日本の道路をストレスなく走れることを前提とした国産キャンピングカーは、海外のキャンピングカーと比べてコンパクトなボディサイズが特徴です。
「キャンピングカーの限られた室内空間をどう活かすか」が、ビルダーの腕の見せ所。そこで今回は、道路事情や使い方に合わせて独自の進化を続ける国産キャンピングカーの、空間効率や快適性を追求した様々なアイデアの一例を紹介します。
目次
軽キャンパーに排水処理がラクな外部タンクを設置
ミニチュアクルーズ(岡モータース)
軽キャンパーの給排水にはポリタンクを使用するのが一般的ですが、ミニチュアクルーズには外部排水タンクが設置されています。本格的な大型キャンピングカーではスタンダードですが、軽キャンパーとしては非常に珍しい装備です。
容量10Lのオリジナル排水タンクは、ステンレス製で耐久性も抜群。ドレンコックをひねるだけで簡単に排水処理ができ、タンクが床下にレイアウトされているので低重心化による走行安定性向上にも貢献します。
使い方の幅を広げるキャブコンの大型リアハッチ
アンソニー SPEND(AtoZ)
アンソニー スペンドは、キャブコンには珍しい大型リアハッチを装備したキャンピングカー。高さ1450×幅1060mmのリアハッチから車内のカーゴスペースにアクセスできるため、大きな荷物の出し入れも簡単にできるのがポイントです。
幅1250×奥行き1300mmの広大なカーゴスペースと大型リアハッチの組み合わせで、積み下ろしもラクにでき、積載性も文句なし。バイクや自転車のトランポとして利用できるのはもちろん、カヤックや登山、サーフィンなどのアウトドアアクティビティ、スキーやスノーボードなどのウインタースポーツ、写真撮影など、様々なギアを必要とする趣味のベース基地としても便利に活用できます。
バンコンの車内に空間効率に優れたアイデアを凝縮
トップセイル(レクビィ)
フロントシートの背面にオプションのダイネットマットを装着することで、フロント&セカンドシートでテーブルをはさんで座れるダイネットスペースを構築。通常セカンドシートとサードシートで構成するダイネットを、フロントシートとセカンドシートで構成することで、リアの空間にゆとりが生まれ、スペースの限られたバンコンの室内を効率的に活用できます。
リアに装備されたイージースライドベッドにも注目。ハンドルを握ってロックを解除しながらベッドを手前に引き出せば、アッという間に広大なベッドスペースに早変わり。一般的に、バンコンのベッドはシート兼用のためアレンジに手間がかかりますが、スライド式ベッドなら展開のわずらわしさは皆無。セカンド&サードシートを展開したフロアベッドと組み合わせれば、合計5名分の就寝スペースが確保できます。
快適な就寝を可能にする完全独立型ベッドルーム
rem second act(キャンパー鹿児島)
快適に就寝できるベッドスペースは、キャンピングカーでもっとも重要な要素のひとつ。
キャンパー鹿児島のレム セカンドアクトは、バンコンでは珍しい完全個室型の常設ベッドルームを装備したモデルです。調理や食事、休憩スペースとして利用するキッチン・ダイネットと、ベッドスペースを切り離すことで、ゆったりと就寝できるプライベート空間を構築。ベッドは1850×1400mmの広々としたサイズが確保され、低反発ウレタン&耐圧分散マットレスで寝心地にもこだわっています。
アウトドアで役立つ屋外兼用テーブル&チェア
RIW350(アネックス)
アウトドアイメージを強調した新感覚キャンパーRIW(リュウ)350は、車内外兼用のファニチャーを装備しているのが特徴です。
ウッドテーブルの脚を広げればアウトドアテーブルとして屋外でも活用でき、脚付きのベッドマットはアウトドアベンチとして使用可能。サイドオーニングと組み合わせれば、手軽にアウトドアレジャーを楽しめます。このギミックにより、アウトドアテーブルやチェアを持っていない初心者でも手軽にキャンプできるのはもちろん、車内に積載する荷物(キャンプギア)を減らせるメリットもあります。
バンコンでは珍しい防水マルチルーム
シャングリラ(レクビィ)
レクビィのハイエンドバンコンシャングリラには、バンコンでは珍しくリア防水ルームが完備されています。
ダイネットスペースとリアエンドは間仕切りと折り戸で完全に区切られ、トイレルームやシャワールーム、パウダールームなど、多目的に活用できるプライベート空間を確保。コンパクトなバンコンでありながら、キャブコンのような快適性を実現しています。ほかにも同社からは、カントリークラブ、ファイブスター、プラスSL、イゾラなど、リアエンドにプライベートルームを配したバンコンが多数ラインナップされています。
空間を犠牲にしないテーブル収納のアイデア
シュピーレン(フロット・モビール)
テーブルはキャンピングカーの必須装備ですが、使用しない時に置き場所に困るのが難点。とくにコンパクトなバンコンでは、かさばるテーブルをどこに収納するかが車内の快適性を左右する重要なカギとなります。
その課題をクリアするために独自の工夫を凝らしたのが、ライトエースベースのコンパクトバンコンシュピーレン。電気回路を収納したシート&ベッド土台の上部をテーブルと同サイズにくり抜いて、テーブルを使用しない時はフタとしてピッタリ収納できる仕組みになっています。車内空間を犠牲にしない、細やかなアイデアが秀逸です。
また、テーブルは脚のないスッキリとした構造となっていて、ベッド状態でも使用できるのがポイントです。レールに引っ掛けるだけで簡単に取り付けでき、位置を前後にスライドさせることも可能。シンプル&コンパクトながらも、実用性は抜群です。
イージークローザー付きエントランスドア
C-LH(RVトラスト)
ハイエースベースのボディカットキャブコンC-LHには、居住用シェルのエントランスドアにイージークローザーが装備されています。
ドアを閉める際に、半ドア状態から自動的にドアを引き込んで確実にドアを閉めるのがイージークローザーの役割。リアスライドドアのミニバンではスタンダードな装備ですが、その機構をキャブコンのエントランスドアに採用したのが画期的です。半ドアの心配がなく、勢いよくドアをバタンと閉める必要もないため、静まり返った夜間のキャンプ場でも周囲のキャンパーを気にせずにドアを開閉することができます。
車内を足元から優しく暖めるFF床暖房システム
リバティ52DB(アネックス)
カムロードに断熱FRPシェルを搭載したキャブコンリバティ52DBには、室内全体を足元から優しく暖めるFF床暖房システムが採用されています。
フロア下に60℃以上の温水クーラント配管を巡らせたこの暖房システムは、ヨーロッパ製モーターホームでも上級グレードのみに採用される高級装備。強制排気方式で空気をクリーンに保ちながら効率よく車内を暖めることができ、ウインタースポーツや冬キャンプも快適に楽しめます。