車中泊車のDIYでは超えられないキャンピングカーの高い壁

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車中泊車のDIYでは超えられないキャンピングカーの高い壁

これまでの取材では、色々なキャンピングカーに乗ってきました。そんな私が、普段、どのようなクルマに乗っているか興味がある人がいるかもしれません。

残念がら、仕事の移動で利用しているクルマは、軽自動車の商用車バンです。荷物を運ぶために、リアシートが無いタイプで、床を板張りにして使っています。

自作キャンパーの内装

遠方の取材では、クルマで仮眠を取りながら移動することが多く、照明など、最低限の装備を組み込んでいます。ベッド設備はなく、登山用のアイテムを流用。アウトドアが好きだったので、キャンプギアを使って、趣味の延長で楽しんでいる、という感じです。

このようなクルマは一般的に、車中泊車両と呼ばれていて、気軽にクルマの旅が楽しめることから、注目されているようです。クルマの中で過ごすことに興味を持った人が、すぐに実践できる、敷居の低さがポイントです。

でも、キャンピングカーとは別のクルマ。機能性は大きく異なります。そこには、車中泊車両が越えられない、キャンピングカーの高い壁があるのです。

ポータブルバッテリーで電源を確保

車中泊車とポータブル電源

まずはバッテリーシステムの違いから、車中泊車両とキャンピングカーの違いをチェックしてみましょう。

私のクルマの電源はポータブルバッテリーを使っています。ラインアップが増え、利用している人もたくさんいます。スマホは現代人のライフラインということもあって、停車時でも電源が必要なので、お手軽な充電用電源としても重宝されているのでしょう。

キャンピングカーでは、サブバッテリーシステムが組み込まれることが多く、容量、出力の高さが強みです。長期の旅行で、数日間、冷蔵庫が利用できたり、電子レンジなどの、消費電力の多い家電を利用できるのは、サブバッテリーシステムならではの機能性です。

車中泊車に搭載したクーラーボックス

ポータブルバッテリーでは冷蔵庫を長時間稼働させることができないので、クーラーボックスを使うことになります。日帰りや1泊程度であればいいのですが、長期の旅になると、保冷剤の確保が大変なのです。

冬場のキャンピングカーは圧倒的な優位性がある

電気毛布

寒い冬はどう過ごしているの? とよく聞かれますが、私の場合は電気毛布一択です。ポータブルバッテリーに電気毛布を接続して、1晩であれば、なんとかしのぐことができます。でも、顔が寒いのが難点。

キャンピングカーに装備されるFFヒーターは、空間をしっかり温めてくれるので、面で温める電気毛布とは、まったく違う機能性です。寝ている時だけでなく、車内で食事をする時なども、車内で快適に過ごすためには、空間を温める必要性を強く感じます。

最近では個人でFFヒーターを取り付ける人がいますが、あまりおすすめできません。車内と車外を完全に隔離する施工は難しく、配管のレイアウトにも計算すべきルール(係数)があるので、プロフェッショナルにお願いするのがベストと言えるでしょう。

用途が広がるギャレーシステム

ギャレー

水回りは必要ない、という方も多いと思います。特に車中泊車両に取り付けている人は少ないかもしれません。私の場合は、簡単なジャグと水を受けるタンクを設置しています。しかし、この小ささゆえに、使い方を歯磨きに限定して利用しているのが現実です。

もし、もう少し大きなシンクがあれば、顔が洗えたり、お風呂セットが置けるのになど、いつも感じています。蛇口をひねれば水が出てくる、キャンピングカーのギャレーシステムにも憧れます。片手で止水するストレスフリーに、偉大さすら感じてしまいます。

クルマの旅に大切なのは収納スペース

車中泊車のDIY

私のクルマには収納スペースがありません。テーブルの下にボックスを置いてあるだけです。荷物を掛けるフックを取り付けるのが精一杯でした。もともと、軽量化キャンプを趣味としていたので、なんとか、やっていけるという感じです。

一方で、キャンピングカーの室内を見ると、収納スペースがたくさんあります。軽自動車でも吊り下げ収納が一般的。実際のところ、ユーザーの意見を反映して、ビルダーが収納スペースを増やしている傾向もあるようです。

荷物を運ぶクルマに、キャンピングカーのような、生活する空間を組み込んだ時から、荷物と生活空間の共存がスタートしました。快適性を追求すると、収納スペースの確保は必須と言えるかもしれません。

プロフェッショナルが仕上げるキャンピングカー

車中泊車の床

個人のDIYでは解決できないのが、仕上げの美しさ。見た目だけでなく、安全性の高さも大切です。私は床のフローリング材から出るささくれで、何度も怪我したことがあります。キャンピングカーではありえないことですね。

車中泊車のDIY

当たり前のことですが、キャンピングカーには失敗もありません。加工に失敗した木材を使うこともありません。そこには一定のクオリティがあり、軽量化、断熱効果など、さまざまな機能性が盛り込まれているのです。

キャンピングカーの価値について考える

キャンピングカーと車中泊車両は、似ているようで、まったく違うクルマ。とはいえ、価格が違いすぎる、と感じる人もいるかもしれません。でも、この価格(=価値)の差が、車中泊車両では超えることのできないキャンピングカーの高い壁なのです。

よって、より快適な環境を求める人、具体例でいうと、ささくれが刺さって、寒くて食事もできない状態は避けたいと言う人などは、キャンピングカーがおすすめ。もちろん、ビルダー製造の車中泊車両もあるので、自分の使い方に合わせたセレクトも大切です。

車中泊車両の功績

DIY車両からの景色

ここまで、キャンピングカーの優位性を書いてきましたが、車中泊車両にも大切な役割があると考えています。それは、誰でもスタートできる間口の広さです。

まずはクルマで旅をする体験も大切。興味を持った人が気軽に楽しむ機会が提供できるのであれば、車中泊車両として重要な役割があるかもしれません。

そして、クルマでの旅を続けたいと思った時、さらにステップアップを目指して、キャンピングカーへ移行する、というのもいいのではないでしょうか。

WRITER PROFILE
渡辺圭史
渡辺圭史(わたなべ・けいし)

1971年東京生まれ。アウトドア好きな編集者、そして、算数が好きだったライター。アウトドア用品メーカー、出版社を経て、キャンピングカー専門誌編集長に。現在はフリーとして、いろいろなメディアにて執筆中。アウトドアをキーワードに、より楽しいライフスタイルを求めてゆるりと奮闘中。最近気になっているワードは、旅、ミニマリスト、車中泊。趣味はコンパクトな旅とモノづくり。

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