しい話も聞くことができるエリアがあるのは、ヨーロッパのキャンピングカーショーそのものです。そんな、新しいキャンピングカーのショーとしての姿がそこにあったように感じました。
自動車メーカーが本格的なキャンピングカーを作り込む

キャンピングカーエリアとなった東8ホールの一角に、日本RV協会とは別枠として、トヨタがブースを展開していました。しかも、4台ものクルマを展示していたのです。トヨタディーラーでもキャンピングカー仕様のクルマが販売されていますが、既存モデルとは違った架装が施されたクルマも展示されていました。
上の写真はシエンタをベースにしていて、ユニット式になった家具を組み合わせることで、レイアウトを自由にアレンジできるようになっています。トヨタ先進技術開発カンパニーによって作られていて、すぐに市販できるレベルに達していたので、販売が期待されます。

上の写真はハイエースをベースにして作られた、NUKUMARUというモデル。本格的なミストサウナが付いていて、移動できて、電源のない場所での運用ができるのが特徴です。
ミストサウナということで、少ない水で全身浴ができ、キャンプなどにはもちろん、介護の世界でも活用が期待されているクルマです。実際、介護では運用が行われていて、その効果は実証されています。
このように、大きな自動車メーカーが新しいコンセプトで、キャンピングカーのようなクルマを作ることは、キャンピングカー業界にとって、大きなインパクトとなります。新しい可能性を示してくれたり、技術革新も進むのではないでしょうか。
キャンピングカーの幅広い可能性、そして、新しい企業の参入など、キャンピングカーを取り巻く環境が、大きく動いている感覚を強く感じるジャパンモビリティショー2023でした。キャンピングカーのショーとしての新しいスタイルも感じられ、これからのキャンピングカー業界の発展がますます楽しみになってきました。