キャンピングカーの快適環境は電気の充実に比例しているのかもしれません。キャブコンの世界では家庭用クーラーが一般的になり、夏でも車内を快適な状態に維持できるようになりました。そんなシステムをカバーしているのが、強力な電源システムです。
スペースに限りがあるバンコンの世界でも、その潮流がやってきているようです。各社からクーラー付きモデルが多数販売され、各社は十分な電源を確保するために、いろいろな工夫を施しています。
2022年時点で、スペース的な優位性がある電源システムはリチウムイオンバッテリーを使ったシステムです。しかし、まだ価格も高く、オプション扱いのモデルがほとんど。そんななか、バンコンにリチウムイオンバッテリーを標準装備したのがケイワークスでした。
搭載されたシステムメビウスは進化し続け、2022年7月に開催された東京キャンピングカーショーでは、最新のシステムが搭載されたモデルが展示されていました。
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進化を続けるキャンピングカーのリチウムイオンバッテリーシステム「メビウス」
ケイワークスでは自社のバンコン「オーロラ」シリーズにリチウムイオンバッテリーを標準装備して、2020年から販売しています。リチウムイオンバッテリーのオプション設定が一般的ななか、標準装備したことは大きな話題となりました。
現在でもバンコンにリチウムイオンバッテリーを標準装備しているメーカーは少なく、ケイワークスが一歩抜きんでている状態です。さらに、この2年の実績を蓄積した上で、さらに性能をパワーアップさせたというのです。
それが「メビウスシステム2」。システム自体は昨年2021年から運用されていましたが、2022年に新しいバッテリーを搭載した最新モデルが登場しています。その装備内容はモデルによっても少し違いがありますが、以下の通りです。
- 172Ah×3Ahリチウムイオンバッテリー搭載
- 60A走行充電器(活性化機能付)
- 50A外部電源充電器
- 2000Wインバーター
- 310Wソーラーパネル
- 40A MPPTソーラーコントローラー(活性化付)
以前のメビウスシステムと比べると、充電性能が向上しています。フラッグシップモデルのEXセブンスターのシステム最大充電電流は、標準装備で走行充電60A+310Wソーラーパネル20A+外部充電50Aで合計130Aに達します。
バンコンであっても、車内の快適な環境を追求すると、たくさんの電気を消費することになります。それに対応するためには大きなバッテリーが必要ですが、大きなバッテリーに電気を蓄える充電システムも強化しなければなりません。
その点、このメビウスシステム2であれば、安心して電気を使うことができるようになるのです。
キャンピングカーの電力消費は拡大する傾向にある
キャンピングカーといえども、そこまで電気を使わないのではないか、と感じる人も多いかもしれません。特にバンコンなどはスペースの問題で、電源システムの規模が制限されていたこともあり、「バンコン」だからと諦めていたオーナーも多いはず。
でも実際の使い方をみてみると、例えば、旅先で海鮮をお土産に購入したら、冷蔵庫は欲しい装備の1つとなります。おそらく、多くのユーザーが冷蔵庫をキャンピングカーの中に装備していると思いますが、冷蔵庫は消費電力の大きい装備。かつて、180W程のソーラーパネルと115Ahツインバッテリーシステムで晴れていれば何とか連続稼働出来ましたが、さらに照明、クーラーなど通電している状態下においては、バッテリーに不安がある状態での為、安心して使えません。
また、最近では車内での調理に火を使わず、電子レンジで済ませる人もいます。特にバンコンなどは空間が限られているので、火を使いたくないという意見も。そんな時に便利な電子レンジですが、こちらも消費電力が大きく、バッテリーから一気に大量の電気が放出されることになり、バッテリーに負荷がかかる家電です。
このように、快適性を追求すると、電気の消費量増加に対応する大容量バッテリー、さらに、高出力に対応したバッテリーということで、リチウムイオンバッテリーの存在が注目されるようになっているのです。
最近のトレンドとしては、クーラーの搭載があげられます。キャブコンであればスペースも確保できるので、家庭用エアコンなどを装備するクルマも増えてきました。バンコンでもDC12Vクーラーや一体型クーラーなどを利用する車種が目立っています。
ケイワークスのオーロラEXなどでも、クーラーを標準装備することになりました。バンコンでクーラーの標準装備は珍しい、といえるでしょう。
このコンパクトなクーラーがあれば、夏の熱帯夜などを快適に過ごすことができます。また、暑さに弱いペットたちも安心して、家族と一緒に過ごすことができるのです。
リチウムイオンバッテリーを充電する強力な充電システム
メビウスシステム2のリチウムイオンバッテリーはEXセブンスターの場合で、最大510Ahまで増やすことができます。
バッテリーが大きくなると、充電時間が追いつかなくなるのではと不安になりますが、上記で記したように、すべてを稼働させるとシステム最大充電電流が130Aもあることと、消費と稼働が2系統なので、安心感があります。
310Wのソーラーパネルはメビウスシステム2の中に入っているので、こちらも標準装備。薄型のフレキシブルソーラーパネルのおかげで、車高の高さをほとんど変えることなく装備されているのもポイントです。
走行充電器とソーラー充電器には「活性化機能」がついているので、過放電で出力を停止した状態のバッテリーにも、安心して充電できるようになりました。
また、外部電源はバッテリー充電専用として使われる系統と電気器具用との2系統に改良。外部電源を接続して、車内で家電を使うようなシチュエーションであっても、安定してシステムを稼働することができるようになっているそうです。
ということは、外部から入ってきた電気は一度リチウムイオンバッテリーに蓄えて、インバーターを介し、2000Wまでの家電が使えるという状態です。いわゆるパススルーで交流電流を利用できるということになります。
ケイワークスオリジナルのリチウムイオンバッテリーシステムだからこそできたこと
ケイワークスがリチウムイオンバッテリーを標準装備することになった時、ラインアップされていたクルマがスペースの問題などでレイアウト変更することはありませんでした。
今まで通り、動線を考えた使いやすいレイアウトに、上質な家具を備え、ラグジュアリーな空間が広がっていたのです。
システムを導入することで、スペースを圧迫することもありませんでした。そのような自由なレイアウトが実現できたのは、このリチウムイオンバッテリーシステムメビウスがケイワークスオリジナルのシステムであることが理由です。
バッテリーの形状を薄型にカスタムするなど、クルマのスペースに合うようにアレンジできるよう、バッテリーメーカーと直接のやりとりを行うことで、バンコンにふさわしいシステムを1から構築できたことにあります。
ビルダー単位でここまで、リチウムイオンバッテリーシステムの開発に携わることは少ないのではないでしょうか。そのレアケースを克服してこそ、バンコンにリチウムイオンバッテリーを標準装備できるメビウスシステムが完成したといえるでしょう。
これからもケイワークスのメビウスは進化を続け、新たな価値を提案してくれるかもしれません。